質問<1996>2004/10/9
from=モモ
「同値関係」


以下の問いを教えてください。

Zの二元a.bの間にa~b⇔「aとbを7で割ったとき、それぞれの余りが等しい」
という関係をいれる。
また、k=0,1,2,・・・,6に対し、
集合{x│x~k}をC(k)と表すことにする。

(1) 関係~は、同値関係であることを示せ
(2) C(0),C(1),・・・C(6)は、Zの類別であることを示せ

●集合{ C(0),C(1),・・・C(6) }にC(a)C(b)=C(ab)によって乗法を定義する。

(3) この乗法の定義は、代表元のとり方に依らないことを示せ
(4) C(4)C(X)=C(1)となる X を求めよ 
(5) k=1,2,3,・・・,6 に対しC(k)C(X)=C(1)をみたす X
   は、存在し、一意に定まることを示せ。 

★希望★完全解答★

お便り2004/10/24
from=honda


1996は1817を含みますので1996のみ.
更に一般の素数pで話をしておきます.

補題:
a~bの定義は「a-bがpで割り切れる」と同値.

これは明らかなので証明不要でしょう.

(1)
・反射律
a-a=0でこれはpで割り切れるのでa~a
・対称律
a-bがpで割り切れるとき
b-a=-(a-b)なので,a~bならばb~a
・推移律
a~b,b~cとする.
a-c=(a-b)+(b-c)であって,
a-bとb-cはpで割り切れるので,a-cもpで割り切れる
よって,a~c
以上より,関係~は同値関係.

(2)
類別であることは
C(k) (k=0,1,2,...,p-1)が互いに素であり,
かつ和集合がZ全体となることをいえばよい.
C(k) (k=0,1,2,...,p-1)は
pで割ったときに余りがkとなる整数の集合
であることに注意する.
一方,
任意の整数に対して割り算の商と余りは一意に定まる・・・(A)
ので
異なるk,l(k=0,1,2,...,p-1)に対して
C(k)とC(l)に同時に属する整数は存在しない.
よって,互いに素である.
また,(k) (k=0,1,2,...,p-1)の和集合は
明らかにZの部分集合.
一方,(A)より任意の整数nは
pで割った余りkによって,C(k)に属する.
したがって,和集合はZ全体である

(3)
C(a)の代表元として,a,a',
C(b)の代表元として,b,b'をとる.
a=a'+pk,b=b'+pl (k,lは整数)
とあらわせることに注意する.
C(ab)=C(a'b')を示せば十分である.
C(ab)の任意の元xをとる
x=ab+pm (mは整数)とあらわせる
ab=(a'+pk)(b'+pl)
=a'b'+p(a'l+b'k+pkl)
したがって,xはC(a'b')の元でもある
つまり,C(ab)はC(a'b')の部分集合
まったく同様にして,
C(a'b')はC(ab)の部分集合
よって,C(ab)=C(a'b')
これより,積は代表元のとり方に依存しない

(4)(これだけp=7とする)
4*2=8=1+7であるので,
C(4)C(2)=C(1)
つまり,X=2+7k (kは整数)

(5)
・存在性
pは素数であるので,
0以上p-1以下の整数kとは
互いに素である.
一般に互いに素な整数p,kに対して
mp+nk=1となる整数m,nが存在する.(A)
したがって,このm,nを用いて
kn=1-pmであるので
C(k)C(n)=C(1)
よって,条件を満たすXは存在する.
・一意性
条件を満たすXをa,bとする.
C(k)C(a)=C(k)C(b)=1
また,明らかにこの積は可換で,
結合則を満たす.
よって,
C(a)=C(1)C(a)=C(k)C(b)C(a)
=C(b)C(k)C(a)=C(b)C(1)=C(b)
代表元を0からp-1に限るならば
a=bであるので,一意である.

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問題のC(k)の定義がおかしいですね
kを0からp-1に限定するならば
C(ab)はabが0からp-1になければいけませんが
たいていはpより大きくなります.
けども,0からp-1を仮定しないと
(5)でのXでの一意性が・・・
こういう基礎的な問題では
こういう細かい部分をきちんとしないと
いかんですね.

(A)の部分を証明するとなると
話は長くなりますが,これは既知として
よいでしょう

ちなみに,これは高校の問題ではないですね
明らかに数学科の最初のころにやる
群論か環論の問題で,
きわめて基礎的な問題ですのでたいていの
教科書にはでているでしょう.