質問<2361>2005/5/19
from=おとうさん
「倍数算」


AさんとBさんの持っている金額の比は3:1でしたが、AさんがBさんに1500円あげた
ので2人の比は4:3になりました。

問題1、Aさんが始めに持っていた金額はいくら?

回答 2人の合計金額は変わらないものとして考える。
 1500円をあげる前の比の和A3:B1=4の比。あげた後の比の和A4:B3=7。
4と7の最小公倍数28で両方をあらわすと3:1=21:7、4:3=16:12となる。

・・回答の途中ですがここで質問です。
比を最小公倍数にする行為は何のためですか?

★希望★完全解答★

お便り2005/5/28
from=亀田馬志


コレは算数の問題ですかね?
HNから察するにお子さんの宿題を手伝ってるんでしょうか?
大変ですね。頑張って下さいね。

まず初めにですが、

>比を最小公倍数にする行為は何のためですか?

との事ですが、結論から言うと、
『何の為なんだ?』
ってのはどーでもイイワケです(笑)。いや、コレホントです(笑)。
と言うのもご自身に『解き易い』方法であれば何でも構わないんですよ。
『答え』が出ちゃえば勝ちなんです。
『解法』ってのは無数に考えられます。(現にこのサイトの回答見てても“答え”
が一致してても“解き方”が違う、って例は結構あります。)
ワリと数学は『しゃちほこばって』捉えられてますが、ホントはそうじゃなくって、
『色々な方法』の中から『エレガントに見えそうなモノ』であるとか、『応用があり
そうな方法論』であるとか、そう言ったモノが『マニュアル化』されて学校では提供
されてるに過ぎません。(その判定してるのは文部科学省のお偉いさんでしょう
がね・笑)
そう言ったワケで、

>・・回答の途中ですがここで質問です。

ってのは既に『答え』はご存知でしょうから、もし、その『解説』が分からないん
なら、基本的に貴方の責任じゃないんですよ(笑)。書いた方が悪いんです(笑)。な
んせ『分かるように書いてない』んですからね(笑)。ですから『その路線で』ムリに
理解する必要は無いと思います。
(もっとも教科書・参考書・研究書の類だけは出版界では珍しく“書いた方が悪い”ん
じゃなくって“読めない読者が悪い”と責められてる様なヘンな気持ちに陥る事が出
来る唯一の出版物です・笑。フツーの本ではこうはいきません・笑。“良く意味が分か
らない本”を書いた作者が責められて干されます・笑。)
同時に次の事も言えます。『答え』が分かっている状況で『その解法がピンと来ない』
んだったら
『自分だったらこう解いてみる』
って発想が大事です。色々とやってみるんです。
数学ってのは僕が言うのも何なんですが、一種の『自然科学』なんです。よって
『実験』ってのは避けられません。その『実験』がビーカーとかフラスコ使うか
『紙と鉛筆』のみなのか、ってのが違うだけなんです。
ですから、『学校での天下りのイメージ』で『数学』ってのを捉えて『解法はこう
あるべきだ』って考えるのは間違いです。そんなに『数学』ってのはエレガントに
発達して来たワケでもないんです。
現代の最先端の研究に携わってる数学者にしても『エレガントな解法が天啓の様に
降りてくる』ってワケでも無いと思いますよ。多分想像するに、あーでも無いこー
でも無い、って悩んだりコンピューターで仮説をシミュレーションしてみたり、詰
まってみたり、息抜きにAV見たり(笑)、たまにはキャバクラとかテレクラ行って女
の子と喋ってたりしてると思いますよ(笑)。
まあ、そんなワケで受験に携わってる“時間が限られてる”『受験生』なんかはむ
しろ『解法を丸暗記』すべきかもしれませんが(ハッキリ言うと“数学”って“受験”
科目は言われてる程“思考力”とか“理論構成力”なんてモノとは縁が無いと思い
ます。純粋な“数学”と受験科目での“数学”は意味が違います。)、僕等社会人に
なって『数学の問題』にご自身で『積極的』に関わらなきゃならなくなったら(まあ
“趣味の問題”ですが)『色々解法を試せる』非常に“贅沢な時間”を味わえますし、
むしろ味わうべきなのかもしれません。ってな事を最近痛切に感じております(笑)。

