質問<1>98/3/8
お返事98/3/11
from=武田
高校の勉強では「α3乗+β3乗」の因数分解までが範囲ですが、質問 がありましたので、調べてみました。はじめに日本評論社の「数学10 0の問題」p.106フェルマーの問題のところで、でてきたクンマーの因数 分解です。 xp+yp=(x+y)(x+ζy)(x+ζ2y)…(x+ζp-1y) ζp=1,ζ≠1 これが目にとまりましたので、ζを考えてみました。高校の数学Bの複 素数のところにでてくるド・モアブルの公式を使います。 ζp=cos(pθ)+i sin(pθ)=1 より、θ=2π/p となるから、 ∴ζ=cos(2π/p)+i sin(2π/p) これでうまくできると思ったのですが、ダメでした。p=3,5,7…の奇数の 時はOKですが、p=2,4,6…の偶数の時はペケでした。どうやら、「α4 乗+β4乗」は因数分解できないようです。 あきらめかけたときに、学校の図書館で見た本の中に「対称式」と言うの がありました。x+y=σ1 、xy=σ2 とおいて、 xp +yp を変形し、σ1 またはσ2 を使って因数分解する方法です。例えば、p=3のときをやってみましょう。 x3+y3=(x+y)3-3xy(x+y)=σ13-3σ2σ1=σ1(σ12-3σ2) となるので、因数分解できることがわかります。p=5,7……の奇数の 時はOKでしたが、残念ながらここでも、p=2,4,6……の偶数の時 は因数分解できませんでした。 どうやら本当に、「α4乗+β4乗」は因数分解できないようです。
お便り98/7/22
from=kyukusu
a^4+b^4 はル-トが入ればできます。 a4+b4=a4+2*a2*b2+b4-2*a2*b2 =(a2+b2)2-(√2*a*b)2 =(a2+b2+√2*a*b)(a2+b2-√2*a*b) と言うことです. またa^6+b^6 は因数分解可能です。 a^6+b^6=(a^2)^3+(a^2)^3 =(a^2+b^2)(a^4-a^2*b^2+b^4) という具合です. 暑い中頑張って下さい. _____ name=kyukusu
お便り98/7/26
from=Hideo Nakayama
If square root of value is permitted as in the first problem, then the second problem can be further factored as follows: (SQRT(a) means square root of a.) a6 + b6 = (a2 + b2) * (a4 - (a*b)2 + b4) = (a2 + b2) * (a4 + 2 * (a * b)2 + b4 - 3 *(a *b)2) = (a2 + b2) * ((a2 + b2)2 - (SQRT(3) * a * b)2) =(a2 +b2 )*(a2 +b2 +SQRT(3)*a*b)*(a2 +b2 -SQRT(3)*a*b)
お便り99/8/30
from=野崎昭弘
(武田談:お手紙で頂きましたので、要約して掲載します。 なお、野崎先生は大妻女子大の教授で、私が所属する数教協 の委員長です。恐縮しています。) 武田さんが解答に使った日本評論社の「数学100の問題」 p.106フェルマーの問題のところででてきたクンマーの因数分 解は誤植か、著者のうっかりミスだと思います。 xp+yp=(x+y)(x+ζy)(x+ζ2y)…(x+ζp-1y) ただし、ζp=1,ζ≠1 ζ=cos(2π/p)+i sin(2π/p) この式では、武田さんが言う「p=3,5,7…の奇数の時はOKで すが、p=2,4,6…の偶数の時はペケでした。」となってしまい ます。 クンマーの因数分解は、 xn-yn=(x-y)(x-ζy)(x-ζ2y)…(x-ζn-1y) ただし、ζn=1より、ζ=cos(2π/n)+isin(2π/n) ηn=-1とすると、 xn+yn=xn-(ηy)n =(x-ηy)(x-ζηy)(x-ζ2ηy)…(x-ζn-1ηy) nが奇数の時は、η=-1となる。したがって、うっかりミス の式となるので、武田さんの言う「p=3,5,7…の奇数の時はOK」 となります。 nが偶数の時は、ηn=-1より、 η=cos(π/n)+isin(π/n)なので、うっかりミスの式には ならないので、正しいクンマーの因数分解は ζn=1で、ηn=-1とすると、 xn+yn=xn-(ηy)n =(x-ηy)(x-ζηy)(x-ζ2ηy)…(x-ζn-1ηy) となるのです。 さて、質問はn=4の場合ですから ζ4=1、η4=-1 ζ=cos(2π/4)+isin(2π/4)=i η=cos(π/4)+isin(π/4)=(1/√2)(1+i) x4+y4=(x-ηy)(x-ζηy)(x-ζ2ηy)(x-ζ3ηy) 1+i 1-i 1+i 1-i =(x-────y)(x+────y)(x+────y)(x-────y) √2 √2 √2 √2 したがって、偶数の場合も因数分解できます。