質問<366>2000/11/21
from=涼子
「微積」


お忙しいところまた質問です。すみません。

f(x)、g(x)は区間-1≦x≦1で微分可能であるとする。
また、f(0)=0をみたし、
つねに|g(x)|≦f(x)をみたすとする。
①f(1)=1、f’(x)は定関数でないとするとき f(a)<aまたはf(a)>aとなるa(0<a<1)が
存在することを示せ。 また、 f’(b)<1またはf’(c)>1となるb,c(0<b<1、0<c<1)
が存在することを示せ。
②g’(0)=0を示せ。

お返事2000/11/28
from=武田



未解決問題になっていたところ、マスマニアさんから有り難いアドバイ スをいただきました。

お便り2001/3/20
from=マスマニア


問1

 h(x)=x-f(x)と 置くと f(x)は -1≦x≦1で微分可能であ
るので この区間において連続であるといえるので h(x)もまたこの
区間において連続である
今
 h(0)=0かつ h(1)=0である 

 任意のxにおいてh(x)=0と仮定すると f(x)=xであるので
f`(x)は定関数となり 矛盾する 。よって f(x)=x ではない 
つまりh(x)は直線y=0ではない

 h(0)=0かつ h(1)=0であり h(x)は 連続であり 
h(x)は直線y=0ではないとすれば
h(a)>0 または h(a)<0 となる a(0<a<1)は必ず存在する
(h(x)の図を書いてください かけばわかります)
つまりh(a)=a-f(a)>0 または h(a)=a-f(a)<0
となるaが存在する さらに書き直すと

f(a)<aまたはf(a)>aとなるa(0<a<1)が

存在する。

 f’(b)<1またはf’(c)>1となるb,c(0<b<1、0<c<1)

が存在することを示す。

 さっき証明したのでf(a)<aまたはf(a)>aとなるa(0<a<1)が

存在する。これをうまく利用する

f(a)<aの時

 平均値の定理より

 f(a)-f(0)/a-0=f`(b) となる(0<b<1)f`(b)が存在する。
f(a)<aより

f(a)-f(0)/a-0=f(a)/a<1 である よってf`(b)<1 (0<b<1)
であるbが存在する。
     
 同様に f(a)>aのとき

さっきの bをcに書き直し f(a)>aを考えれば
f’(c)>1となるc(0<c<1)が存在する


お便り2001/3/22
from=マスマニア


問2

涼子さんの問題 の問2の答えができましたので送ります

f(x)、g(x)は区間-1≦x≦1で微分可能であるとする。

また、f(0)=0をみたし、

つねに|g(x)|≦f(x)をみたすとするとき


②g’(0)=0を示せ。について

 題意より|g(x)|≦f(x)⇔   -f(x)≦g(x)≦f(x)
 であり、かつ   f(x)≧0 である

-f(x)≦g(x)≦f(x)を用いて g`(x)を作る

微分の定義式を意識して 

-{f(x+h)+f(x)}/h ≦{g(x+h)-g(x)}/h≦{f(x+h)+f(x)}/h

左辺と右辺をさらに微分の定義式を意識したものとしてつくる
f(x+h)+f(x)=f(x+h)-f(x)+2f(x)より

-{f(x+h)-f(x)+2f(x)}/h ≦{g(x+h)-g(x)}/h
≦{f(x+h)-f(x)+2f(x)}/h 

この左辺 中辺(?)右辺の全てにlim  を考えると
                               (h→0)

   -f`(x)≦g`(x)≦f`(x)  が成立する

   また -f(x)≦g(x)≦f(x)かつf(0)=0より

   -f(0)≦g(0)≦f(0)⇔ 0≦g(0)≦0  よりg(0)=0

任意のxにおいて   -f`(x)≦g`(x)≦f`(x)であるので
f`(x)≧0であり、かつ f(0)=g(0)=0  
であり-f(x)≦g(x)≦f(x)であり g(x) f(x)共に連続

 なので

f(-1)=g(-1)= f(0)=g(0)=0 であり -1≦x≦0の区間における
任意のxにおいて 
-f`(x)=g`(x)=f`(x)=0 が成立する(図をかいてください
 かかないとおそらくわかりません)

つまり g`(0)=0は成立する
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補足説明

-f`(x)≦g`(x)≦f`(x)であるのでf`(x)≧0であり
かつ f(0)=g(0)=0  であり-f(x)≦g(x)≦f(x)であり
g(x) f(x)共に連続

 なので  f(-1)=g(-1)= f(0)=g(0)=0 であり  この時点で

 片側微分係数   lim f`(x)=g`(x)=0であるとわかる。
(片側微分係数とは h→-0
ある点への片側からちかずいたときの傾きである)
  今はじめの題意より

f(x)、g(x)は区間-1≦x≦1で微分可能であるとすると書
いてある。
微分可能とはつまり ある点の左右両方からの片側微分係数が存在し
かつ一致する事と同値であるといえる

 つまり
lim f`(x)=g`(x)=0 でかつ lim f`(x)=g`(x)=0
h→-0               h→+0

が成立するということである。これはまさに

lim f`(x)=g`(x)=0 ⇔f`(0)=g`(0)=0を示している
h→0      
にほかならない