質問<2316>2005/5/1
from=りょう
「三角関数」


0°<α<180°、0°<β<180°とする。
 sinα=2cosβ
 sinβ=2cosα
以上が成り立つとき、sinαとcosαを求めよ。
また、α=βとなることを示せ。

★希望★完全解答★

お便り2005/5/2
from=亀田馬志


ああ~。僕も高校時代『三角関数』って大ッキライだったんですよねえ(笑)。
大体『三角』って付くものにロクな事はありません(笑)。

①女性の目が『三角』になるとコワい(笑)。
②『三角』関係はバレないように行動するのが大変(笑)。
③競馬新聞で△が打たれてる馬が勝ったあかつきには・・・僕の◎はどこ消えた(笑)?

まあ、人間は『丸い』のが一番イイんであって、『三角』は余計な存在です(笑)。
当時ホンキでそう思ってました(笑)。

さて、バカ話は置いといて(笑)、ちょっと問題見てみましょう。

 sinα=2cosβ・・・①
 sinβ=2cosα・・・②
以上が成り立つとき、sinαとcosαを求めよ。

三角関数キライな人間は、こう言った問題見る度に
『だからどーした?』
って思っちゃうんですよね。こんな問題解いてる間に北朝鮮がテポドン打ち込んで
くるかもしれんのに、って(笑)。
しかし、一番の問題は『このママじゃ解けない』ってのがイライラの種なんですよ
(笑)。そう、普通の方程式の感覚からすると『条件が足りそうで足りない』んです。
例えば極端な話、『不確定の変数』ってのは①、②には2つしか無いです。単純にα
とβですよね。つまり、連立方程式として考えると、『式二つ』で解けないといけ
ない。しかしながら、sin、cosって『魔法の文字』が加わると当然次の状況になっ
てきます。

・αはαでも一般的にはsinα≠cosαである。
・βはβでも一般的にはsinβ≠cosβである。

つまり『数値として見た』場合、連立方程式としては条件の数が不十分なんです
よね。『他に条件が必要になってくる』。だからアタマ痛くなるんです(笑)。
結論から言うと『三角関数の計算問題』ってのはいっつも条件を一つか二つ『必ず
隠してる』んです。初めっから問題文に条件書いておきゃあイイのに、数学の先生、
ってのは意地が悪いんでしょう(笑)。つまり『定理』とか『公式』と呼ばれているも
のを『記憶してるかどうか』ってのが『解ける/解けない』の境目なんです。結局暗
記なんですね(苦笑)。だから僕も数学嫌いなんです(笑)。
とかまあ愚痴っててもしゃーないんで、このテの問題を見た場合、『他に連立させて
みる条件』ってのを列挙します。とは言え、極端な話次の2つしかありません。

・3平方の定理
・加法定理

まあ、このどっちかが必ずと言ってイイ程『その他の条件』になってきます。どっち
か使って解けない場合、よっぽどの悪問、って事です。今回はこの2つのウチ、『3平
方の定理』ってのを使ってみましょう。
さて、『3平方の定理』とは言っても『三角比』登場時点で『フォーム』っが若干変更
されてます。要するに次の公式に姿を変えてます。

・(sinθ)^2+(cosθ)^2=1・・・③

まあ、この『単位円』基準の『3平方の定理』ってのはいまさら解説が必要ない程ポ
ピュラーでしょう。これに付いてはイイですよね?
さて、問題文に表示されてる角度、ってのはαとβの二つです。よって③を考慮して
全部条件書き下せば、『次の4つの式の連立方程式である』ってのが示唆されてるワ
ケです。

・sinα=2cosβ・・・①
・sinβ=2cosα・・・②
・(sinα)^2+(cosα)^2=1・・・③’
・(sinβ)^2+(cosβ)^2=1・・・③”

この4つを連立させて解けば、少なくとも『方向性』は見えてきます。ってなワケで
ちょっとやってみましょうか?
この4つをそのまま解くのもメンド臭そうなんで、取りあえず『式の数』を減らしま
しょう。①を③'に、そして②を③"に代入して式の数を二つに減らしてみます。

・(2cosβ)^2+(cosα)^2=1・・・④
・(2cosα)^2+(cosβ)^2=1・・・⑤

ちょっと整理してみましょうね。

・(cosα)^2+4*(cosβ)^2=1・・・④'
・4*(cosα)^2+(cosβ)^2=1・・・⑤'

