質問<3635>2007/11/16
from=あやお
「証明問題」


①
「a,b,cは実数とするとき、
a+b+c≧0、ab+bc+ca≧0、abc≧0ならば、a≧0、b≧0、c≧0 
を背理法を用いて証明」

②
「G={x|x∈R,|x|<1}とする。
x,y∈Gに対してx・y=(x+y)/(1+xy)と定義するとき、x,y∈Gについてx・y∈Gを示せ」

の2問を教えてください。
よろしくお願いします。 

★希望★完全解答★

お便り2008/2/7
from=関谷 敏雄


①
背理法による証明

a + b + c ≧ 0  ・・・・・[1]
ab + bc + ca ≧ 0 ・・・[2]
abc ≧ 0   ・・・・・・・・[3]
であるとき、a < 0 と仮定して矛盾を導く。

[1] から、b, c のうち1つは正でなければならない。
b > 0 として以下証明するが、c > 0 の場合も同様である。
[3]から、c ≦ 0 となる。
[1], a < 0 から、b + c > 0
両辺に a をかけると、ab + ca < 0
また、bc ≦ 0 であるから、
ab + bc + ca < 0
これは、[2]と矛盾する。
よって、a ≧ 0 でなければならない。
同様にして、b ≧ 0, c ≧ 0 である。
          証明終

なお、この問題が、一般的な形で、数学セミナーの
「エレガントな解答を求む」に出題されたことがあります。
そのときの解答が誠にエレガントであったので、ここに
紹介したいと思います。

f(x) = (x + a)(x + b)(x + c) とする。
展開すると、
f(x) = x^2 + (a + b + c)x^2 + (ab + bc + ca)x + abc

条件から、この方程式の係数はすべて0以上であるので、
x > 0 ならば、f(x) > 0 である。
したがって、f(x) = 0 の解はすべて0以下である。
最初の因数分解した形から、f(x) = 0 の解は、
x = -a, x = -b, x = -c である。
-a ≦ 0,  -b ≦ 0,  -c ≦ 0
これより
a ≧ 0,  b ≧ 0,  c ≧ 0
          証明終

この証明方法だと、n文字の対称式の場合に拡張しても
簡単に証明できます。