質問<149>99/6/13
from=坂田
「微分dxとは」


こんにちは。
前の3次元の問題何となくですがわかりました。
ありがとうございました。

1変数関数y=f(x)にたいして、
『微分dx』とはどういった意味を持つのでしょうか?
『微分』の定義がわかりません。
これはどこにも載ってないです。
逆に言うとあまり意味がないことなんでしょうか・・・?


お便り99/6/16
from=飯島光治


武田先生から電話いただき、先月の関数協大会の時のレポー
トを送ります。タイトルは「dxとdyをめぐって」です。
(武田談:プリント5枚にも及ぶので、要約させてもらいま
した。)

2つの論文からまとめてみました。
高瀬正仁著「dxとdyの解析学・オイラーに学ぶ」(数学
セミナー新連載、1999年4月号)と服部哲雄著「物理学
から見た微分積分教育の改善について」(数学教室、198
9年3月号)です。

 dxとdyには3つの観点があると思います。1つ目は高
校教科書などに掲載されている立場です。dy/dxは1つ
の記号であり、分けることはできないということです。でも
いつの間にか分数のように分かれて使用されているので、理
論体系を不透明にし、応用上のギャップを生み出してしまっ
ています。これは19世紀の古い発想が原因です。
 2つ目は定積分の時に現れる微小変動量としてのdxです。
            b
limΣf(x)⊿x=∫f(x)dx
⊿x→0        a
⊿xと比べて微小な変動量としてのdxという見方です。
 3つ目は20世紀になって出てきた新しい発想の「微分を
局所一次近似ととらえる」考え方です。

 上の図のように点Aを中心とした局所座標(横軸がdx、
縦軸がdy)をとり、
y=f(x)の微分として、dy=f′(x)・dxをとる
観点です。これはf′(x)を微分係数というのにピッタリ
の言葉ですし、dy/dxが分数ということにも違和感が無
くなると思います。

 微分の定義も新しく変化してきていると言えるでしょう。