下北への旅(1998年夏)

7月29日(水)

今日から一週間東北地方に旅にでます。キャンプをしながらなので、 楽しい旅になりそうです。東北地方のキャンプ場は予約をしないでも 泊まれるし、無料の所もあり、なかなか良い感じです。お金を掛けず に一週間も旅をするのに期待をしています。ただ、料理が出来ないの で、夕食と朝食はコンビニで仕入れるつもりです。昼食はその地方名 産の蕎麦を食べられればいいなと思っています。急に入り用になって はいけないので、10万円の財産を懐に出発です。東北道で行けば、 7時間で八戸まで行けますが、2年前と比べ1人旅だし、運転しきる 意欲がなくなっているので、今回は初めから東北道に乗るのは止めま した。国道4号線を北上していきました。 国道4号線のバイパスを久喜、古河、宇都宮、黒羽、白河の関とゆっ くり楽しみながら北上しました。本当は白河の関の見学を楽しみにし ていたのですが、あいにく水曜日がお休みで外から眺めるだけでした。 4時間で福島県の南端・白河では、時間的にまずいと思い、白河から 東北道に乗りました。その前に、白河の町の食堂で「鴨蒸籠そば」を 昼食に食べましたが、美味しかった。 東北道を北上しながら、今夜どこで泊まるか考え始めました。はじめ て予約もしないでの旅なので、不安で心はドキドキソワソワしました。 結構刺激のある旅です。福島をすぎる頃から雲行きが怪しくなってき て雨が降り始めました。天気予報で覚悟はしていましたが、とうとう 雨がやってきました。こうなるともうキャンプは出来ません。どこの 宿に泊まるかですが、予約をしていないので、大きな温泉街が候補で す。近づいてきたのが、秋保温泉です。有名な温泉なので、ここがい いかなと思っていたが、時間がまだ3時なので、ちょっと思案して、 通り過ぎました。次にでてきたのが、鳴子温泉です。時間もちょうど いいし、東北道の古川ICから、少し離れているので、決断して、高 速道を降りました。鳴子温泉へ向かう途中のコンビニで電話帳を見て 温泉案内所に電話をしたら、紹介されたのが鳴子温泉駅前の「大正館」 という温泉旅館でした。1泊2食で1万円でしたが、結構良い料理と 温泉の湯加減でした。初日から大金を使ってしまいました。しかし、 安心な気持ち得られてホッとしました。

7月30日(木)

