質問<1573>2004/1/27
from=lia
「二項定理」


RnCr=Nn-1Cr-1を用いて0×nC0+1×nC1+…n×nCnって
どういうふうに考えるべきなんでしょうか??
あと、Fermatの定理というもの、二項定理とどんなふうにからんでくるの
でしょうか?? 
割り切れることを示す証明とか…


お便り2004/2/1
from=こんにちは


0×nC0+1×nC1+…n×nCnの値の求め方

0×nC0+1×nC1+…n×nCnは
R×nCr=n×(n-1)C(r-1)より
0×nC0+1×nC1+…n×nCn
=1×nC1+…n×nCn
=n(n-1C0+n-1C1+…+n-1Cn-1)
=n×2^n
ですね。

二項定理とフェルマーの定理との関連

たぶんこの場合の「フェルマーの定理」とは
「pを素数、kをpで割り切れない自然数とするとき、
k^(p-1)-1はpで割り切れる。」…※
という定理のことでしょうか。

二項定理をつかえば、
「pを素数、kを自然数とするとき、k^p-kはpで割り切れる。」…*

ことが数学的帰納法で示せます。

証明

k=1のとき

1^p-1=1-1=0はpで割り切れるので「*」は正しい

k=hのとき

「*」は正しい、つまりh^p-hは素数pで割り切れると仮定する。

(h+1)^p-(h+1)
=h^p-h+pC(p-1)×h^(p-1)+pC(p-2)×h^(p-2)+…+(pC1)×h

1≦r≦p-1なる任意のrに対して
pCr={p×(p-1)×…×(p-r+1)}/(1×2×…×r)
分子がpで割り切れる、かつ分母がpと互いに素なので
pCrはpで割り切れます。

よって、
pC(p-1)×h^(p-1)+pC(p-2)×h^(p-2)+…+(pC1)×hはpで割り切れます。

また帰納法の仮定よりh^p-hはpで割り切れます。

よって、
(h+1)^p-(h+1)
=h^p-h+pC(p-1)×h^(p-1)+pC(p-2)×h^(p-2)+…+(pC1)×h
もpで割り切れます。

k=h+1のときも「*」は正しい。

よって数学的帰納法により「*」は正しい。

「*」が正しければ、「※」が正しいことの証明

「*」よりk^p-k=k×{k^(p-1)-1}はpで割り切れる。
kとpは互いに素だから、k^(p-1)-1はpで割り切れる。
よって「※」が正しいことが示された。