てなワケで取りあえず問題見てみましょうか?それからそのアト『比を最小公倍数に
するのは何の為の作業なのか?』考えてみる事にします。

>>AさんとBさんの持っている金額の比は3:1でしたが、AさんがBさんに1500円あ
げたので2人の比は4:3になりました。

問題1、Aさんが始めに持っていた金額はいくら?

まあ、僕だったらこの問題を見たら取りあえず『問題文の条件』をそのまま『数式に
翻訳』します。多分それが『数学的』にはティピカルな方法論でしょう。

(最初の金額)  (最後の金額)
Aさん:x円  →Aさん:x-1,500円
Bさん:y円  →Bさん:y+1,500円

つまり次のシチュエーションが設定出来るワケです。

(最初の状況)x円:y円=3:1・・・①
(最後の状況)x-1,500円:y+1,500円=4:3・・・②

①、②を書き直すと、

・x=3y・・・①'
・3(x-1,500)=4(y+1,500)・・・②'

この①'②'の連立方程式を解けば解が得られるワケです。コレは簡単ですよね。
(ちなみにAさんが始めに持っていた金額は6,300円です。)
ブッチャけこの問題を作った作者もコレで問題解いてるハズなんです。しかし
その様には書いてない。何故なんでしょうか?
それはこの『問題を解く』対象者が『連立方程式』を習ってない可能性があるから、
です。ハッキリ言うと(恐らく)小学生を対象としてるんでしょう。そして『連立
方程式』で簡単に解ける問題をワザワザ『ややこしく迂回するように』回答者が
誘導してます。それは何故か?
多分『中学受験』か何かの為の問題だったんですよね。『数学』ってのは問題を解き
易くする為に『ツールとして』便利になる様に発達して来ています。ワザワザ『解き
方をメンド臭くする為に』発達させるバカはいない。しかし『受験の為なら』話は別
です。『易しい手段』で設定した問題を『その手法を隠して(もしくは知らない
相手に)』出題する。大学入試でも良く使われている手口です(笑)。
基本的に『受験』ってのは『出題者vs解答者』の勝負として考えると、そんなに
『フェア』でも無いんですね(笑)。かなり『卑怯な』シチュエーションです(笑)。
『お前そんなトコに武器を隠し持ってたのか!!!』みたいな(笑)。逆に解答者が
『高度な数学を使う』と『それは××の範囲外です』とか言われて(笑)、審判も
出題者なんで勝負としては分が悪いんです(笑)。プロレスでもあり得ない判定
負け(笑)。まるで『東京裁判』並です(笑)。JRAvs馬券購入者の方がまだマシかも
しれません(笑)。

>>回答 2人の合計金額は変わらないものとして考える。
 1500円をあげる前の比の和A3:B1=4の比。あげた後の比の和A4:B3=7。
4と7の最小公倍数28で両方をあらわすと3:1=21:7、4:3=16:12となる。

数学的に言うと、ここの『解法』で書かれている手口は次の様に翻訳されます。

・Bさんが初めに持ってたお金をs円とする。
・するとAさんが初めに持ってたお金はBさんのそれの『3倍』なんで3s円となる。
・AさんとBさんの持ってるお金の合計はs+3sで4s円。

とここまでが『条件①』です。ふう、ヤヤコシイな(苦笑)。まあ、『解法自体』が
数学的に見るとヤヤコシイんでしょうがないでしょう。
ついでに次の状況を考えます。

・あるお金の量をt円とする。
・Bさんの持ってるお金はt円の3倍で3t円である。
・Aさんの持ってるお金はt円の4倍で4t円である。
・AさんとBさんの持ってるお金の合計は3t+4tで7t円である。

