質問<2788>2005/12/27
from=美智子
「行列」


GL(n,C)に値をとる微分可能関数U(t)に対して
(U(t)^-1)'=-(U(t))^-1*(U(t))'*(U(t))^-1をしめせ。

またこれを用いて次の補題を示せ
補題
U(t),V(t)が共に方程式(U(t))'=A(t)*U(t)
(V(t))'=A(t)*V(t)をみたしdet(U(t))≠0,det(V(t))≠0なら、
あるW∈GL(n,C)に対しU(t)=V(t)*W

の問題がまったくわかりません。
詳しすぎるくらいの完全解答をお願いできないでしょうか?
申し訳ありません。

★希望★完全解答★

お便り2006/2/18
from=angel


※Xの逆行列を inv(X) と表記します

行列A(t), B(t) に関して、積の微分を考えると、
 (A(t)・B(t))' = A'(t)・B(t) + A(t)・B'(t)

では、等式 U(t)・inv(U(t)) = E (単位行列) の両辺を微分すると、
 U'(t)・inv(U(t)) + U(t)・inv(U(t))' = O (零行列)
 ⇔ U(t)・inv(U(t))' = - U'(t)・inv(U(t))
 ⇔ inv(U(t))・U(t)・inv(U(t))' = - inv(U(t))・U'(t)・inv(U(t))
 ⇔ inv(U(t))' = - inv(U(t))・U'(t)・inv(U(t))

補題に関して
  「ある行列Wが存在して、U(t)=V(t)・W」
 を、
  「ある行列Wが存在して、inv(V(t))・U(t) = W」
 更に、Wは t に依存しない行列であることから
  「( inv(V(t))・U(t) )' = O (零行列)」
 と考える。

証明は逆順で書いていく。
( inv(V(t))・U(t) )'
= inv(V(t))'・U(t) + inv(V(t))・U'(t)
= - inv(V(t))・V'(t)・inv(V(t))・U(t)
  + inv(V(t))・U'(t)
= - inv(V(t))・A(t)・V(t)・inv(V(t))・U(t)
  + inv(V(t))・A(t)・U(t)
= - inv(V(t))・A(t)・U(t) + inv(V(t))・A(t)・U(t)
= O

よって、tに依存しないある行列Wが存在して、inv(V(t))・U(t) = W
よって、そのWに関して、U(t)=V(t)・W