質問<263>2000/5/27
from=金子
「掲載ミスとまた質問」


掲載ミスがあったのでごめんなさい訂正します

2)1~13までのカードから無造作に一枚取り出してそのカードの数を
記録し元に戻すことを3回繰り返す。
ここで一回目にでるカードの数をX1、二回目のカードの数をX2、三回目
のカードの数X3とする
このとき Y=X1X2 + X2X3 + X3X1とおくと
Yを13でわった余りが1に成る確率をもとめよ

[新規質問]
関数f(x)はf(0)=0, f'(x)>0, f'''(x)<0を満たすものとする
またkは1より大きい定数としてs.tを
f(t)=kf(s), 0<s<t を満たすものと定める。

1)t/s>k , lim(t→0)t/s=kを証明せよ

2)とくにf(x)=sinx(0<x<π/2)のとき、t/s(0<s<t<π/2)
はtの増加関数であることを示せ


お返事2000/5/28
from=武田


問12)
表計算ソフトを利用して、全部計算してみると、
Y=X1 2 +X2 3 +X3 1 1  X2  X3   Y   余り
1  1  1  3   3
1  1  2  5   5
1  1  3  7   7
1  1  4  9   9
1  1  5  11  11
1  1  6  13  0
1  1  7  15  2
1  1  8  17  4
1  1  9  19  6
1  1  10 21  8
1  1  11 23  10
1  1  12 25  12
1  1  13 27  1  ←問題の余り1
上のような1サイクルで1回余り1が出てくる。
同様な出方だとすると、13×13=169回出ることになるが、
表計算ソフトによると、全くないときと全部のときがある。これを分析してみると、
Y=X1 2 +(X1 +X2 )X3 より、
X1 +X2 =13のときに、余りが全部X1 2 を13で割った余りとなる。
X1  X2   余りが全部
1  12  12  ←余り1は無し
2  11  9   ←余り1は無し
3  10  4   ←余り1は無し
4  9   10  ←余り1は無し
5  8   1   ←13個の余り1がある
6  7   3   ←余り1は無し
7  6   3   ←余り1は無し
8  5   1   ←13個の余り1がある
9  4   10  ←余り1は無し
10 3   4   ←余り1は無し
11 2   9   ←余り1は無し
12 1   12  ←余り1は無し
また、X1 +X2 =26のときも考えて、
X1  X2   余りが全部
13  13  0  ←余り1は無し
したがって、
13×13×13=2197個の場合分けのうち
169-13+13×2=182個が余り1となるので、
    182
確率は────≒0.08284≒8.284%……(答)
   2197

問2新規質問
未解決問題のコーナーに移しました。CharlieBrownさんから
アドバイスが届きました。


お便り2001/11/15
from=CharlieBrown


この問題にも記載ミスがあります。
「関数f(x)はf(0)=0, f'(x)>0, f'''(x)<0を満たすものとする」
のままでは、(1)に反する例を挙げることができます。
例:f(x) = 1-cosx
正しくは、
「関数f(x)はf(0)=0, f'(x)>0, f''(x)<0を満たすものとする」
です。

まず、問題文の不足を補いましょう。
全ての実数で連続かつ2階微分可能な関数f(x)は、
f(0)=0 かつ、
区間 0<x<a (aは定数)でf'(x)>0, f''(x)<0を満たすものとします。
例:f(x)=sinx a=π/2、f(x)=-x^2+2x a=1 など。

次に問題文の解釈をしてみましょう。
関数f(x) は、
f(0)=0 より原点を通り、
区間 0<x<a でf'(x)>0, f''(x)<0 より上に凸な増加関数です。

また、kを1より大きい定数として、実数s,tを
f(t)=kf(s), 0<s<t を満たすものと定める、とありますが、
これは、区間 0<x<a に属する実数tを一つ選んだ時、
0とtの間の実数で f(t)=kf(s) の関係を満たすものが存在し、
それをsとする、ということです。

このことは、上に凸な増加関数を作図するとより判りやすくなります。
f(t)=kf(s) より、y軸上にf(t)とf(s)をとると、
原点からの距離の比が、f(s):f(t)=1:k (一定)になっています。
そうなるようなsを、0とtの間から選べ、ということです。
したがって、tをどこにとるかで、sの値も変わってきます。
つまり、sはtの関数 s=s(t) なのです。
この事実は問題の後半で効いてきます。

1)t/s>k, lim(t→0)t/s=kを証明せよ

この問題の前半は、グラフを見れば当たり前の話です。
上に凸な増加関数で、y軸上にf(s):f(t)=1:k ととったとき、
x軸上では、s:t=1:κ と書くと、確かにκ>k になっています。

