質問<692>2001/11/14
from=つき
「ハムスターの道のり(その2)」


こんにちわ。
前回はこの問題(質問576)に対しての回答ありがとうございました。
では前の問題を5匹にしてみてはどうでしょうか。
微分方程式や極座標を使って解くのはこの問題の一般解だと思いますが、
もっとシンプルで分かりやすい解法がほしい感じもします・・。
いろいろ注文が多くてすみません・・・。


お便り2001/12/14
from=CharlieBrown


5匹と言わず、n匹の場合の一般解を求めます。

原点Oを中心とする半径Rの円に内接する正n角形(n≧3)の各頂点にハム
スターがいて、隣のハムスターを追跡するという条件のもと、同時に各頂
点を等速vでスタートさせた場合の、原点で出会うまでの道のりを求めます。
頂点を出発してから中心に到達するまでの時間をTとすれば、求める道のり
はvTです。
時刻t=0に追跡運動を開始し、時刻tにおけるハムスターの位置をP1~Pnと
すると、対称性からn角形P1P2…Pnは原点が中心の正n角形となります。追跡
という性質から、ハムスターの速度ベクトルはこの正n角形の辺と平行です。
この速度ベクトルを、原点に向かう方向(動径方向)とそれに垂直な方向
(回転方向)に分解し、動径方向の速度成分をまず求めます。
三角形OP1P2はOP1=OP2=Rの二等辺三角形です。この三角形の2つの底角の
大きさをθとすると、動径方向の速度成分はvcosθです。一方、頂角の大き
さは360°のn等分で、360/n°ですから、θ=(180-360/n)/2=90-180/n°です。
よって、vcosθ=vcos(90-180/n)=vsin(180/n)となり、ハムスターは螺旋を
描きながら、一定の速さで原点に近づいていきます。以上から、原点に到達す
る時間は、T=R/(vsin(180/n))で、その間の道のりは、vT=R/(sin(180/n))です。
念のため、n=4の場合(問題576)について確かめてみると、n=4を代入して、
vT=R/sin45°=√2・Rで、1辺10の正方形に外接する円の半径は5√2なので、
vT=10となり、前回の解答と一致します。1辺の長さと一致したのは正方形の
ときだけの偶然だったんですね。


お便り2001/12/20
from=つき


質問<692>の回答ありがとうございました。しかし、あの解法には
ちょっとした矛盾があります。
確かにCharlieBrownさんの言うように、ハムスターの速度ベクトルは正n角形
の辺と平行です。しかし、動径方向(原点に向かう方向)の速度成分はvcosθ
にはなりません。このvcosθはPから原点0まで直線で移動していく速度です。
この問題は螺旋的になっているので、このようなことは言えないと思います。

P・S
なお、前の質問の極限で解く解法ですが、その解法でも解くことができました。
あえて解法は示しませんが、結構シンプルな解き方なようです。考えて下さった
皆さん、ありがとうございました。でも興味のある方はこの問題考えてみて下さ
いね。結構面白い問題だと思います。(解法を示すことはできませんが・・)


お便り2001/12/23
from=CharlieBrown


vcosθが動径方向の速度成分にならない、という指摘は誤りです。
「vcosθはPから原点0まで直線で移動していく速度です。」というのは、
“速度の回転方向成分が0の時”という特別の場合の話です。
これは、次のような説明で示されます。

レコードプレーヤーのような回転盤を準備します。
回転盤の端から小球を一定の速さvcosθで中心に向かって転がします。
もし回転盤が静止していたら、球は直線を描きながら盤上を転がります。
盤の半径がRであれば、中心に到達する時間はT=R/vcosθです。

次に回転盤を一定の回転速度で廻しながら、先ほどと同様に端から小球を
一定の速さvcosθで中心に向かって転がします。
回転盤と球の間に摩擦が無いとすれば、慣性の法則にしたがって球は直線
的に進みます。
ところが、球の盤上の軌跡は直線にはならず、螺旋を描きます。これは、球にインクをつけて転がせば一目瞭然です。
それでも、盤の半径がRであれば、中心に到達する時間はT=R/vcosθで同
じです。

回転盤を外から眺めれば、球は直線的に進みますが、回転盤上に小型カメ
ラを固定すれば、球は螺旋運動をしていることになります。
逆に、端から中心に向かって直線状に、回転盤に溝を掘った場合、回転盤
を一定の回転速度で廻しながら、溝に沿って小球を一定の速さで転がせば、
外からは小球は螺旋運動をしているように見えます。
ところが回転盤上のカメラでは、球はあくまでも溝に沿った直線運動をし
ているのです。
運動の見え方の違いは、視点の違いに基づくものです。

このように、中心に向かう速度成分(動径成分)が一定であれば、回転速
度を徐々に速くしていっても、DJのように回転盤をスクラッチさせても、
球がどのような軌跡を描くかは場合によりけりですが、“必ず同じ時間で”
中心に到達するのです。


お便り2001/12/27
from=つき


vcosθの意味が分かりました(^^;。そうですね。
CharlieBrownさん、回答ありがとうございます。
これも回答の内の一つです。
ほかにもいろんな考え方があるので、
またいろいろ考えてみると面白いと思います。