質問<129>99/4/5
from=えり
「高校入学前・春休みの課題」


今年から高校に入学するのですが、春休みの課題がどうして
もわからなくて困っています。お願いします、おしえてくだ
さい!

【1】
交わる2つの円の交点を通る直線上に点Pをとり、Pから
2つの円に接線をひいたとき、Pから接点までの長さはす
べて等しいことを示せ。

【2】
△ABCの外心をOとする。直線BC、CA、ABについ
て、Oの対称点をそれぞれA’、B’、C’とするとき、
次の問に答えよ。
    (1)△ABC≡△A’B’C’を示せ。
    (2)Oは△A’B’C’の外心、内心、重心、垂心の
       いずれか。理由を付けて答えよ。

【3】
四面体ABCDがある。AB=CD=a、AD=BC=b、
AC=BD=cのとき、この四面体の体積をa、b、cを用
いて表せ。

【4】
△ABCにおいて、∠B=2∠Cとする。辺BC上に点Dを
BD=ACにとるとき、∠ADB=30°ならば、∠Cは何
度か。

【5】
△ABCの辺BCの上の点をD、辺BCの延長上の点をEと
する。
BD:DC=BE:EC、∠DAE=90°ならば、
∠BAD=∠CADであることをを示せ。

こんなにたくさんごめんなさい。よろしくお願いします。


お返事99/4/10
from=武田


最近質問が無くて、のんびりしていてこのメールに気づいた
のが7日の夜の11時過ぎです。早速解いてみましたが、全
然解けないのに愕然としました。
プリントに印刷して、その後持ち歩きながら、高校の始業式
や入学式をこなしていきました。年度始めはやたらと仕事が
あるので、なかなか解く暇がありませんでしたし、またなか
なか解けませんでした。
解けない理由を考えてみました。全部の問題が図形に関する
問題で、それもユークリッドやアルキメデス達が活躍した時
代の公式や定理を利用する問題だったからです。日本でも戦
前の頃などには、教科書にも「幾何」という題目で勉強して
いました。現代の教科書は「関数」など図形と言うよりグラ
フ中心に勉強が展開されていますので、私もすっかり失念し
てしまっていたのです。
どなたか分からない所を補って下さい。

【1】

△PABと△PACにおいて、∠APB=∠APC(共通)
接弦定理より∠PBA=∠PAC
∴△PAB∽△PAC
比より、AP:PB=PC:AP
PB・PC=AP2……①
△PBDと△PDCにおいても同様にして、
PB・PC=DP2……②
①と②より
AP2=DP2
∴AP=DP
したがって、Pから接点までの長さはすべて等しい。

【2】

外心なので、Oを中心とした円は△ABCの外接円となる。
Oに関する点対称なので、A’、B’、C’はすべて円周上
にある。したがって、(2)は△A’B’C’も外接円の中
にあるので、外心となる。
(1)は、△ABOと△A’B’Oにおいて、OA=OA’
OB=OB’、∠AOB=∠A’OB’なので、2辺とその
間の角が等しいので、△ABO≡△A’B’O
したがって、AB=A’B’……①
同様にして、△BCO≡△B’C’Oより、
BC=B’C’……②
同様にして、△ACO≡△A’C’Oより、
AC=A’C’……③
①②③より3辺が等しいので、
△ABC≡△A’B’C’

【3】

未だ出来ず!なにか公式があるのかも?

【4】

未だ出来ず!どこかに補助線を引くのかも?

【5】

大昔のアポロニウスが見つけた「アポロニウスの円」に関す
る問題であったが、解法は分からない。
内分点Dと外分点Eを直径とする円上の点Aにおいて、
内角∠BACと外角∠CAFのそれぞれの二等分線がAD、
AEとなる。(定理)
上の定理より、∠BACの二等分線がADより、
∴∠BAD=∠CAD


お便り99/5/25
from=関谷敏雄


 先日はご苦労様でした。さっそくホームページを見させて
もらいました。すばらしいホームページですね。私も数学の
質問に答えるホームページを作りたくなりました。
 さて、質問や解答の紹介コーナーを見ていて、結構難しい
問題があるな、と思いましたが、その中の1つを解いてみて、
自分なりの解答が得られましたので、メールさせていただき
ます。