これが『条件②』になります。そしてココで次の一文が効いてきます。

>2人の合計金額は変わらないものとして考える。

ここから合計金額は

・4s=7t

ってのが条件になるんです。
つまり

・s=7t/4

ですし、

・t=4s/7

ですよね?ここまでイイでしょうか?
つまり最初のお金の比は

・3s:s=21t/4:7t/4・・・③

ですし、アトの比は

・4t:3t=16s/7:12s/7・・・④

となってます。イイですか?
さて、『比/比率/割合』ってモノの本質ですが、『何の何倍で書き表すか』ってのは
実は任意(条件さえ満たしていれば、コチラが勝手に決めてイイもの)なんです。
ちょっとココで③と④を書き直してみると、

・3s:s=21*(t/4):7*(t/4)・・・③'
・4t:3t=16*(s/7):12*(s/7)・・・④'

まあ、括弧で括っただけですよね。この③'式と④'式を『日本語』で書き換えると、

③'の意味:sの3倍とsの比率はt/4の21倍とt/4の7倍の比率と同じである。
④'の意味:tの4倍とtの3倍の比率はs/7の16倍とs/7の12倍の比率と同じである。

『比/比率/割合』ってのは特に数学的には『単位=比較したいモノの最小量』って
のが決定されてるワケでは無いんです。融通無碍と言ってイイ。状況設定によって
『単位=ユニット』ってのをコチラが勝手に設定出来る。その『普遍性』のお陰で、
僕等は様々なジャンルで色々な数学的応用が出来るワケなんです。
例えば物理で移動距離とかかった時間の“比(割合)”を求めてみたり、化学で“水溶液
中の物質の比(割合)”を求めてみたりする事が出来ます。お好みでしたら、“男子
中学生中のガングロ女子高生の比(割合)”なんてワケの分からないのも理論的には
設定は可能です。しかしその計算が意味が無いのは、数学側の要請と言うより、
研究したい“問題設定”が適切か否か、の問題なんです。(しかも親切な事に
“問題設定が適切か否か”を判定する方法論でさえ、数学は言及してくれています。)
上式③'の場合は左辺の“最小量=単位”がs、右辺の“最小量=単位”がt/4となっ
てます。④'式の場合は左辺がt、右辺がs/7ですよね。つまり『お互いの最小量の
何倍か』ってのを両式とも"比”として言及しているんです。
しかしながら、『束縛条件』がココで出てきます。それは

1:③'式の比率(係数)の和は常に4の倍数でなければならない。
2:④'式の比率(係数)の和は常に7の倍数でなければならない。
3:1と2の条件を同時に満たさないといけない。

それぞれの式を確認してみて下さい。
この3つの条件を同時に満たすモノは『4と7の“公”倍数』しか無いんです。
お分かりでしょうか?
さて、ここでもう一度書いておきますが、原則的に『4と7の公倍数』であれば何でも
構わないんです。例えば4と7の公倍数としては、56、112、224、448、896等と
たくさんありますね。どれを使っても構いません。(と言うのも単位=ユニット自体
が数学的には何でもイイので)
ただし、“最小”が一番計算がメンド臭くないんで、解答上『最小公倍数を使って
いるだけ』なんです。以上です。

とか言いながらコッチの説明の方がややこしかったかもしれませんね(笑)。コレを
小学生に説明するのは・・・大変でしょう(笑)。だから『暗記』させたり『詰め込み』
した方が、教える方もラクですし(笑)、もっと言っちゃうと習う側もラクなん
ですよ(笑)。人間は『理屈を理解する』方が実は大変だったりするんです(笑)。


お便り2005/6/8
from=おとうさん


亀田馬志さんへ
あなたの回答は理路整然と解説してあり知識のある方の語彙の魔術に引き込まれて
しまいました。
このようなコメントを書く場ではないのですが、
お礼を言いたくて書いてしまいました。