質問<362>2000/11/19
from=安藤正人
「積分法とその応用」



図のように、複素数平面上に原点を中心とする半径1の円Cと、
中心AがCの外側の正の実軸上にある別の円C’があり、実軸
上の1点で外接している。P、QをC’の円周上の点として、初め
QはCとの接点の位置に、PはC’と実軸とのもう一方の交点の
位置にあるとする。いまC’が、Cと接しながら滑らずに、Aが初
めて虚軸に達するまで反時計回りに回転する。この間、点Pは
1度だけCの円周と接して最後にAPベクトルが初めと同じベク
トルとなった。
 
(1)円C’の半径をrとする。Aが虚軸に達するまでにC’がCの
   円周と接する部分の弧の長さをrを用いて表せ。
   次にrの値を求めよ。
(2)PがCの円周に接するときのPを表す複素数の偏角を求めよ。
(3)初めの位置からのAPベクトルの回転角をφ、Aを表す複素数
   の偏角をθとする。φとθの関係を求めて点Pを表す複素数
   の極形式をθで表せ。
(4)Pが、最初の位置から、初めてCの円周に接するまでに描く軌
   跡と、Cの円周、および実軸で囲まれる領域の面積を求めよ。
 
ちなみに答えは、
      3      1
(1)順に ―πr 、r=―
      2      3
   π     π 
(2)― 〔または―+2nπ(nは定数)〕
   3     3
(3)φ=4θ、点Pを表す複素数の極形式は、
   絶対値をr、偏角をθ’とするとr(cosθ’+isinθ’)
   ただし
     √(17+8cos3θ)       4cosθ+cos4θ
   r=―――――――――───、cosθ’=―――――――――──
          3             √(17+8cos3θ)

         4sinθ+sin4θ
   sinθ’=―――――――――──
         √(17+8cos3θ)

   11
(4)――π
   54
 
できたら明日の夜までにお願いします。
なるべく詳しく解く過程を教えてください。


お返事2000/11/22~27
from=武田


問1

点Aが虚軸に移動したとき、点Qは円C′の円周の長さ2πrの3/4
回転したことになるから、
    3 3πr
2πr・─=─── ……(答)
    4  2
また、そのとき、円Cで考えると、90°移動したことになるから
2π・1・1/4=π/2
したがって、
3πr π     1
───=─より、r=─ ……(答)
 2  2     3

問2

点Qがもう一度円Cと接するのは、円C′が1回転したところだから、
長さは
       1 2
2πr=2π・─=─π
       3 3
円Cは半径が1だから、円周の長さ=角度となる。
点Pが円Cに接するのは、点Qが円Cに接するところの丁度半分だから、  2    π
θ=─π÷2=─ ……(答)
  3    3

問3
  π      4
θ=─ならば、φ=─π
  3      3

  π
θ=─ならば、φ=2π
  2

  2       8
θ=─πならば、φ=─π
  3       3
より、
φ=4θ……①

点Aの複素数は
                  4
Zoa=(1+r)(cosθ+isinθ)=─(cosθ+isinθ)
                  3
ベクトルAPの複素数は、①より、
              1
Zap=r(cosφ+isinφ)=─(cos4θ+isin4θ)
              3
したがって、
複素数の和より、
Zop=Zoa+Zap
   4          1
  =─(cosθ+isinθ)+─(cos4θ+isin4θ)
   3          3

   1            1
  =─(4cosθ+cos4θ)+i─(4sinθ+sin4θ)
   3            3

Zop=r(cosθ′+isinθ′)とすると、
  √{(4cosθ+cos4θ)2 +(4sinθ+sin4θ)2 }
r=──────────────────────────
             3

  √{16+8(cosθcos4θ+sinθsin4θ)+1}
 =────────────────────────
             3

  √{17+8cos(θ-4θ)}
 =──────────────
        3

  √(17+8cos3θ)
 =────────── ……(答)
      3
したがって、
     (4cosθ+cos4θ)
cosθ′=─────────── ……(答)
     √(17+8cos3θ)

     (4sinθ+sin4θ)
sinθ′=─────────── ……(答)
     √(17+8cos3θ)


問4

極座標による面積は次の公式となる。
r=f(θ)のとき
   θ2 1
S=∫  ─・r2 dθ
   θ1 2

したがって、面積Tは
  π/3 1   √(17+8cos3θ)
T=∫  ─・( ────────── )2 dθ
  0  2       3

   1 π/3
 =──・∫ (17+8cos3θ)dθ
  18 0

   1      8     π/3
 =──・[17θ+─・sin3θ]
  18      3     0

   1  17π
 =──・(───+0-0-0)
  18   3

  17
 =──π
  54

円Cの面積Uは
        60° π
U=π・12 ・────=─ だから、
       360° 6

問題の面積Sは
      17  1  17-9   8   4
S=T-U=──π-─π=────π=──π=──π ……(答)
      54  6   54   54  27

    11
※正解の──πと違うので、どこか間違っているのだろうか?
    54


お便り2002/12/16
from=CharlieBrown


お久しぶりです。
かなり昔の質問362の(4)の解答が質問者の答えと異なっている理由がわかり
ましたので投稿します。

解答では極座標による面積の公式を用いて計算しています。この公式自体は
間違っていないのですが、この問題に適用する際に誤りが生じてしまいました。
積分の∫r^2dθは、曲線上の点Pを(r,θ)の極形式で表した時のrとθです。
そのため、この問題で正しく公式に当てはめるには、Pの偏角はθではなくθ'
になるのです。それをθのまま計算したので、計算結果にずれが生じたのです。
この公式をもちいてあえて計算をするならば、θ'で一度積分を表してから、
(3)の結果を用いて、θの積分に置換しなければなりません。そして、置換後の
積分は結構複雑です。(僕もまだ解いていませんが)
代わりに、x軸にそって積分する従来の方法を用いると、Pの軌跡の下側(軌跡と
x軸と直線x=1/2に囲まれた部分)の面積は∫ydx(積分区間は[1/2,5/3])となり
ます。これを(3)の結果を用いて積分変数をθに置換して計算し、扇形や三角形
の面積を足し引きすると、正しく11π/54が得られます。