これを、原点とグラフ上の点(s,f(s))、
および(t,f(t))を結んだ線分の傾きで考えると、
傾きは前者の方が大きいです。
つまり、f(s)/s > f(t)/t です。
逆に、この関係が証明できれば、
両辺× t/f(s) より、t/s > f(t)/f(s) = k となるので、
問題の関係を導けます。

従って、当面の目標は f(s)/s > f(t)/t の証明です。
0<s<t に対して f(s)/s > f(t)/t より、
関数 g(t) = f(t)/t を考えると、
この関係は、関数g(t)が t の減少関数であることを示しています。
これを証明するため、関数g(t)をtで微分して増減を調べます。
        tf'(t)-f(t)
g'(t) = -----------   (商の微分)
            t^2
となり、分母はt>0で常に正ですから、
この式の正負は分子の正負で決まります。

そこで、その正負を判断するために、分子の関数を改めてh(t)とおき、
増減を考えるため、再びtで微分します。
h(t) = tf'(t)-f(t)
h'(t)= 1・f(t) + tf''(t) - f'(t)   (積の微分)
     = tf''(t)
ここで、問題の仮定より 0<x<a でf''(x)<0であるから、
0<x<a で h'(t)<0、すなわち関数h(t)はtの減少関数で、
h(0)=0・f'(0)-f(0)
    =0              (∵f(0)=0)
ですから、0<x<a でh(t)<0です。
したがって、同じ区間でg'(t)<0となり、
g(t)が減少関数であることが示されました。

1)の後半、および2)については後日に送ります。
(武田先生へ:お忙しい中恐縮ですが、 簡単な図を添えていただけたら幸いです。)

(武田談:ゴメンナサイ。難しくて図が書けません。(^_^;)


お便り2001/11/17
from=CharlieBrown


後半です。
lim(t→0)t/s=kを証明せよ。
厳密に言うなら、tは正の範囲でしか定義されていないので、
t→0は、t→+0と、左側極限値で表すのが適当でしょう。

これを示すにあたって、次の極限値を考えます。
          f(t)
 lim(t→0)----
           t
          f(t)-f(0)
=lim(t→0)---------  (∵f(0)=0)
             t-0
=f'(0)

また、f(t)=kf(s)より、
kf(s)
-----=1
 f(t)
です。

これらの関係を用いると、t→0 のとき s→0 なので、
          t
 lim(t→0)-
          s
          t kf(s)
=lim(t→0)-・-----
          s  f(t)
             t   f(s)
=k・lim(t→0)----・----
            f(t)  s
             t            f(s)
=k・lim(t→0)----・lim(s→0)----
            f(t)           s
=k・1・1
=k

(2)については、また後ほど。 


お便り2001/11/21
from=CharlieBrown


2)とくにf(x)=sinx(0<x<π/2)のとき、t/s(0<s<t<π/2)
はtの増加関数であることを示せ

f(t) = kf(s) の両辺をtで微分すると、陰関数微分を用いて、
f'(t) = kf'(s)・ds/dt
∴ds/dt = f'(t)/kf'(s)
        = f'(t)f(s)/f'(s)f(t)

よって、
d/dt(t/s) = (s-t・ds/dt)/s^2
          = (s-t・f'(t)f(s)/f'(s)f(t))/s^2
          = (sf'(s)/f(s)-tf'(t)/f(t))/(s^2f'(s)/f(s)) …*
となる。この式の分母は 0<x<a で常に正だから、
正負は分子の正負で決まる。

t/s がtの増加関数であることは、上の式の分子が正であることと同値だから、
0<s<t に対して sf'(s)/f(s)>tf'(t)/f(t) であることを示せばよい。
これは、関数 j(x) = xf'(x)/f(x) とおくと、
j(x)がxの減少関数であることを示すことに帰着する。

0<x<a でj(x)>0 であるから、
j(x)が減少関数であることと、1/j(x)が増加関数であることが同値。

ここで、f(x)=sinxとすると、
1/j(x) = tanx/x
d/dx(1/j(x)) = (x/cos^2x-tanx)/x^2
             = (x-sinxcosx)/x^2cos^2x
             = (x-sin2x/2)/x^2cos^2x …**
d/dx(x-sin2x/2) = 1-cos2x>0 (0<x<a)
より**の分子はxの増加関数で、x=0のとき分子=0だから、
0<x<a で ** >0。
したがって、1/j(x)はxの増加関数。