質問<277>2000/6/23
from=金子
「複素数平面と放物線?」


①
複素数平面上で、原点Oと異なる点A(a)通りOAベクトルに垂直な直線
をLaとし、点P(z)をLaに関して対称移動した点を表す複素数をZaとおく。

(1)ZaをZ,Zバー(共役複素数)、a,aバー(共役複素数)のうち適当な
   ものを用いて表せ

(2)原点を中心とする半径1の円周上に頂点がある正三角形BCDがあ
   る。ただし、B(β)、C(γ)、D(δ)とするとき、
   0°≦argβ<argγ<argδ<360°である。
   zが△BCDの辺上を動くとき|Zβ-Zδ|が最小となるzを求めよ
   またそのときのargzをargβで表せ

②
xy平面上に円C:X^2+Y^2=1がある。
点P(p,2p)(pは1、-1でない,|p|>1÷√5)を通るCの2接線
と直線L:Y=2x-3 との交点をQ,Rとするとき、
三点P,Q,Rを通りy軸に平行な軸をもつ放物線の
方程式をPを用いて表せ。


お返事2000/6/24
from=武田


大学の複素数の問題でしょうか?「高校数学の窓」では難しくて、
解けそうにありませんでしたが、以前同じような問題の質問が来た
とき、購入した梅沢敏夫・後藤達生共著「複素数と幾何学」(培風
館)を覗いたところ使えそうな内容がありましたので、そこから類
推して解いてみました。合っているかどうかは分かりませんが、参
考にはなるでしょう。
問1(1)

原点と点B(2a)を結んだOBの中点A(a)を通る垂直二等分線は複素
数の世界では、次のように表される。
        _  _
La:z/2a+z/2a=1
           _
したがって、両辺に2aaをかけると、
_   _   _
az+az=2aa……①

この①に直交する直線で、点Q(Za)を通るのは
_   _ _   _
az-az=aZa-aZa……②
①と②の交点H(h)は、連立させて、①+②より
 _    _ _   _
2az=2aa+aZa-aZa
 _    _ _   _
2ah=2aa+aZa-aZa……③
点HはPQの中点だから、
  z+Za    _  _  _
h=───より、2ah=az+aZa……④
   2
③と④より、
_  _    _ _   _
az+aZa=2aa+aZa-aZa
_    _  _
az=2aa-aZa
 _   _ _
aZa=2aa-az
両辺に共役複素数をとると、
_   _   _
aZa=2aa-az
したがって、
        _ _
Za=2a-(a/a)z……(答)

問1(2)

|zβ-zδ|=|(zβ-zγ)+(zγ-zδ)|
       ≦|zβ-zγ|+|zγ-zδ|
       =|z(β-γ)|+|z(γ-δ)|
       =|z|・|β-γ|+|z||γ-δ|
|β-γ|や|γ-δ|は△BCDの辺の長さだから√3より、
|zβ-zδ|≦2√3|z|
|z|が最小となるのは、図のzの場所(三ヶ所ある)だから、
|z|=1/2より、argβ=θとすると、
  1     π       π
z=─{cos(θ+─)+isin(θ+─)}
  2     3       3
または
  1     3π       3π
z=─{cos(θ+──)+isin(θ+──)}
  2     3        3
または
  1     5π       5π
z=─{cos(θ+──)+isin(θ+──)}
  2     3        3
          nπ
argz=argβ+──(ただし、n=1,3,5)
           3

問2

円x2 +y2 =1上の接点(a,b)とすると、
a2 +b2 =1……①
円の接線の公式より、ax+by=1
点P(p、2p)を通るから
ap+b2p=1……②
①と②より、
a=(1-2bp)/p
(1-2bp)2 +(bp)2 =p2 
1-4bp+4(bp)2 +(bp)2 -p2 =0
5p2 2 -4pb+1-p2 =0
bの2次方程式だから、解の公式より、
  2p±√{4p2 -5p2 (1-p2 )}
b=───────────────────
         5p2 

  2p±√(-p2 +5p4 )
 =─────────────
     5p2 

  2p±p√(5p2 -1)
 =─────────────
     5p2 

  2±√(5p2 -1)
 =───────────
     5p

したがって、
  -1±2√(5p2 -1)
a=───────────
     -5p
2つの接線の方程式は
-1±2√(5p2 -1)  2±√(5p2 -1)
───────────x+───────────y=1
   -5p           5p
これと与えられた直線y=2x-3との交点R,Qは、連立して
  5p+6+3√(5p2 -1) 10p-3+6√(5p2 -1)
R(──────────────,──────────────)
       5               5

  5p+6-3√(5p2 -1) 10p-3-6√(5p2 -1)
Q(──────────────,──────────────)
       5               5
この2点とP(p,2p)を放物線y=ax2 +bx+cに代入して、
連立すると(計算が大変なので、省略)
   1
y=────{5x2 -(6p2 +10p+6)x+(5p2 +12p)}……(答)
  3-3p2