<問4>
 △ABCにおいて、∠B=2∠Cとする。辺BC上に点D
をBD=ACにとるとき、∠ADB=30°ならば、∠Cは
何度か。

初等幾何を用いた解答
(方針)∠ADH=xとなることを目標にする。
(解)

△ BDH∽△BAFより、DH/BD=AF/AB
 ∴DH=AF・BD/AB
両辺をADで割って
 DH/AD=(AF/AD)・(BD/AB)
      =(1/2)・(BD/AB)
      =(1/2)・(AC/AB)
      =(1/2)・(AB/AE)
              ( △ABC∽△AEBより)
      =(1/2)・(BC/CE)
              (角の二等分線の性質より
                BA:BC=AE:CE)
      =(1/2)・(2CG/CE)
      =CG/CE
△ ADHと△ECGは、直角三角形で、2組の対応する辺の
比が等しくなるので、相似である。よって、∠ADH=x。
△BDHの内角の和は180度だから、
2x+(30°+x)+90°=180°
3x=60°
 x=20°
よって、∠C=20°である。(以上)

三角比の正弦定理を用いるともっと、易しくなります。
(解)△ABDに正弦定理を用いて
BD/sin∠BAD=AD/sin2x …①
△ ADCに正弦定理を用いて
AC/sin150°=AD/sinx  …②
②÷①により
sin∠BAD/sin150°=sin2x/sinx
                 (仮定よりAC=BD)
sin∠BAD=sin2xsin150°/sinx
       =2sinxcosx・(1/2)/sinx
       =cosx
∠BAD=180°―30°―2x=150°-2x より
sin(150°―2x)=cosx
cos(60°―2x)=cosx
∴60°―2x=x
∴x=20°
よって、∠C=20°


お便り99/6/2
from=関谷敏雄


 武田先生、こんにちは。先日は、メールで送った解答を
HPに掲載していただき、(しかも綺麗な図までつけて)、
ありがとうございました。同じ「春休みの課題」の中の
四面体の体積を求めましたので、送らせていただきます。
(武田談:送っていただいた内容を若干表現し直して下記に
記させてもらいます。)


四面体の頂点Aをもって切り開くと、

となる。
四面体の頂点Aから△BCDに下ろした垂線の足は、展開し
た△A123の垂心Hになるから、
座標を導入して、垂心Hの座標やDHの長さや四面体の高さ
AHの長さを求め、最後に四面体の体積Vを求めるとよい。

座標A1(s,0)
座標A2(t,0)
座標A3(0,r)とおくと、
垂心H(0,-st/r)
座標D(t/2,r/2)より、
(DHの長さ)2=t2/4+(r/2+st/r)2
(高さAH)2=b2-(DH)2
△BCDの面積=1/2・r/2・(t/2-s/2)
したがって、
四面体の体積V=1/3・△BCD・AH
==途中の計算は省略==
∴a2+b2+c2=2sとおくと、
V=1/3√{(s-a2)(s-b2)(s-c2)}

(武田談:とっても素敵な答になりました。公式になりそう
な気がします。ヘロンの公式の立体版ですね。
関谷先生有り難うございました。)


お便り2001/11/9
from=CharlieBrown


こんばんは。
いつも素早い対応、ありがとうございます。
今回はかなり昔の問題で別解を見つけたので、
そちらの紹介をしたいと思います。

問題は、
四面体ABCDがある。AB=CD=a、AD=BC=b、
AC=BD=cのとき、この四面体の体積をa、b、cを用
いて表せ。
というものでした。
座標を用いた解答が関谷氏から寄せられていました。