温泉は3回入るものだと聞いていたので実行しました。いい気持ちで 鳴子温泉を出発しました。古川ICの北の築舘ICから東北道に入り ました。後から聞いた話で、鳴子温泉のそばには、吹上高原キャンプ 場や花山青少年旅行キャンプ場、少し先に栗駒高原オートキャンプ場 などキャンプの名所があるそうで、もう少しゆっくり滞在したところ でした。 東北道をひたすら北上しましたが、盛岡を越え、安代JCTを過ぎて 八戸道には入った頃から高速道路に飽きてしまい、どこかで降りたく なりました。二戸PAで作戦を考えるため道路mapを見ていると、 一戸、二戸、三戸、五戸、六戸、七戸、八戸、九戸と戸のつく地名が 丸く列んでいることが分かりました。そこを見てみたくなって、次の 一戸ICで降りて国道4号線に乗り換えることにしました。地名の通 り一戸町、次は二戸市に入りました。金田一温泉もありました。次が 三戸町、五戸町と4号線は続きます。さすが四戸はありませんでした。 4号線は六戸町は通らず、十和田市に入りました。次の七戸町にある 道の駅「しちのへ」で宿泊地を探すことにしました。初めは下北半島 の薬研温泉の隣の国設薬研野営場でキャンプする予定でしたが、東北 一帯に低温注意報がでたため根性が歪み、温泉旅館にすることにしま した。電話帳で調べたが、薬研温泉の案内はでてないので、その近所 の下風呂温泉「さつき荘」に電話をし、1泊2食で9000円で泊ま ることにしました。早い段階で宿泊地が決まりホッとしましたが、ま たもや大金を使ってしまいました。こりゃダメだ。 野辺地から左に陸奥湾を見ながら、原野の中の荒涼とした風景の中を 真っ直ぐ通る「むつはまなすライン」を時速120キロの高速道並の スピードで走り抜けました。何台もの地元の車を抜き去りました。い つまでも若者気分が抜けないのも困ったことです。 むつ市を過ぎて津軽海峡に出ました。今度は右側に海を見ながら下風 呂温泉へと向かいました。時々出てくる海にへばりついた小さな漁港 の家々は厳寒の地「下北」の冬を感じさせました。夏なのに冬を感じ るとは変ですね。 さつき荘は誰も客はいませんでした。老夫婦が入り口の見える居間で こちらを見て出てきた。「よおおいでなさった」という風な意味のこ とをしゃべって私を向かい入れてくれました。この旅館は馴染みの客 だけが来る温泉旅館だそうで、私のような不意の客は滅多に来ないそ うです。誰も客がいないので、私は部屋は暗いからと広間に案内され、 そこが部屋になりました。16畳余りの広さに居心地は落ち着きませ んでしたが、左半分で食事をし、右半分で寝ることにしました。次に 案内された温泉風呂は古寂れていて、虫や狸が入りに来るような感じ で大変不安になりました。ちょっと失敗したかなとそのとき悔やみま した。しかし、温泉は見かけではありませんね。入ってみると温度と いい肌触りといい、また見かけの白色の色といい、最高のものでした。 そういえば雑誌で下風呂温泉の写真が載っていたのを思い出しました。 素敵な温泉でした。電気は薄暗く、木の床は朽ちて、お湯の中は狸が 同湯していそうな雰囲気です。分かってもらえますかね。食事もお爺 さんが用意してくれたらしく、海の幸がお膳いっぱいに盛りつけてあ りました。前泊の鳴子温泉のような食卓の飾り付けは全くありません でしたが、たっぷり堪能することが出来ました。今回の旅のヒットか もしれません。

7月31日(金)

今日は下北半島のまさかり型をした所を一周しようと計画し、まず北 の先端・大間崎へ向かいました。この大間町は函館へのフェリーもあ り、結構たくさんの人が住んでいるようです。次に、佐井村アルサス で遊覧船に乗ろうと考えましたが、乗船代が大金だったので急きょ止 めてお土産だけを買いました。ヒバの木を使ったものがたくさんあり ましたので、その中からお箸とつぼ押さえ器を買いましたが、いい匂 いがします。腰掛岩あたりから仏ヶ浦へ向かう山道は曲がりくねって きますが、道路の整備は進んでおり楽しいドライブになりました。仏 ヶ浦の真上の駐車場まで来ました。歩いて海岸まで降りるらしいので すが、人っ子1人いない山道を下りながら、途中に立ててある看板「熊 に注意」を見て、思わずあたりをキョロキョロしながら早足で進んで いきました。急激に降りる階段を下りて、辿り着いたのが白砂の海岸 「仏ヶ浦」でした。グラスボートが出ていましたので、早速乗り、仏 ヶ浦をたっぷり堪能することが出来ました。写真も8枚も撮り、これ を見て後日油絵を描くつもりでいます。 乗船代も850円と安く、佐井村で乗らなくて良かったなと思いまし た。佐井村のは観光バスで来た人が乗るやつらしいです。自動車で来 た人は是非ここまで来た方がよいでしょう。ただし、帰りの階段を上 るのにはハアハアと一苦労しました。 昼飯は川内ダムの所にある公園の道の駅「かわうち湖」で、名物「ひ ばっ子そば」を食べましたが、名前ほどではありませんでした。 川内町から右に陸奥湾を見ながらむつ市に向かいました。途中の近道 から恐山見物に向かいましたが、約15年前に行ったときより、神秘 さを失われていました。ちょっとがっかり。たぶん建物などが新しく なっていたせいでしょう。こういうところは寂しげな方が似合います ね。 このあと東通村を通り、左に太平洋を見ながら六ヶ所村へ南下しまし た。後で東通村に原発の施設が出来ることを知りましたが、このとき は突然出現した大きな施設と立派な道路にビックリし、何が出来るの かなぐらいしか思いませんでした。白糠付近で国道338号線がなく なったのには困ってしまいました。小さな道を滅茶苦茶進むとまた3 38号線が出てきてホッとしました。 有名な六ヶ所村で「原燃PRセンター」を見たいと思っていましたが、 風も吹き出し寒くなってきたので、今夜の宿をどうするか悩みだして しまい、見学はパスしてしまいました。計画はしていた小川原湖の西 岸にある浜台キャンプ場に取りあえず行ってみました。無料のキャン プ場でしたが、湖畔にあるため寒い風が吹き付けてとても泊まる気に なりません。理由は3つ有ります。1つは寒いこと、2つ目は家族連 れでないとキャンプはしずらいなと感じてしまったこと、3つ目は今 夜も個性的な温泉がいいと思ったことから、浜台を後にしました。 最初に向かったのが、上北町にある上北町温泉郷です。しかし、町の 中の旅館にしか思えません。次に向かったのが、六戸町にある七百温 泉。念願の六戸の地を踏めたことは良かったのですが、七百温泉は旅 館というより田舎のヘルスセンターのような場所でした。しかたがな いので、六戸町のコンビニで電話帳を見て、十和田市のビジネスホテ ルを探したところ、「ホテルしもやま」が1泊2食で7000円と言 うことで、そこに泊まることにしました。ビジネスホテルはさすがに 安いですね。ホテルを探すのに十和田市をあっちへ行ったりこっちへ 行ったりしましたが、2年前に来たときの印象とは違い「大きな町だ なあ」と感心しました。

