質問<2007>2004/10/15
「3つの2次元ベクトル a=(a1,a2),b=(b1,b2),c=(c1,c2)は必ず1次従属 になる.」これはどのようにして証明したらいいですか? ★希望★完全解答★
お便り2004/10/16
from=wakky
なんか条件があるのではないですか? どれも平行じゃない どれも0ベクトルじゃないならば それぞれ一次独立だと思うのだけれども・・・
お便り2004/10/17
from=honda
別に条件は不要ですよ #係数は実数か複素数くらいで考えます. これはそもそも n次元ベクトル空間において 任意の(n+1)個のベクトルは一次従属である ということのn=2の場合ですし, ベクトルv_1,v_2,...,v_nが一次独立であるとは (a_1,..a_nを係数として) 「a_1v_1+a_2v_2+・・・+a_nv_n=0 ならばa_1=a_n=・・・=a_n=0である」 ということです.一次従属であるとは 一次独立ではないということなので, 「a_1からa_nの中に0ではないものがあり,かつ a_1v_1+a_2v_2+・・・+a_nv_n=0となる」 ということになります. さて本題. 実数による数ベクトル空間と仮定します. #高校数学なのでこの仮定で問題ないでしょう. まず,三つの2次元ベクトルのうち 0であるものが1つでもあれば, それらは一次従属であるので, 三つともゼロベクトルではないとしてよい. 次に,三つとも平行であると仮定する. つまり,ある実数k,mが存在して, b=ka,c=maとかけるとする. ここで,a,b,cはともに ゼロベクトルではないのでk,mは ともに0ではない.そして -(k+m)a+b+c=0である. よって,a,b,cは一次従属. 以上より,a,b,cの中にはゼロベクトルが ひとつもなく,さらに,すべてが平行であることもない と仮定してよい. そこで,aとbが平行ではないとする. このとき,連立方程式 a1x+b1y=c1 a2x+b2y=c2 は必ずひとつの解をもつ(*1)ので, その解をx=p,y=qとすると, c=(c1.c2)=p(a_1,a_2)+q(b_1,b_2) =pa+qb したがって,a,b,cは一次従属である 以上より,a,b,cは一次従属である. (*1)この部分が本質的で2次元では平行ではない直線は かならず交点をもつということです. 言い換えると,2次元のベクトルは 平行ではない二つのベクトルで必ず表現できるという ことです. 高校数学の範囲でまじめにやると。。。 a,bは平行ではないので, a1b2-a2b1は0ではないとなるので, 実際に連立方程式がとけて,p,qが a1,a2,b1,b2で表せることまでいえば 確実でしょう. ただ,どこまでを既知の知識とするかで 解答量はかなり変わりますね
お便り2004/10/17
from=juin
1.a,b,cのうちに0ベクトルがあれば1次従属 2.a,bが1次従属なら証明終わり。 3.a,bは1次独立とする。 c=xa+ybという1次方程式を考える。 c1=a1x+b1y,c2=a2x+b2yは、a,bが1次独立だからただ1つの解をもつ。それを (x0,y0)とすると、c=x0a+y0b x0a+y0b-c=0であるが、係数(x0,y0,-1)は0でないから、a,b,cは1次従属である。
お便り2004/10/18
from=ちはる
お返事ありがとうございます。 スミマセン‥条件はa1,a2,b1,b2,c1,c2は任意の実数ということのみです。 参考書に「3本以上の2次元ベクトルは必ず1次従属である」と書いてたのですが、 当然の事という感じで証明は載っていなかったので質問させていただきました。
お便り2004/10/18
from=UnderBird
