質問<313>2000/9/2
from=文系学生
「微分と分数の初歩的な計算」


武田先生、失礼します。
初歩的な数学の質問で恐縮なのですが、
  P(X)+[dP(X)/dX]・X
 =P(X)・【1+1/{[dX/dP(X)]・[P(X)/X]}】
という展開があるのですが、以下のような過程を経ていると
考えてよいのでしょうか?

 P(X)+[dP(X)/dX]・X
=P(X)・【1+[dP(X)/dX]・[X/P(X)]】
=P(X)・【1+{1・[dP(X)/dX]・[X/P(X)]}】
=P(X)・【1+{1÷〔[dX/dP(X)]・[P(X)/X]〕}】
=P(X)・【1+{1/〔[dX/dP(X)]・[P(X)/X]〕}】

となるのでしょうか?
また、この場合、微分であるdP(X)/dXを、
分数と同様に扱っているのでしょうか?

見にくくなってしまってすみません。


お返事2000/9/3
from=武田


解答は良いと思います。
微分商dy/dxの扱い方が、質問149と同様に疑問なのだと思います。

 dxとdyには3つの観点がある。
1つ目は高校教科書などに掲載されている立場です。dy/dxは1つ
の記号であり、分けることはできないということです。でもいつの間に
か分数のように分かれて使用されているので、理論体系を不透明にし、
応用上のギャップを生み出してしまっています。
これは19世紀の古い発想が原因です。

2つ目は定積分の時に現れる微小変動量としてのdxです。
            b
limΣf(x)⊿x=∫f(x)dx
⊿x→0        a
⊿xと比べて微小な変動量としてのdxという見方です。

3つ目は20世紀になって出てきた新しい発想の「微分を局所一次近似
ととらえる」考え方です。

 上の図のように点Aを中心とした局所座標(横軸がdx、縦軸がdy)
をとり、y=f(x)の微分として、dy=f′(x)・dxをとる観点
です。これはf′(x)を微分係数というのにピッタリの言葉ですし、
dy/dxが分数ということにも違和感が無くなると思います。