質問<329>2000/10/3
from=村尾雅之
「3系列のデータの散布図」


はじめまして.
私は神戸のバンド-化学㈱というゴム、プラスチック加工メ-カ-に勤務し
ている者です.
高校の数学とは関係ないと思うのですが、一緒に考えて頂きたいと思います.
質問の内容は、アプロ-チ方法についてです.よろしくお願い致します.

下表に示すような3系列のデ―タの散布図があるとします。

この散布図は横軸にあるモノの位置( mm )を示し、縦軸は特性値Xの
数値を示しています。
今回の質問は、こういった位置と特性値Xの関係を定量的に把握し、こ
の3つのデ-タを比較する方法が何かないかという相談です。
このグラフは、横軸に示した位置変化に対する特性値Xの変化を示して
します。N1、N2、N3というデ-タ系列は、作製条件等が異なるデ-タ系
列に相当します。今回確認したいことは、作製条件の変更によって、得
られる特性値Xのデ-タに違いがあるか判断する方法が何かないかとい
うことです。ただし、N1、N2、N3の絶対値が重要な比較対象ではなく、
N1、N2、N3のグラフ形状(このグラフはデ-タプロットを滑らかに結ん
でいるだけですが、サンプリング間隔を小さくすれば、このようなグラ
フの取得は可能と考えます)に違いがあるかどうか判定したいのです。
絶対値であれば1系列の平均と標準偏差から他の2系列との間に差があ
るかどうかは統計的に判断することはできますが、ここでは各系列(作
製条件)毎にデ-タの癖を見出して定量化し比較したいと考えています。
しかも、それは横軸のデ-タ取得長さに影響されないような指標である
なら何も言うことがありません。イメ-ジ的にはフ-リエ変換のように
ピ-ク値があらわれるような数学的処理が出来れば、デ-タ系列である
作製条件の違いによる比較がしやすいのですが・・・。しかし、フ-リ
エ変換でいう周波数に相当するものが、この場合何に該当するかはわか
りません。
まずは、こういうことが可能かどうかも全くわかりません。お忙しいと
ころ申し訳ありませんが一緒に考えてください。よろしくお願いします。


お返事2000/10/4
from=武田


同僚の工業科の松井先生にどのようにすればよいか質問してみたところ、
次のようなアドバイスをいただきました。

エクセルで、回帰直線を求める操作をしたのが下図です。

これでは、データのバラツキが大きいので傾向がつかみづらく、適合度
を表すR2 も1より大幅に下回っています。
1に近いほどその回帰直線は良好なので、「移動平均法」を使うと良い
そうです。それは、データの前後3個の平均をプロットしたものです。
それが下図です。

データN1とN2とN3を3個の平均値データI1とI2とI3に直し、
エクセルで回帰直線を求めると、
I1が一番回帰直線に信頼度が高いことになります。mmが増えるにつ
れて、少し減少する直線になります。
I2は、I1と同じような傾向にありますが、上下のバラツキは多きよ
うです。
一方、I3は、回帰直線の信頼度は低く、また周期のような波が見て取
れます。mmが増えるにつれ増加する傾向にあります。

以上ですが、これぐらいで良いでしょうか?もう少し詳しくと言うこと
で有れば、精確なデータをお送り下さい。私には有力なアドバイザーが
いますので!!