対角線の長さがそれぞれa、b、cとなる長方形を用意し、
それらを用いてできる直方体APBQ-RCSD から、
4つの四面体 P-ABC、Q-ABD、R-ACD、S-BCD を切り取ると、
残った図形が問題に与えられた四面体ABCDになります。直方体の3辺の長さを、
AP = d、AQ = w、AR = h とおくと、三平方の定理から、
 a^2 =       d^2 + h^2
 b^2 = w^2       + h^2
 c^2 = w^2 + d^2
となります。これを w^2、d^2、h^2 について解くと、
 w^2 = (-a^2 + b^2 + c^2)/2
 d^2 = ( a^2 - b^2 + c^2)/2
 h^2 = ( a^2 + b^2 - c^2)/2
です。求める体積は、直方体の体積から4つの四面体の体積を引けば良いので、
 V = wdh - 4×(wdh/6)
     1
   = -wdh
     3
     1   -a^2 + b^2 + c^2  a^2 - b^2 + c^2  a^2 + b^2 - c^2
   = -√{----------------・---------------・---------------}
     3           2                2                2
となります。これは関谷氏の解答と一致します。

この立体は4面が合同な三角形からできていますが、
そのうちの一つである三角形ABCの3辺の長さ a、b、c の対角を、
改めてA、B、C と名づけ直します。
これは数学Iの三角比で扱う名づけ方に対応させたわけです。
さて、求めた体積を3辺の積で割ると、
  V    1   -a^2 + b^2 + c^2  a^2 - b^2 + c^2  a^2 + b^2 - c^2
 --- = -√{----------------・---------------・---------------}
 abc   3          2bc              2ca              2ab
       1
     = -√{cosA・cosB・cosC}    (∵余弦定理)
       3
      abc
∴ V = ---√{cosA・cosB・cosC}
        3

この式から次のことがわかります。
三角形ABCが直角三角形だと、
3つのcosの積のうちどれか1つが0になります。
これは、そのような立体を作ることができないことを意味します。
関谷氏の解答の展開図を直角三角形で描いてみるとわかりますが、
例えば∠C が直角の時、CDで折り返して点A2を点A3と合わせるためには、
点A3まで180°折らなければなりません。これでは立体になりません。

同様に、三角形ABCが鈍角三角形でも、
3つのcosの積のうちどれか1つが負になります。
これも、そのような立体を作ることができないことを意味しています。
関谷氏の解答にあるように、
展開図で四面体の頂点Aから底面に下ろした垂線の足が、
三角形A1A2A3の垂心になるわけですから、
3つの折り目 BC、CD、DB で折って1点Aに集めるためには、
この垂心が三角形の内部にある必要があります。
しかし、直角三角形では、垂心は直角の頂点に、
鈍角三角形では、垂心は鈍角の外側に位置しますから、
やはりこれらは四面体に成り得ないわけです。

最後に、正四面体では、a=b=c、cosA=cosB=cosC=1/2 ですから、
 V = (√2/12) a^3
という公式が得られます。


お便り99/6/6
from=関谷敏雄



 春休みの課題の5のアポロニウスの円の軌跡に関する問題
の証明を与えました。高校1年生のときに授業で習った問題
です。当時はまだ初等幾何が教育課程にありました。私がそ
の教育課程の最後の学年だったと思います。
 一般に軌跡の問題では、逆の証明を与えなければなりませ
ん。逆の証明は、元の証明の道筋を逆にたどることによって
得られることが多いのですが、アポロニウスの円では逆の証
明がそう簡単ではないと先生に教わりました。(曖昧な記憶
ですが)
 有名な問題ですから,初等幾何の何かの本には載っている
でしょうが、私の手元にはそのような本がありません(教科
書にはあるのでしょうか?初等幾何は全然授業ではやらない
ので気がつきませんでしたが)。もし、そういう本をご存知
でしたら,教えて下さい。
【証明】

ACに平行な点Bを通る直線を引き、直線EAの延長との交
点をF、直線ADの延長との交点をGとする。
ACとFBが平行だから、△EFB∽△EAC。
よって、FB:AC=BE:EC
ACとBGが平行だから、△DBG∽△DCA。
よって、BG:AC=BD:DC
仮定より、BE:EC=BD:DCだから、
FB:AC=BG:AC。
よって、FB=BG。
さらに、∠FAG=∠Rだから、FB=BG=AB。
△BGAが二等辺三角形だから、∠BAD=∠BGD。
∴∠BAD=∠CAD