質問<2612>2005/10/6
from=大塚
「アメリカ式部分積分?」


アメリカの学校で教わっている部分積分のやり方は日本の学校で一般的に
教わっているやり方と違うらしいです。
あまり詳しく聞いた訳じゃないのでよくわからないのですが興味があるので
知りたいと思いました。
知っている方いましたら是非教えてください。

★希望★完全解答★

お便り2005/11/2
from=亀田馬志


どうもお久しぶりです(笑)。
しばらく来てなかったんですが・・・・最近は『ベイズ統計学って何だ?』って
調べまわっていて、疲れました(笑)。そんなわけで息抜きに来ました(笑)。
さてと・・・・・・。

『アメリカの学校で教わっている部分積分のやり方は日本の学校で一般的に
教わっているやり方と違うらしいです。
あまり詳しく聞いた訳じゃないのでよくわからないのですが興味があるので
知りたいと思いました。
知っている方いましたら是非教えてください。』

いや、同じだと思いますよ。
こう見えても、実はアメリカの大学に行ってた事あるんで(笑)、Calculus(微
分・積分)の授業は取ってたんで特に日本の授業と変わったトコがある、とは感
じませんでした。
でも・・・・・・おそらく、多分、『公式の書き方が違う』んで、やってる作業が違
うように見える、ってだけじゃないですかね?
通常、日本の教科書だと、部分積分の公式は、多分以下のようになってるんじ
ゃないですか?

∫f'(x)*g(x)dx=f(x)*g(x)-∫f(x)*g'(x)dx・・・①

ところが、アメリカの教科書では(僕が知ってる限り)次のように記載されてい
ます。

『uもvもxの関数とする。この時、

∫udv=uv-∫vdu・・・②

                              』

ってカンジに書いてるんですね。日本帰ってきた時、教科書売っぱらって帰って
きたんで、詳細が手元にないんですが(笑)。(だって信じられないくらい分厚くっ
て重かったんですもの・苦笑。)
まあ、字面だけ見ると『uをvで積分したものはuとvの積からvをuで積分したものを
引いたものに等しい』って読めますね(笑)。連中、こう言った簡略表記大好きなん
ですよ(笑)。
一応①式も②式も等価だ、って事を示しておきます。u=g(x)、v=f(x)とでもして
おきましょうか。そうすると①式は次のように書き換えられます。

∫(dv/dx)*udx=u*v-∫v*(du/dx)dx・・・①'

dxの部分は約分の様にして消去できるので、②式はすぐ導けるでしょう。以上です。

余談ですが、例えば、アメリカの微分公式なんかも簡略表現で書かれています。
例えば、日本の教科書なんかでは、sinxの微分は

(sinx)'=cosx

とか書いてますが、アメリカの教科書の場合、次のようになっています。

『uをxの関数とすると、

d(sinu)/dx=cosu*(du/dx)

            』

とまあ、Chain Rule(日本語で何て言うんだっけ?)込みの式として記述されているの
です。
これを『簡略化』と言うべきかどうかは意見が分かれるところかもしれませんが、
『使い勝手』考えると、微分の『原理的な部分を見た計算法』がどーの、と言うよ
り、『お手軽な“公式としてのスタイル”』はアメリカ式の方がより優秀かもしれ
ません。
基本的に、アメリカの大学教育(特に公立の一般教養)では、『証明法』とか数学的
に厳密な事をやるよりも、とにかく『公式を使わせて』、『習うより馴れろ』の思
想が徹底してます。こう言った部分がアメリカならではの『プラグマティズム』で、
数学教育にも『公式』のフォームとして、そんな思想が垣間見れて面白いと思いま
す。
意外とアメリカの方が、日本の『数学の原点』をしっかりと認識させよう、と言う
教育思想と違って、『マニュアル主義』なのですよ(笑)。