質問<11>98/6/2
from=Akira Onaga
「ルート3」


 ルート3やルート7が無理数であることはどう証明したらいいのでしょう.
ルート2の場合は偶数であることで背理法を用いて証明できますが.

お返事98/6/4
from=武田


 ルート2もルート3もルート7も背理法で証明します。
問1
 ルート2が有理数と仮定します。有理数とは分数のことだから、
ルート2=N/M(M,Nは自然数)と表せる。ここでは、約分した
既約分数とする。
         N2 
 2乗して、2=───となるから、分母を払って、
         M2 
2・M2 =N2 ……①
 左辺は2の倍数だから、右辺も2の倍数となる。Nの2乗が2の倍数
ならば、Nも2の倍数となるから、N=2Kの形に書ける。
ただし、Kは自然数。
 これを、①に代入して、2M2=(2K)2
 2で両辺を割って、M2=2K2
 右辺は2の倍数だから、左辺も2の倍数となる。Mの2乗が2の倍数
ならば、Mも2の倍数となるから、M=2Lの形に書ける。ただし、
Lは自然数。
N 2K K
─=──=─となり、既約分数であることに矛盾する。
M 2L L
このような矛盾が生じたのは、ルート2を有理数と仮定したからである。
したがって、ルート2は無理数でなければならない。

問2
 ルート3が有理数と仮定します。ルート3=N/M(M,Nは自然数)
と表せる。ここでは、約分した既約分数とする。
 2乗して、3=N2/M2となるから、分母を払って、
 3M2=N2…①
 Nの2乗が3の倍数ならば、Nも3の倍数となる。
なんとなれば、
===================================
 Nが3の倍数でないならば、Nの2乗は3の倍数でないを証明する。
  (1)N=3k+1のとき、N2=(3k+1)2
                 =9k2+6k+1
                 =3(3k2+2k)+1
  (2)N=3k+2のとき、N2=(3k+2)2
                 =9k2+12k+4
                 =3(3k2+4k+1)+1
したがって、証明された。
===================================
そこで、N=3Kの形に書ける。ただし、Kは自然数。
 これを、①に代入して、3M2=(3K)2
 3で両辺を割って、M2=3K2
 右辺は3の倍数だから、左辺も3の倍数となる。
Mの2乗が3の倍数ならば、Mも3の倍数となるから、M=3Lの形に
書ける。ただし、Lは自然数。
N 3K K
─=──=─となり、既約分数であることに矛盾する。
M 3L L
このような矛盾が生じたのは、ルート3を有理数と仮定したからである。
したがって、ルート3は無理数でなければならない。

問3
 ルート7が有理数と仮定します。ルート7=N/M(M,Nは自然数)
と表せる。ここでは、約分した既約分数とする。
 2乗して、7=N2/M2となるから、分母を払って、
 7M2=N2…①
 Nの2乗が7の倍数ならば、Nも7の倍数となる。
そこで、N=7Kとする。ただし、Kは自然数。
これを、①に代入して、7M2=(7K)2
 7で両辺を割って、M2=7K2
 右辺は7の倍数だから、左辺も7の倍数となる。
Mの2乗が7の倍数ならば、Mも7の倍数となるから、M=7Lの形に
書ける。ただし、Lは自然数。
N 7K K
─=──=─となり、既約分数であることに矛盾する。
M 7L L
このような矛盾が生じたのは、ルート7を有理数と仮定したからである。
したがって、ルート7は無理数でなければならない。

問4
 ルート4が有理数と仮定します。ルート4=N/M(M,Nは自然数)
と表せる。ここでは、約分した既約分数とする。
 2乗して、4=N2/M2となるから、分母を払って、
4M2=N2…①
 左辺は4の倍数なので、右辺も4の倍数となる。
Nの2乗が4の倍数ならば、Nも4の倍数となるわけではなく、
2の倍数となる。N=2K
 これを、①に代入して、、4M2=(2K)2
 4で両辺を割って、M2=K2
 M=Kより、N/M=2K/K=2となり、ルート4は有理数2となる。
 したがって、「ルートAが無理数」のAは平方数を除くことになる。

問5
 ルート8が有理数と仮定します。ルート8=N/M(M,Nは自然数)
と表せる。ここでは、約分した既約分数とする。
 2乗して、8=N2/M2となるから、分母を払って、
8M2=N2…①
 左辺は8の倍数だから、右辺も8の倍数となる。
Nの2乗が8の倍数ならば、Nは4の倍数となるから、
N=4Kの形に書ける。ただし、Kは自然数。
 これを、①に代入して、、8M2=(4K)2
 8で両辺を割って、M2=2K2
 右辺は2の倍数だから、左辺も2の倍数となる。
Mの2乗が2の倍数ならば、Mも2の倍数となるから、M=2Lの形に書ける。
ただし、Lは自然数。
N/M=4K/2L=2K/Lとなり、既約分数であることに矛盾する。
このような矛盾がでたのは、ルート8を有理数と仮定したからである。
したがって、ルート8は無理数でなければならない。


お便り98/6/8
from=Akira Onaga
「ルート2もルート3もルート7も背理法で証明のつづき」


よくわかりました.ありがとうございました.
今年うちの一人娘が高校にはいって,数学の難しさに困っています.
父子2人3脚で頑張ろうというところです.私の質問など,基礎的な
ことばかりで,面白みはないかと思いますが
これからもよろしくお願いします.

一般的に次の定理が成り立つと思います.
m2がn(mは正の整数,nは素数)の倍数ならmはnの倍数である.
証明:
m2がnの倍数であるときmがnの倍数でないとすると
m=kn+i と表せる.(kは正の整数,iはnより小さい正の整数)
両辺を2乗して,
m2=k2・n2+2ikn+i2=(k2・n+2ik)n+i2
i2はnの倍数ではない(証明1より)のでこれはm2がnの倍数であることに反する.
∴mはnの倍数である

証明1:
i2がnの倍数であるとすると
i2=l・nと表せる.(lは正の整数)
両辺をiで割って
i=(l・n)/i
nは素数なのでnと1以外で割れないので,
l・n=j・i・n(jは正の整数)と表される.
3行上の式にこれを代入すると,
i=j・n
これはi<nに反する.
だからi2はnの倍数ではない.

とこれでいいんでしょうかね.