質問<3296>2006/7/7
from=広
「代数学」


先生が代数学が好きなもので次の問題を考えてきて欲しいと
おっしゃったのですが・・・

pを素数として、Q(√p)={a+b√p|a,b∈Q}とおく。
Q(√p)は体で、Q”含まれない”Q”含まれない”(√p)R.
いまqをpと異なる素数とするとき、√q”含まれない”Q(√p)を示し、
さらにこれからQ(p)=/Q(q)であることを示せ。

ヒントやご意見なんでも参考になりますのでよろしくお願いします。
”含まれない”は含まれないという意味の論理演算子で、=/は等しくないと意味で
使いました。わかりにくくくてすいません。

★完全解答希望★

お便り2006/8/10
from=KINO


問題文が読みづらく,全容を理解できていないと思いますが,

p, q が異なる素数のとき,
√p は Q(√q)={a+b√q| a,b∈Q} に属さないことを示せ

という問題と解釈して回答します。

まず,p が素数のとき √p が無理数であることに注意します。
このことは,√2 が無理数であることの証明と全く同様に示すことができます。

では問題の証明の流れを解説します。背理法によります。
うまく有理数 a, b を選んで √p=a+b√q が成り立ったと仮定しましょう。
まず,このように表せているとき,a も b も 0 ではないことを確認しておきます。

a=b=0 だと √p=0 となり,p が素数であることに反します。

a≠0 で b=0 だと,√p=a=(有理数) となって,√p が無理数であることに矛盾します。

a=0 で b≠0 だと,√p=b√q で,この両辺を 2 乗すると p=(b^2)*q となります。
整数 m, n を用いて b=m/n と表します。
ただし,すでに約分して m と n は互いに素であるとしておきます。
これを代入して式を整理すると (n^2)*p=(m^2)*q となります。
p と q は異なる素数なので,m^2 は p の倍数であり,n^2 は q の倍数であることが
わかります。
一般に,素数 p について,1, 2^2, 3^2, ..., (p-1)^2 は p で割り切れません。
この事実から,m^2 が p の倍数ならば m は p の倍数でなければならないことが
導かれます。
なぜならば,m を p で割った商を k,余りを r とおき,m=kp+r と表し,

m^2=p{(k^2)*p+2kr}+r^2

と変形することにより,r=1, 2, ..., p-1 のときは決して m^2 が p で割り切れない
ことがわかるからです。
同様な理由から,n は q の倍数でなければなりません。
そこで,整数 s, t を用いて m=sp, n=tq と表すと,
(m^2)*q=(n^2)*p は (s^2)*p=(t^2)*q となり,
今度は s が q の倍数で,t が p の倍数となります。
よって,m と n は共に pq の倍数であることになります。
これは m と n が互いに素であると最初に仮定したことに反します。
よって √p=b√q とは表せません。

さて,a≠0,b≠0 の場合について考えます。
両辺を 2 乗すると,

p=a^2+(b^2)*q+2ab√q

となり,これより

√q={p-a^2-(b^2)*q}/(2ab)

となりますが,左辺は無理数で,右辺は分子・分母いずれも有理数なので,全体として
有理数です。
無理数であって,しかも同時に有理数であるような実数はありませんから,これは矛盾です。
この矛盾はどこから生じたかというと,そもそもの仮定に原因があります。

よって √p は Q(√q) には属さないことが示されました。