お便り2000/10/10
from=村尾雅之
「回答について」


バンド-化学の村尾です.
先日は、勝手な質問に付き合っていただきありがとうございました.
その回答を読ませていただきましたが、結論からいうとNGです.
理由については添付(下記)に示しています.
添付の内容で検討の方お願い致します.
必要なデ-タがあれば連絡ください.
答えを楽しみに待っています.
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To :武田 利一 先生
From :バンド-化学(株) 村尾
「 数学質問に対する回答について 」
お忙しい中、個人的な問題に付き合って頂きありがとうございます。ま
た他の先生にまで声をかけて頂いて感謝しております。今回返信いただ
いた回答についてですが、結論から言いますと、残念ながら当初の目的
に合致したアプロ-チとなっていません。その理由を下記に示します。
返信にあった方法では、回帰直線を求めて特性値X のモノの位置方向に
おける傾向をマクロ的に見るということになっています。そこに1 つの
指標としてR2 値が用いられており、回帰直線の信頼度とともにその傾
向が示されています。移動平均を用いた場合でもR2 値が変化するだけ
で同じ事を意味していると思われます。
前回、説明不足であったようなので補足説明します。今回、私の目指す
ところは、特性値X のモノの位置方向全般に渡る傾向の把握(つまり、
特性値X がモノの位置方向全体で右上がりか右下がりかまたは直線か、
周期的な波があるのかの把握)をしたいのではなくて、おそらく、不規則
な曲線になっているであろうデ-タプロットをどうやれば上手く数学的に
反映させることができるかということです。イメ-ジとしては、返信頂い
た回答におけるR2 値を全ての系列のデ-タプロットでR2 =1とする変換
方法が何かないかということです。返信頂いた方法ではR2 の値によっ
ては同じ土俵で比較が出来なくなるおそれがあります。今回の質問から
アウトプットされる方法は、実験結果の解析に用いますので、この実験
結果はR2 値が小さいからといって解析から省くわけにはいきません。
そこで前回、絶対値よりもむしろグラフの形状を定量化したいというア
ナウンスをしているわけです。今回の方法では絶対値は関係ないのです
が、デ-タ系列の定量化という面においては定性化に留まっており、し
かもR2 値によってはその傾向さえも判断できないということになって
しまいます。デ-タが平均に対してばらついていようがいまいが、それ
は問題ではありません。如何にしてデ-タ系列を上手く定量化するかと
いうことが問題です。しかも、その定量化に際しては今回と同じように
他系列のデ-タとの比較出来ることが条件となります。
私の目指すところのイメ-ジは下記に示すような感じです。左側グラフ
を何らかの処理によって右側のグラフにもっていきたいのです。右側のグラフの横、縦軸に何が相当するかは現在のところ検討もついてません
が、これなら作製条件の変更によって何がどれだけ異なってくるかが比
較できます(あくまでも、横、縦軸が決まってからの話ですけど・・・)。
使用するデ-タは位置デ-タと特性値X のデ-タのみです。このような
ことが可能かどうかも含め、申し訳ないですが、もう一度一緒に考えて
下さい。よろしくお願い致します。返信を楽しみにしています。



お返事2000/10/10
from=武田



この図ではダメでしょうか?
これは、各データから平均値を引いて、標準偏差で割って、絶対値を求め、
1を加えて、底4の対数をとって、0から1までの間にグラフを押し込め
たものです。全然ダメという声が聞こえてきます……(^_^)
今、三土修平(ミツチ・シュウヘイ)著「初歩からの多変量統計」(日本評論社)を
読み始めています。面白そうなので、良い勉強です。


お返事2000/10/25
from=武田


いろいろ考えましたが、とても無理そうです。
何気なくホームページをサーフィンしていたら、
関連しそうなホームページを発見しました。
お金が絡んでいるので、それ以上は分かりませんが、
説明を見て良さそうならばチャレンジしてみてください。
www.mcc.pref.miyagi.jp/people/ikuro/index.htm
ではまた!

お便り2003/2/20
from=通りすがりさん


捜し物をしていた通りすがりのものです
問題329について
解決のヒントになるかもしれないと思いまして
入れてみます

工学的な話の場合
(この場合に当てはめると)
位置と特性値の関係を
いくらいじっても
思い描く関係がえられず
また
位置のデータが重要でないような場合は
位置のデータを無視して
特性値間の関係を
検討するとうまくいくことがあります

今回はさしあたって3つの特性値から
221をひいて
横軸(N1/N3)、縦軸(N2/N3)として
プロットするとほぼ直線に並びます
あとは気に入った定数を選んだり
変数変換したり数学的にご自由の世界です

問題はこのようなN3で割るような計算過程が
各特性値間の関係として技術的に意味があるかで
この点はご質問者のみが知ることとなります
技術的に意味がなければ
直線に並ぼうがどうしようが
無意味ということとなります

二年半ほど前の質問なので
ご質問者においては既に解決済みとは
思いますが
このホームページ上では
未解決ということなので
僭越ながら
私の経験を書かせていただきました