質問<891>2002/7/8
from=老朽化
「Vandermondeの行列式」


はじめまして、”老朽化”と申します。
わからない問題があるので教えていただけたら幸いです。

問題:次の式が成り立つことを証明せよ。

det| x0^n x0^(n-1) ... 1 |
   | x1^n x1^(n-1) ... 1 |
   | ...  ...      ...   |
   | xn^n xn^(n-1) ... 1 |

= (x0-x1)*(x1-x2)*...*(xn-x(n-1))

(x0,x1,...,xn,x(n-1)はxの添え字です。)

私は、この問題を数学的帰納法を用いて試みたのですが、
n=k+1のところをどうやって解いて証明するかで
つまづいてうまくできませんでした。

また、問題にはヒントとして、
左辺の行列式はxに関してn*(n+1)/2次式だから、
行列式の性質を使ってその因数をリストアップすれば、
右辺の定数倍であることが言える。
定数因子が1であることは、対角成分の積の係数を比べればよい。
と書かれているのですが、ヒントはよく理解できません。

どんな方法でもいいので、教えてください。
よろしくお願いします。


お便り2002/7/11
from=phaos


ヒントの通りやってみましょう。

先ず, 次数ですが, 例えば対角成分を見れば
n + (n - 1) + (n - 2) + … + 2 + 1 + 0
= (n + 0)(n + 1)/2 = n(n + 1)/2
が分かりますね。

さて例えば x_0 に x_1 を代入してみると
第一列と第二列が等しいので, 問題の行列式 = 0
ですから, 因数定理によって x_0 - x_1 を因数に持つことが分かります。
同様にして x_0 - x_2, x_0 - x_3, ... , x_1 - x_2, x_1 - x_3, ......
を因数に持ちますから
結局 Π_(i < j) (x_i - x_j) を因数に持ちます。
これの次数を見ますと
n + (n - 1) + (n - 2) +  … + 2 + 1 = n(n + 1)/2
ですから, 次数を元の行列式と比較すると結局元の行列式は
a*Π_(i < j) (x_i - x_j) (a は 0 でない定数)
ということが分かります。

さて, では元の行列式を展開したときの対角成分の所を見てみましょう。
これは
Π_(i = 0)^n (x_i)^(n - i)
です。
先の a*Π_(i < j) (x_i - x_j) を展開して,
 上記の Π_(i = 0)^n (x_i)^(n -i) の項だけを
取り出してみると
a*Π_(i = 0)^n (x_i)^(n - i)
であることが分かるので
結局 a = 1 であったということが分かるという理屈です。