8月1日(土)〜3日(月)

今日から3日間、三沢市の古牧温泉のグランドホテルで数教協の全国 大会がありました。このグランドホテルは第1から第4まであり、地 下通路でつながっており、端から端まで行くのに15分もかかると行 った有様でした。1200名入れるという大岩風呂や古牧元湯などあ り十分に楽しめました。もちろん数学の勉強もたっぷりとする事が出 来ました。1年に1回必ず参加していますが、リフレッシュできる学 習会です。

8月3日(月)

お昼で大会は終了しましたので、三沢市の市民の森公園の中にある「寺 山修司記念館」を見物していこうと思いましたが、あいにく月曜日で 休館でした。そのとき、爆音が聞こえてきました。三沢の米軍基地が そばにあるのでジェット機だと思いましたが、音はすれど姿は見えず でした。こんな中で生活するのも大変だなあと実感しました。 見物はあきらめて、真っ直ぐ第2みちのく道路と百石道路を経て八戸 市に入り、そこから八戸道に乗りました。車もほとんどないので高速 で南下していきました。盛岡まで南下したけれど、元々出発が遅かっ たので、そろそろ宿の心配をし始めました。岩手県の衣川青少年旅行 村を予約していましたが、もうすっかりキャンプはする雰囲気ではな くなっていました。衣川をキャンセルした後、花巻ICで降りました。 というのは花巻温泉がそばにあったからです。電話boxから宿泊を 聞いたところ、有るにはあるが、1泊2食で16000円だというこ とです。ビックリして断りました。突然野宿を覚悟しましたが、真夜 中になっても家に帰ろうかと淋しく考えながら、国道4号線を南下し ているとあの北上川で有名な北上市に到着しました。電話boxでビ ジネスホテルを探していると、ホテルシティプラザと言うところが、 1泊のみ8000円であり、本当にラッキーでした。北上市もこの辺 の中心地らしく、8月7日より芸能祭りが開催されるようで準備が行 われていました。このホテルシティプラザは漫画の「ホテル」にでて くるような豪華な作りのホテルでした。食事をしながら北上川の流れ を味合うことが出来ました。

8月4日(火)

最後のドライブは北上江釣子ICから久喜ICまでのんびり帰ってき ました。今年の東北は雨と低温で、最後の東北道も蔵王付近で雨に見 舞われました。 キャンプは道具だけ持っていったがやれず仕舞いでした。お金も底を つき、北上のホテルと最後の東北道代はカードで支払いました。 記録を付けながらの旅でしたので、総計距離は1812キロで、総計 金額は95,811円でした。 これで、1週間の記録は終わりです。ありがとうございました。