ココで勘のイイ人は気付いたと思いますが、『ワンパターン』します。行列に直し
て『クラメールの公式』を実行します。

 (1 4)((cosα)^2)  (1)
・(4 1)((cosβ)^2)=(1)・・・⑥

つまり(cosα)^2と(cosβ)^2に付いての連立方程式を解けばイイんです。取りあえ
ず解は

・(cosα)^2=1/5・・・⑦
・(cosβ)^2=1/5・・・⑧

となります。

閑話休題:クラメールの公式

この話キチンと書いた事無かったんですよね。僕が高校時代のトキにはコレは必須
じゃなかったんですが、今はどーなんでしょ?取りあえず連立方程式解くトキ楽なん
で改めて紹介しておきます。
今は2元の連立方程式に話限定しますが、基本は全て共通しておきます。まずは行列
から。
次の“表記法”を『2行2列の正方行列』と呼びます。『行列って何やねん?』って疑
問には取りあえず答えません(笑)。と言うのも事実上コレは単なる表記法(つまりあ
る数字の書き方の約束)の問題だからです。すなわち意味なんてどーでもイイ(笑)。

 (a b)
・(c d)

a、b、c、d、ってのは適当な数字です。まあ、こう言った『2行2列の行列』って
“表記法”があります。
余談ですが、数学って『天下り』だと思われてますが、実際は『ある書き方』っての
を約束しましょう、と(つまり“定義”ですよね)。そしてその『ある書き方』の約束
事を設定してやったトキ、『それが一体どう言う性質があるのか?』ってのを延々と
演繹的に調べる学問だ、って側面があるんです。ハッキリ言っちゃうとそんな『“表
記法”が現実世界で約に立つ/立たない』なんてどうでもイイ(笑)。ベクトルとかも全
部そうなんです(笑)。全部ある『書き方の約束事』を設定してやって、それがどう言
った性質があるのか?延々と調べていく、と(笑)。まあ、その結果『定理』ってのが
発見されたり、または『定義そのもの』ってのを設定しなおしてやる必要性が出てく
る。まあそんな色々な現象/経緯があるんです。ワリとその辺りテキトーでイイカゲ
ンなんです(笑)。いきなり高校生になって全部天下りで『覚えろ』って言われるから
混乱するんですよね(笑)。しかし歴史的にはそんな風に発達して来てるんです。
話を戻します。次に出るのは『行列式』って“表記法”と“計算の約束事”です。今
度は“計算”が関わって来ます。行列は単なる“表記法”ですが行列式は“表記法+
計算法”を示唆してます。まずは表記法から。

 |a b|
・|c d|

括弧が変わっただけですよね(笑)。ココでもa、b、c、dはテキトーな数字です。
次に『計算法』です。上記の『行列式』って表記法は次の計算法を示唆しています。
って言うか『そう言う約束をする』って事ですよね。

 |a b|
・|c d|=ad-bc

さて、元々『行列』と『行列式』ってのは何の関係もありません(笑)。名前似てるん
ですがね(笑)。実はコレは『日本語』の問題なんです。
元々英語では『行列』をmatrix、『行列式』をdeterminant、と言います。全然名前
に関係が無いんですね(笑)。つまり丸っきり別物だったんです。
歴史的には『行列式』ってのが先に発見されてます。『行列』がアトなんです。つま
りこの2つは元々相関関係が無かった。今は整理されて『行列Aの行列式は・・・』って
言い方をするようになったんです。と言ったワケで、『輸入学問』として日本語では
『行列』と言う『訳語』で統一されたんです。
さて、『行列』ってのが何の役に立つのか?と言うと、次の様に使います。次の二つ
を『同値』とします。

・ax+by=p (a b)(x) (p)
・bx+dy=q⇔(c d)(y)=(q)

つまり『ある連立方程式』を『行列』と『列ベクトル』を使って『書き換えれる』っ
て約束事をします。コレも単なる『約束事』ですよね。このトキ、列ベクトルの成分
xとyは『行列式』を使うと『必ず』次の様になります。
  
  |p b| |a b|    |a p| |a b|
・x=|q d|/|c d|  ・y=|c q|/|c d|

つまり『行列式』と言う表記法を使わないと、xとyは『必ず』次の様になるんです。

・x=(pd-bq)/(ad-bc)  y=(aq-pc)/(ad-bc)

