質問<3130>2006/4/28
from=ZELDA
「面積の最小」


曲線y=e^(-x)と直線y=ax+3(a<0)とが囲む図形の面積を最小にするaの値を求めよ。

曲線と直線の交点が求まらないのにどうすればよいのでしょうか?
2つの交点のx座標をs,tとおいて、これらの関係式からs,tを消去することもできそう
にありませんでした。
ただ、曲線と直線の交点をA,B(Bのほうがx座標が大きい)として、
直線とy軸との交点をCとした場合にAC=BCとなる場合に面積は最小になりそうです。
このときのaの値は,
√2/log[(√2)-1]
になります。
どなたか、御教授ください。お願いします。

★希望★完全解答★

お便り2006/5/6
from=UnderBird





お便り2006/9/11
from=平 昭


こんにちは。
 すでに出ている回答は、いわゆる「はみ出し削り論法」による見事なもので、
感心しました。(0、3)を中心にして対称な曲線を持ってくる、という閃きがすごい。
私は閃かなかったので、地道にやってみました。
 ところで、今の高校生は、極座標表示による積分で面積を出す方法、というのを習って
いるのでしょうか。これを知らないと、ちょっと難しい問題かと思います。

【回答】
 直線y=ax+3(a<0)を、y=tanθx+3(π/2<θ<π)と表し、
この直線と曲線y=e^(-x)との交点をそれぞれ、
A(rcosθ、rsinθ+3)、
B(rcos(θ+π)、rsin(θ+π)+3)
とおく。ここで、rはθの関数r(θ)であり、r>0とする。θの範囲より、
Aは第二象限、Bは第四象限の点となる。
(図を描くと分かりやすいのですが、私には
パソコン上で図が描けませんm(__)m。
これはつまり、点(0、3)を中心とした極座標表示です。)

この時、求める面積をS=S(θ)とすると、
2S(θ)=∫r(φ)^2dφ
(積分区間がθから(θ+π)までの定積分)と書ける、、、★

(これも図があると分かりやすいのですが、
AからBまで左回りに180度回って積分するわけです。)

これより
2dS/dθ=r(θ+π)^2-r(θ)^2
     ={r(θ+π)-r(θ)}{r(θ+π)+r(θ)}となる

 ここで、A、Bのy座標を考えれば
A、Bはy=e^(-x)上の点でもあることより、

r(θ)sinθ+3=e^(-rcosθ) 
r(θ)={e^(-rcosθ)-3 }/sinθ

r(θ+π)・sin(θ+π)+3=e^(-rcos(θ+π))
r(θ+π)={e^(rcosθ)-3 }/-sinθ

よって、e^(-rcosθ)=Yとおけば

2dS/dθ=-(Y+1/Y-6)(Y-1/Y)/(sinθ)^2
         =-(Y^2-6Y+1)(Y^2-1)/Y^4・(sinθ)^2
     =-{Y-(3+2√2)}{Y-(3-2√2)}(Y^2-1)/Y^4・(sinθ)^2
ここで、Yは交点Aのy座標であり
π/2<θ<πの時、Y>3 (図を考えれば明らか(^_^;))
またこの時、sinθ>0である。

よって、dS/dθは
Y<(3+2√2)で正
Y=(3+2√2)で0  
Y>(3+2√2)で負
となる。

 また図より、θがπ/2<θ<πで増加するとき、Yは単調に減少する。
(厳密に言えば、ここも証明が要りそうです。)

 だからdS/dθは、
αを、e^(-rcosα)=3+2√2を満たす値として
θ<αで負、θ=αで0、θ>αで正となる。

(増減表を書きたいのですが、これもパソコン上では描けませんm(__)m)
 これらより、S(θ)はθ=αで最小値をとる。
この時、a=tanα=rsinα/rcosα
          ={e^(-rcosα)-3}/rcosα

そして、e^(-rcosα)=3+2√2より
      rcosα=log(1/( 3+2√2))=log(3-2√2)

 よって求めるaの値は2√2/log(3-2√2)

(終わり)


★2S(θ)=∫r(φ)^2dφ
(積分区間がθから(θ+π)までの定積分)と書ける

これは、極座標形式での面積計算の基本となる式です。
xy平面において、(x、y)=(rcosθ、rsinθ)となるように極座標を取るとき、

方程式:r=r(θ)で表される曲線のうち、
α≦θ≦β(0≦α<β<2πとします)
に対応する部分と、

座標の原点Oを始点として、θ方向に伸びる=つまり、Oから無限遠点に向かう方向が、
エックス軸の正方向から左回りにみて角θをなす=
2本の半直線
L1:θ=α
L2:θ=β

で囲まれる図形の面積をSとすると

2S(θ)=∫r(θ)^2dθ
(積分区間がαからβまでの定積分)=積分

となります。これは、2本の半直線

L(φ):θ=φ
と
L(φ+dφ):θ=φ+dφ

及び方程式:r=r(θ)で表される曲線のうち、
φ≦θ≦φ+dφに対応する部分とで囲まれた部分の面積を、
半径r(φ)、中心角dφの扇形の面積で近似し、
和をとっていることに相当します。