質問<94>98/12/4
次のような漸化式で表される数列の一般項を求めてください。 f(1)=1,f(2)=1,f(3)=2、 f(n+3)=f(n+2)+f(n+1)+f(n) *5月末から考えていますが、まだ、知り得ません。 よろしく、お願いします。 (例1)<バスケットボール競技の得点経過> 今、私はバスケットボールの顧問をしています。競技 での得点はフリースローは1点、フィールドスローは 7m以内は2点、7m以上は3点として加算されてい きます。そこで、試合中スコアブックをみると、時間 と得点経過が示されていました。 n点になるまでの得点経過はをT(n)とするとき、数列 T(n)の漸化式はどうなるでしょうか。 (例2)<駒の動き方> 下の図のような碁盤のますの中に、最初一番左下に駒 があり、その座標(0,0)です。この駒は右、上、 斜め上と3通りの方法で1ますづつ動くことができま す。図の一番右上のますの座標(m、n)までたどり 着く経路は何とおりですか。 (例3)大相撲の星取り表の中にもでてきます。 大相撲の本場所で、3連敗しない方法(2連敗まで許 される)勝ち負けの起こり方は1,2,3,4,・・ 、15日目ではどんな数列になるでしょう。
お返事98/12/6
from=武田
「トリボナッチ数列」と言う名前は、初めて聞きました。 「フィボナッチ数列」の一般項を求めるときに購入した本 培風館新数学シリーズ20「差分方程式」高橋健人著 を調べてみました。 フィボナッチ数列は、2階差分方程式と言い、 f(1)=1,f(2)=1のとき f(n+2)=f(n+1)+f(n)と言う形です。 ご質問のトリボナッチ数列は3階差分方程式と呼ばれている ようです。 この本によると、n階差分方程式は特性方程式を使って解く ようです。 例えば、f(n+2)=f(n+1)+2f(n)のとき、 f(n+2)-f(n+1)-2f(n)=0 f(n)=ρnとおくと、 ρn+2-ρn+1-2ρn=0 ρnで割ると、 ρ2-ρ-2=0 (ρ-2)(ρ+1)=0(※因数分解できる場合) ρ=2,-1 したがって、 f(n)=C1(2)n+C2(-1)n 初期条件f(1)=1,f(2)=1とすると、 C1=1/3、C2=-1/3 ∴f(n)=1/3{(2)n-(-1)n} フィボナッチ数列の場合でやってみましょう。 f(1)=1,f(2)=1のとき f(n+2)=f(n+1)+f(n)と言う形です。 特性方程式ρ2-ρ-1=0 因数分解できないので、解の公式より、 ρ=(1±√5)/2 初期条件f(1)=1,f(2)=1より、 C1=1/√5、C2=-1/√5 ∴f(n)=1/√5{((1+√5)/2)n-((1-√5)/2)n} つまり、特性方程式の解がポイントのようです。 さて、質問の3階差分方程式ですが、 f(1)=1,f(2)=1,f(3)=2、 f(n+3)=f(n+2)+f(n+1)+f(n)より、 特性方程式はρ3-ρ2-ρ-1=0 なんと3次方程式の解法がここで出てきました。しかし、こ の3次方程式は上手には解けません。 α=3√((19+3√33)/27) β=3√((19-3√33)/27) ω=(-1+√3i)/2 ω2=(-1-√3i)/2 より、 ρ1=α+β+1/3 ρ2=αω+βω2+1/3 ρ3=αω2+βω+1/3 が特性方程式の3つの解となります。 ρ1は実数解 ρ2とρ3は虚数解 虚数解の方を三角関数の極形式にして整理すると、 f(n)=A1(ρ1)n+rn{A2cos(nθ)+A3sin(nθ)} ただし、r2=1/36・(3α+3β-2)2+3/4・(α-β)2 θ=cos-1{(-1/2・α-1/2・β+1/3)/r} 初期条件より、A1、A2、A3を求める。 しかし、近似値でしか求められない。これでいいのだろうか?