質問<278>2000/6/25
from=muu
「特性方程式」


はじめまして。
数列の漸化式で使う特性方程式がよくわからなくて困っています。
A n+1 と An がどうして同じ文字で置き換えることができるの
でしょうか?
よろしくお願いします。


お返事2000/6/25
from=武田


大学の数列の内容でしょうか。私も若干数列には興味があって、15~
6年前に高橋健人著「差分方程式」(培風館・新数学シリーズ20)を
購入し勉強したことがあります。
早速特性方程式を調べてみました。
なお、n=0,1,2,3……とする。
A(n+1)-A(n)=b……等差数列A(n)=C+bn
A(n+1)-a・A(n)=0……等比数列A(n)=Can
A(n+1)-a・A(n)=b……線形1階差分方程式
                      b
            A(n)=Can+────
                     1-a
A(n+1)-a・A(n)=B(n)……線形1階差分方程式
            A(n)=Can+U*(n)
            ただし、U*(n)は未定係数法で求める。
以上のように差分方程式は結構難しい。
この上を行く線形2階差分方程式は、質問の特性方程式を使って解くことになる。
A(n+2)+a・A(n+1)+b・A(n)=0
A(n)=ρn とおくと、
ρn+2+a・ρn+1+b・ρn=0
ρn(ρ2 +aρ+b)=0
因数分解の右側の式(特性方程式という)ρ2 +aρ+b=0を解いて、
解の公式より、
  -a±√(a2 -4b)
ρ=────────────
     2
これをρ1 、ρ2 とすると、
ρ1 ≠ρ2 ならば、A(n)=C1 ρ1 n +C2 ρ2 n 
ρ1 =ρ2 ならば、A(n)=(C1 +C2 n)ρ1 n 
となる。
これを使ってフィボナッチ数列を解いてみよう。
1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,……
A(n+2)=A(n+1)+A(n),A(1)=1,A(2)=1
A(n+2)-A(n+1)-A(n)=0より、
a=-1,b=-1
特性方程式ρ2 -ρ-1=0を解くと、
  1±√(1+4) 1±√5
ρ=────────=────
     2       2
ρ1 ≠ρ2 より、
         1+√5       1-√5
A(n)=C1 ( ──── )n +C2 ( ──── )n 
           2          2
初期条件A(1)=1,A(2)=1より、
C1 +C2  √5(C1 -C2 )
─────+────────=1
  2       2
(C1 +C2 )+√5(C1 -C2 )=2……①
3(C1 +C2 ) √5(C1 -C2 )
───────+──────────=1
   2        2
3(C1 +C2 )+√5(C1 -C2 )=2……②
②-①より、2(C1 +C2 )=0
C1 +C2 =0……③
①×3-②より、2√5(C1 -C2 )=4
C1 -C2 =2/√5……④
③+④より、
2C1 =2/√5
∴C1 =1/√5
③より、
∴C2 =-1/√5
したがって、
      1  1+√5     1  1-√5
A(n)=──( ──── )n -──( ──── )n ……(答)
     √5    2     √5    2