質問<2810>2006/1/4
from=名無し
「赤チャートⅠ 例題144(2505の再質問)」


△ABCは鋭角三角形とする。このとき、各面すべてが△ABCと合同な四面体が
存在することを示せ。[京都大]

赤チャの解説、ちょっと俺の頭には理解できません。
星5つの最難問です。
よろしくお願いします。

★希望★完全解答★

お便り2006/1/12
from=Cononymous Award


このとき、四面体 A'-ABC の各面は合同です。


お便り2006/9/2
from=平 昭


面白い問題で、感心しました。
 まず、△ABCと、頂点がこの順に対応して合同な△abcを、紙を切り抜いたような形
で与えられた、と想像してみました。この二つをどうつなぎ合わせたら、題意に合うよう
な四面体作りにつながるでしょうか。(四面体というからには、△を四つつなぐのです
が、まずは最初の二つです。)
 まず考えたのは、頂点Aとa、Bとbを重ね合わせることです。
 ですが、これではうまく行きません。
△(Aa)Cc(頂点Aとaを重ねたのでこう書きました)を考えると、
 辺(Aa)Cの長さ=辺(Aa)cの長さ、
となって、二等辺三角形ができてしまいます。元の△ABCが二等辺三角形だ、などという
条件はありませんから、失敗です。

 となると、やり方は、ほかに一つしかありません。つまり、Aとb、Bとbを重ね合わ
せるのです。こうすると、
 △(Ab)Ccにおいて、
 (Ab)C=AC、(Ab)c=bc=BC
で、△(Ab)Ccと△ABCは2辺の長さが等しくなりました。
△(Ba)Ccにも同様のことが言えます。)

 こうなると、後はCc=ABとなるようにcの位置を決められれば、各面が全て合同な
四面体の完成です。いや、問題からして、そのように決められるに違いない。そのことを
証明すればよいわけです。
 
 ところで、ここで忘れてはいけないことがあります。問題には、
「△ABCは鋭角三角形」と条件がついていました。この条件は、どう効いてくるので
しょう。また、数式で、この条件をどう表したらよいでしょうか。
 このあたりまで考えると、次のような解答が浮かびました。

 鋭角三角形ABCにおいて、
Aを原点(0、0)とし、B(1、0)、C(α、β)かつβ>0となるようにxy座標
を取る。
 角A<π/2よりα>0………①
 角B<π/2よりα<1………②
 また、角C<π/2と、円周角の定理より、CはABを直径とする円の外部にあるから
 (α-1/2)^2+β^2>1/4………③

ここで、点D(1-α、β)を考えると、
△ABC≡△BADは明らか。
 さらに、Dをx軸の周囲に角θだけ回転させた点をD(θ)とする。
当然、△ABC≡△BAD≡△BAD(θ)………④

 ここで、△ABCと△CD(θ)Aを考えると、任意のθについて
 AC=CA(共通)かつ、BC=AD=D(θ)A………⑤
が成り立つ。
 また、CとD(θ)の距離をd(θ)と置けば、

 d(0)^2=(2α-1)^2<1………条件①と②より。

 d(π)^2=(2α-1)^2+4β^2
      =4{(α-1/2)^2+β^2}>1………条件③より。

そこで、 d(0)<1<d(π)
dは明らかにθの連続関数だから、中間値の定理より………★
0<φ<πなるあるφに対し、d(φ)=1
 この時、CD(Φ)=1=ABで、
⑤を考えれば△ABC≡△AD(Φ)C………⑥
となる。
同様に、△ABC≡△AD(Φ)B………⑦

④、⑥、⑦により、四面体△ABCD(Φ)の各面の三角形全てが互いに合同である
ことが示せた。
 証明終わり。

★ 中間値の定理というと高級なようですが、一本のひもの両端を持った人がそれぞれ、
道のこっちと向こうに立っていれば、ひもが切れていない限り、ひもは道と交わってい
る、ということを表しているだけです。まあ、連続の定義のようなものです。

 それにしても、ていねいに証明を書くと面倒ですねえ(^_^;)