いろいろな証明があると思います。どの結果を仮定するかによってほほ明らかであっ たり、計算しなくてはいけなかったりすると思います。その辺は自分のテキストで調 べてください。 まず、 感覚的な説明は、a,b,c,のどれも平行でなくまた、0ベクトルでないとする。(そう でなければ、その時点でa,b,cは一次独立だから)仮に、一次独立なa,b,cから、a,b を選ぶと(a,bによる斜交座標系が決定される)、cはその座標系へ射影したa,bの一 次結合で表すことができる。(ほぼ明らか)よって、必ず1次従属。 次に、 c=pa+qb (p,qは実数)とおく。 t(c1,c2)=p*t(a1,a2)+q*t(b1,b2) t(・,・)は、列ベクトルの意味 =(t(a1,a2),t(b1,b2))*t(p,q) 右辺の最初の( )は行列の意味 この行列(t(a1,a2),t(b1,b2))は逆行列をもつ。(a,bが一次従属より) よって、逆行列が存在し、t(c1,c2)は0ベクトルでないから、 p=q=0でないp,qが存在する。よって、3つの2次元ベクトル a=(a1,a2),b=(b1,b2),c=(c1,c2)は必ず1次従属になる。 または、 任意の2次元ベクトルは、(1,0),(0,1)の2つのベクトルで表されるから、次元は2で す。すなわち2つの1次独立なベクトルを選べば、それが基底になる。よって、3つの2 次元ベクトル a=(a1,a2),b=(b1,b2),c=(c1,c2)は必ず1次従属になる。そのほか、背 理法からや、連立一次方程式やランク(階数)等からも言えると思います。厳密では ありませんが。
お便り2004/10/18
from=wakky
なるほどぉ~~~ いやぁ~勉強になりました UnderBirdさんの説明は感覚的によくわかりました。 数学はイメージや感覚が重要ですねぇ。
お便り2006/3/11
from=貴雄
a,b,c,のどれも平行でなくまた、0ベクトルでない。 というのは理解できました。 解答の50行目くらいの補足説明の部分にある 『a,bは平行ではないので, a1b2-a2b1は0ではないとなる』 というところと 30行目くらいの 『このとき,連立方程式 a1x+b1y=c1 a2x+b2y=c2 は必ずひとつの解をもつ』 というところの説明がいまいちわかりません。 どなたか詳しくせつめいしてほしいのですが・・・ よろしくお願いします
お便り2006/3/16
from=亀田馬志
貴雄さん >30行目くらいの 『このとき,連立方程式 a1x+b1y=c1 a2x+b2y=c2 は必ずひとつの解をもつ』 というところの説明がいまいちわかりません。 いやいや、これはhondaさんが仰ってる通りで、2次元上では平行じゃなかったら 2直線は必ず交わる(交点を持つ)のです。これは(*1)の部分に相当します。 平行である、とはどこまで行っても2直線が交わらない、と言う意味である。 つまり、上の用語の定義からすると、逆に言えば、平行ではない、と言うのは 「どこかに必ず交点が存在する」って意味です。 ところで、「直線の式」と言った場合、普通、 y=ax+b って思いつくかもしれませんが、別に ax+by=c って記述しても構わない、ってのは分かりますよね?上の連立方程式、 a1x+b1y=c1 a2x+b2y=c2 ってのはこれが由来なんです。これを解けば2直線の交点が求まる、 ってのはお分かりですか? ここで問題はそれぞれの係数が問題文のベクトルの成分表示になってるのが何故か、 って処なんでしょうけど、実はベクトルの成分と一致してる必要性も無いんです。 ところが別に一致してても構わない(笑)。これは線形代数の性質なんですね。 数学的なトリックです。 hondaさんはちょっと高校数学から離れた高い視点から直接上の連立方程式を書き 下したんです。一般化のアイディアなんですね。幾何学的に解釈しようとすれば ちょっと高校生には難しいかもしれません。 >解答の50行目くらいの補足説明の部分にある 『a,bは平行ではないので, a1b2-a2b1は0ではないとなる』 というところ 上の連立方程式を行列に書きなおすと、(ちょっと見難いですが) (a1 b1)(x)=(c1) (a2 b2)(y)=(c2) となります。自明な解は(x,y)=(0,0)なんですが、この解は避けたいと思います。 (何故ならどんな行列を持ってきても(c1,c2)は(0,0)になってしまうからです。 結構下らない解答になるんです・笑。) そうすると、行列 (a1 b1) (a2 b2) は逆行列を持たなければいけません。上の行列が逆行列を持つ条件は、行列式 |a1 b1| |a2 b2| がゼロではない、って事になります。すなわち、 a1b2-a2b1≠0 にならないといけません。 こんなカンジですかね?