質問<179>99/10/4
from=integer
「数学的帰納法について教えてください」


前回は、分かりやすい解説有り難うございました。
今回もまた、質問をさせてください。

シンプルな例題(因数分解が苦手です)で数学的帰納法を解
説して頂けませんか?
ある式P(n)の成り立つ為にnに1を代入してP(1)を真とする
ところは分るのですが、次のステップであるP(k)とP(k+1)を
使った部分が分りません。

よろしくお願いします。


お返事99/10/4
from=武田


質問<8>でも紹介しましたが、
 数学的帰納法はドミノ倒し(または将棋倒し)に似た方法
で証明をしています。
 前のドミノが倒れたら次のドミノが倒れるように並べてい
くやつです。
 この証明のミソは、「k番目が成り立つとしたら」と言う
点です。k番とは1番、8番、135番、1000番…と何
でも取れるからです。どこでも良いからk番が成り立つとき、
その次の(k+1)番が成り立てば、ドミノ式に次々に成り
立っていき最終的に全部成り立つことになるからです。
 ちなみに「n=1で成り立つ」という初期条件は、ドミノ
倒しの最初の一撃をさしています。

 簡単な因数分解の例で紹介してみます。
与式P(n)として、n2-3n+2=(n-1)(n-2)を
数学的帰納法で証明してみましょう。
(1)初期条件n=1のとき、
左辺=12-3・1+2=0
右辺=(1-1)(1-2)=0
∴左辺=右辺
(2)n=kのとき、次の与式が成り立つと仮定すると、
k2-3k+2=(k-1)(k-2)
n=k+1のとき、
左辺=(k+1)2-3(k+1)+2
  =k2+2k+1-3k-3+2
  =(k2-3k+2)+2k+1-3
  =(k-1)(k-2)+2k-2
    ↑
    ここで、仮定の右辺が挿入される
  =(k-1)(k-2)+2(k-1)
  =(k-1){(k-2)+2}
  =(k-1)k
  =k(k-1)
  ={(k+1)-1}{(k+1)-2}=右辺
∴左辺=右辺
(1)(2)より、すべての自然数nに対して、
与式P(n)が成り立つ。