これを『クラメールの公式』と呼びます。連立方程式を『機械的に解く』には非常に
有効な手段です。
もちろん見て分かる通りad-bc≠0って条件が付加されていますし、ad-bc=0だった
らどうすんの?って問題もありますが、その辺は大学で『線形代数』やったトキ勉強し
て下さい(笑)。細かい議論は色々とありますが、むしろこんな『便利な式』ってのは
使わなきゃソンです。バンバン使って慣れてから『アトで理屈付けをする』方が実用
的だと思います。まずココがポイント。
ついでに言うと『何で行列や行列式表記すんの?』って思うでしょうが、それは数学の
大事な性格、つまり『一般化』の為なんです。今回は『2行2列』の話、要するに『2元
の連立方程式』に話を限定しましたが、実は『3行3列』や『4行4列』、つまり3元だろ
うが4元だろうが、原理的には同様に解けるワケなんです。(3行3列や4行4列の行列式
の計算方法は書きませんでしたが)その『一般化表記』の為に『行列/行列式』って表
記法は大変具合が宜しい。でないと『表記法設定』が意味が無いワケですからね。
このテの計算方法は特に『物理』で出てくる『キルヒホッフの法則』の適用時に効果が
あります。『キルヒホッフの法則』で閉回路をいくつも設定したトキに出てくる『鬼の
ような連立方程式』の解を求めるトキに非常に便利です。マトモに解いてたらウザくっ
てしゃーないんですが、『クラメールの公式』を利用すると機械的にスンナリ解けま
す。是非とも『クラメールの効果』を実感して頂きたいトコロです。
数学のサイトで言うのも何なんですが(笑)、『習うより慣れろ』って事で『数学的厳
密性』なんてアト回しで構わないと思います(笑)。数学の先生が神経質になるほど歴
史的にはそんなに『厳密』に数学が発達して来たワケでも無いんで(笑)。

さて、話を元に戻します。以下の条件が導き出されました。

・(cosα)^2=1/5・・・⑦
・(cosβ)^2=1/5・・・⑧

つまりこう言う事ですよね。

・cosα=±√(1/5)・・・⑦'
・cosβ=±√(1/5)・・・⑧'

さてここまで『機械的』に解いてきたんですが、ココで初めて『次の条件』ってのが
生きてきます。つまりある種の『制限』が加わってくるんですよね。

>>0°<α<180°、0°<β<180°とする。

ココで示唆されてるのは『(cosα,sinα)(cosβ,sinβ)って点は第1象限ないしは第2
象限内に存在してる』って事です。当たり前ですよね。
しかし『第1ないしは第2象限内』って事はsinとcosで微妙に取り得る数値が変わって
きます。

・第1と第2象限内ではsinの値は常に正。
・第1と第2象限内ではcosの値は正も負も取り得る。

つまり条件③'③"に付いては問題無いんですが、条件①②に関しては制限が加わって
くるワケです。

・sinα=2cosβ>0・・・①'
・sinβ=2cosα>0・・・②’

要するに『負の値でのcos』ってのはこの①'②'の条件を満たしません。つまり『第1
象限内(0<α,β<90°)』ってのが必須となるワケです。
よって、

・cosα=√(1/5) sinα=2√(1/5)
・cosβ=√(1/5)  sinβ=2√(1/5)

ってのが答えとなります。ここまで来れば『第1象限内(0<α,β<90°)』ではα=β
ってのも当たり前ですよね。


お便り2005/5/3
from=wakky


sinα=2cosβ・・・① sinβ=2cosα・・・②
0°<α<180°,0°<β<180°より
0<sinα<1,0<sinβ<1
①②より
0<cosβ<1/2,0<cosα<1/2
①より
sin^2α=4cos^2β  ∴sin^2β=(1/4)(4-sin^2α)・・・③
②より
sin^2β=4cos^2α
③をこれに代入して sin^2α+cos^2α=1を利用すると
sin^2α=12/15
0<sinα<1より  sinα=2/√5・・・(答)
よって  cosα=1/√5・・・(答)
①より  cosβ=1/√5 だから
cosα=cosβ
0°<α<180°,0°<β<180°より
(実際には0<cosβ<1/2,0<cosα<1/2だから、
60°<α<90°,60°<β<90°)
α=βである。