質問<3790>2010/6/17
from=御手洗
「数列」


規則性を見つけよ。
(1)
1/(1-x-x^2)=Σ(n=0~∞)a_n(x^n)
に対して、a_0,・・・,a_10を求め、その規則性を見つけよ。
そして、どうしてその規則性が成り立つのか説明せよ。
(2)
(2-x)/(1-x-x^2)=Σ(n=0~∞)a_n(x^n)
に対して、a_0,・・・,a_10を求め、その規則性を見つけよ。
そして、どうしてその規則性が成り立つのか説明せよ。
(3)
(x^2)/(1-x-x^2-x^3)=Σ(n=0~∞)a_n(x^n)
に対して、a_0,・・・,a_10を求め、その規則性を見つけよ。
そして、どうしてその規則性が成り立つのか説明せよ。
できるだけ、詳しく教えてください。お願いします。

★希望★完全解答★

お便り2010/12/11
from=平 昭


 こんばんは。明らかに大学生向けの問題ですね。計算に時間がかかりましたが、本質的に
難しい点はない問題かと思います。
 「できるだけ詳しく」とのことでしたが、

「マクローリン展開」 

f(x)=f(0)+xf'(0)+x^2・f''(0)/(2!) + x^3・f'''(0)/(3!)+……

は知っていますね? 
ここから説明するのは長くなり過ぎて無理です。知らないなら教科書を見て下さい。

 では、解答です

<問題(1)>
 f(x)=-1/(x^2+x-1)とする。
 方程式 x^2+x-1=0の2解をα、βと書くと、
解と係数の関係より、α+β=αβ=-1

そして、適当なA、Bを取れば
 f(x)=A/(x-α)+B/(x-β)と部分分数で表せる。

さて、1/(x-α)をマクローリン展開すれば

1/(x-α)=Σ(n=0~∞) -x^n/α^(n+1)であるから
 
f(x)=A/(x-α)+B/(x-β)
  =-Σ(n=0~∞)<{A/α^(n+1) + B/β^(n+1)}x^n> 
と書け、求めるa_nは

 a_n=-{A/α^(n+1) + B/β^(n+1)}   と表せる。

ここで
 -{A/α^(n+1) + B/β^(n+1)}(α+β)
=-(A/α^n + B/β^n)-{βA/α^(n+1) + αB/β^(n+1)}
=a_(n-1)-{αβA/α^(n+2) + αβB/β^(n+2)}
で、αβ=-1だから
=a_(n-1)+{A/α^(n+2) +B/β^(n+2)}
=a_(n-1)-a_(n+1)
 
 (α+β)=-1も考えれば、結局
-a_n=a_(n-1)-a_(n+1)

整理して           
  
a_(n+1)=a_n+a_(n-1) 、、、  ★

マクローリンの定理より

a_0=f(0)=1、a_1=f’(0)=1

以下、★に従って順に求めれば

a_2=2、a_3=3 a_4=5、a_5=8 a_6=13、a_7=21
a_8=34、a_9=55 a_10=89

規則性とその理由は、★の式とその導出過程より明らかである。


<問題(2)>
 f(x)=x-2/(x^2+x-1)とすれば、問題(1)と同様に

a_(n+1)=a_n+a_(n-1) 、、、  ★が成り立つ。
 問題(1)で★を導くには、f(x)の分母で決まるαとβの関係式しか使っておらず、
★はf(x)の分子に関係なく成立する。

そしてマクローリンの定理より
a_0=f(0)=2、a_1=f’(0)=1

以下、順に求めれば

a_2=3 a_3=4 a_4=7 a_5=11 a_6=18 a_7=29
a_8=47 a_9=76  a_10=123

規則性とその理由は、★の式とその導出過程より明らかである。


<問題(3)>
 f(x)=-x^2/(x^3+x^2+x-1)とする。

 方程式 x^3+x^2+x-1=0の3解をα、β、γと書く。
解と係数の関係より、
α+β+γ=-1、αβ+βγ+γα=1、αβγ=1

適当なA、B、Cを取れば
 f(x)=A/(x-α)+B/(x-β)+C/(x-γ)と部分分数で表せる。

問題(1)、(2)と同様に考えれば

f(x) =-Σ(n=0~∞)<{A/α^(n+1) + B/β^(n+1)+ C/γ^(n+1)}x^n> と書け、

a_n=-{A/α^(n+1) + B/β^(n+1) +C/γ^(n+1)}
と表せる。
ここで
(α+β+γ)a_n=-{A/α^n + B/β^n +C/γ^n)}-{(β+γ)A/α^(n+1)
          + (α+γ)B/β^(n+1) +(α+β)C/γ^(n+1)}

=a_(n-1)-{α(β+γ)A/α^(n+2) + β(α+γ)B/β^(n+2)
                     +γ(α+β)C/γ^(n+2)}

=a_(n-1)-{(1-βγ)A/α^(n+2) + (1-αγ)B/β^(n+2)
                     +(1-αβ)C/γ^(n+2)}

以下、αβ+βγ+γα=1とαβγ=1に注意して整理すれば、

結局

a_(n+3)=a_(n+2)+a_(n+1)+a_n、、、、★★

が得られる。

マクローリンの定理より
 a_0=f(0)=0、a_1=f’(0)=0 a_2=f’'(0)/2=1

以下、★★に従って順に求めれば、

a_3=1 a_4=2 a_5=4 a_6=7 a_7=13
a_8=24 a_9=44  a_10=81

規則性とその理由は、★★の式とその導出過程より明らかである。