質問<3386>2006/9/15
from=nana
「確率」


点pは数直線上の原点にある。硬貨を投げて表が出ると+1進み、
裏だ出ると-1進む。座標が4である点をAとして、次の問いに答えよ。
 (1)硬貨を10回投げて、点Pが点Aにくる確率を求めよ。

 (2)硬貨を8回投げて、点Pが点Aにくる確率を求めよ。

★完全解答希望★

お便り2006/9/17
from=亀田馬志


う~~ん・・・・・・。
これはいわゆるランダムウォークと言われる問題の基礎的な部分なんですが、
僕はこのテの「確率過程」と言われるジャンルが苦手で(笑)、かついまだ勉強中の身です。
また、nanaさんがどの程度確率論を勉強しているのか全然把握できないので、
本来マズいんですが、敢えて「問題を解く為のテク」と言う形で書きますね。
要するに「こう言う問題を見たらこう解け」と言う話にします。暗記モノに落して
しまいましょう。
まあ、これで納得できなかったら(と言うか暗記モノでは納得できる/できない、
ではなくってただそうやれ、って事ですが)また質問してみるとかしてみて下さい。
多分僕よりももっと説明が上手い人がいるかもしれませんし、ハッキリ言うと、
「確率過程」に関する易しい入門書を読んだ方がマシな気がします。

本来、「数学的にキレイに解く」のを考えなければ、単に樹形図を描けば済む問題です
(他にも色々なアプローチがあるかもしれません)。が、試行数が増えるとこれが
ややこしい。
一般に、次のような問題、

「点pは数直線上の原点にある。確率πで+1進み、
確率1-πで-1進む。座標がxである点をAとして、n回の試行で点Pが点Aにくる
確率Pを求めよ」

を見かけた場合、二項分布を使った次の公式Pに当て嵌めます。

n+x=偶数、-n<x<nの時、

P(x)=combin{n, (n+x)/2}*π^{(n+x)/2}*(1-π)^{(n-x)/2}

それ以外の条件の時

P(x)=0

これだけです。
敢えてここでは二項分布の式の解説はしませんが、問題に即して適切な値を
代入すればそのまま自動に答えが得られます。
例えば(1)の場合はπ=1/2、n=10、x=4として上の式に値を代入すれば
そのまま答えが得られます。
例によって、ちょっとパソコン(Microsoft Excel)で得られた回答と確率分布を
見てもらいましょう。前提知識としては、極端な結果としては点pは最大でx=10、
最小でx=-10の位置にいる、って事だけは自明とします。

硬貨を10回投げて点pが取りえる数直線上の位置 その確率P
-10 0.000976563
-8 0.009765625
-6 0.043945313
-4 0.1171875
-2 0.205078125
0 0.24609375
2 0.205078125
4 0.1171875
6 0.043945313
8 0.009765625
10 0.000976563
確率の総和 1
問題ではx=4なので、その確率は11.71875%だと言う事が分かります。 そして、全ての可能性を足し合わせると1になる、って部分も押えておいて下さい。 ところで上の表を見て、 「あれ、数直線上の奇数の位置はどうなったの?」 と思われるかもしれません。実はそれに付いては考えなくってイイんです。 と言うのも、上の公式で、 「n+x=偶数、-n<x<nの時」 って条件がありますが、これを満たすのはこのケースですと、「偶数の時だけ」なんです。 と言うより、点pの取りえる位置は偶数以外無いんです。 これはちょっとだけ樹形図描いて調べてみれば分かるんですが、試行回数nが偶数の時、 点pの取りえる値は偶数しか無いのです。また、試行回数nが奇数の時、点pの取りえる値 は奇数しかありません。n=3~5程度で樹形図描いてみればその規則性が分かると思います。 すなわち、忘れてるかもしれませんが(僕は忘れてました・笑)、小学校で習った、 奇数+奇数=偶数 偶数+偶数=偶数 ってルールがあるが為、「n+x=偶数の時」と言う条件が加味されていて、かつ「その他の 場合にはP(x)=0」なんです。言わばこれは数理的にどうの、と言うよりかは(そうかも しれませんが)、「アトヅケの条件」なんですね。「樹形図描いてみるとそうならざるを 得ない」と言う辺りがホントのトコなのかもしれません。 (2)もネタは丸っきり同じです。下にMicrosoft Excelで計算した確率分布をあげておきます。
硬貨を8回投げて点pが取りえる数直線上の位置 その確率P
-8 0.00390625
-6 0.03125
-4 0.109375
-2 0.21875
0 0.2734375
2 0.21875
4 0.109375
6 0.03125
8 0.00390625
確率の総和 1
点pがx=4に到達できる確率は10.9375%のようです。