質問<168>99/8/20
from=坂田
「階乗」


(-1/2)!というのは定義されていますか?
されているとすればこれはいくらになるのでしょうか?


お返事99/8/20
from=武田


n!は「nの階乗」と読み、nは正の整数のときに限ります。
ただし、例外として0!=1というのがありますが、質問の
(-1/2)!は負の分数なので、定義からして値は求まり
ません。なにかこういう問題が出てきたのですか?


お便り99/8/21
from=坂田


こんにちは。坂田です。
例の階乗の問題ですが、私の計算方法がまずかったのだと思
いますが、積分の問題で出てきました。
あと、正の分数の階乗については、以前どこかで見たことが
あり、√πを含んだ結果だったような覚えがあります。
以上の理由から、質問させていただいた次第です。


追伸99/10/12
from=武田


マグロウヒル大学演習「微積分(下)」(Murray R. Spiegel
著 水町 浩 訳)を見ていたら、坂田君の質問した問題らし
きものを発見しました。
    ∞
Γ(n)=∫ xn-1-xdx
    0
とガンマ関数が定義されている。これはn>0に対して収束
する。
次に、ガンマ関数の循環式Γ(n+1)=nΓ(n)、ただし
Γ(1)=1が証明される。
これは、nが正の整数のとき、Γ(n+1)=n!となるので、
階乗関数とも呼ばれている。Γ(6)=5!=120
nが正の整数という条件をうっかりはずすと、
Γ(1/2)=(-1/2)!
という階乗を考えてしまいがちです。

また、正の分数の階乗もうっかり考えがちですが、これは
ガンマ関数の計算がそれらしき雰囲気をかもしているから
です。例えばΓ(5/2)/Γ(1/2)の計算です。
Γ(5/2)/Γ(1/2)=(3/2)Γ(3/2)/Γ(1/2)
=(3/2)(1/2)Γ(1/2)/Γ(1/2)
=3/4

また、Γ(1/2)は定義を使って計算すると、
     ∞
Γ(1/2)=∫ x-1/2-xdx
     0
x=u2とおくと、
dx=2uduより、
     ∞
Γ(1/2)=∫ u-1-u^22udu
     0
      ∞
    =2∫ e-u^2du
      0
定積分の計算公式より、
 ∞
∫ e-x^2dx=√π/2
 0
だから
      ∞
Γ(1/2)=2∫ e-u^2du
      0
    =2×√π/2
    =√π
質問の<169>もこの問題に絡んでいるのでしょう。
分からなかった質問が一本の糸で結ばれてホッとしました。