質問<163>99/8/11
from=type R
「半円の重心」


半円の重心を求めるために、次の2つの方法でトライしました
が失敗しました。
1 面積を半分にする、対称軸に垂直な線をひいて、考えた。
2 物理のモーメントを考えた。


お返事99/8/14
from=武田


重心の問題なので、コマの重心の求め方の本を探したところ、
日本評論社発行「新しい高校数学の展望」(1990年)の
58ページに黒田俊郎先生の「コマと重心」というのがあり
ました。三角形、四角形、五角形と説明がある最後に、半円
形のコマの重心というのがありましたが、説明はパプス・ギ
ュルダンの定理によるとしか書いてなかったので、次に、培
風館発行「微分積分学精説」(岩切晴二著)を探しました。
索引にパップスがありましたので、開くと、バッチリ重心の
項でした。「定積分とその応用」の「物理学への応用」の箇
所です。
それによると、曲線の方程式y=f(x)(a≦x≦b)の
       _ _
ときの重心G(x,y)は、
_  b      dy
x=∫ x√{1+(──)2}dx /L
   a      dx
_  b      dy
y=∫ y√{1+(──)2}dx /L
   a      dx
ただし、
   b     dy
L=∫ √{1+(──)2}dx
   a     dx
で求まるそうだ。パップスの定理はこのあと、曲線の回転し
た表面積Sを求めるのにつながる。
      _
S=L・2πy


さて質問の半円の重心は、y=√(a2-x2)
-a≦x≦aということで計算してみた。
半円周L=πa
_
x=0   _
したがって、yだけを計算する。
_  a      dy
y=∫ y√{1+(──)2}dx /L
   -a      dx
まず、
dy   -x
──=───────
dx √(a2-x2)
より、
_ a  a  √(a2-x2)
y=─ ∫  ──────── dx
  L  -a  √(a2-x2)
  a      a
 =─・【 x 】
  L     -a

 =2a2/πa
 =2a/π
したがって、
点G(0,2a/π)……(答)


訂正99/8/17
from=武田


 上のように答えた後、もうちょっと調べてみたら、
点G(0,2a/π)は間違っていました。
 上の計算は、半円の重心ではなく、半円周の重心だったの
です。パッポスの定理には、平面図形の重心と平面曲線の重
心の2つがあったのです。上の計算は曲線y=f(x)にお
ける重心を求める公式でした。
 では、平面図形の重心は二重積分で求めることになる。
   _ _
G’(x,y)は、平面図形の範囲をD、面積をMとすると、
_
x=∫∫ x dxdy /M
   D
_
y=∫∫ y dxdy /M
   D
ただし
M=∫∫ dxdy
   D

パップスの定理はこのあと、平面図形を回転した体積Vを求
めるのにつながる。
      _
V=M・2πy


さて質問の半円の重心は、半円周の曲線の方程式が
y=√(a2-x2)
-a≦x≦aということで計算してみた。
面積M=∫∫ dxdy
     D
 x=a   y=√(a2-x2)
=∫ dx ∫ dy
 x=-a   y=0
 a
=∫ √(a2-x2)dx
 -a
 π/2
=∫ acosθ・acosθdθ
 -π/2
=πa2/2
半円の面積は二重積分を使わなくても簡単に出せましたね。
重心は図より、
_
x=0となるから
_
yだけを計算すればよいですね。
_
y=∫∫ y dxdy /M
   D
 x=a   y=√(a2-x2)
=∫ dx ∫ ydy /M
 x=-a   y=0
 a
=∫ (a2-x2)/2 dx /M
 -a
         a
=【a2x-x3/3】 /2M
         -a
 4a3 1
=──・──
 3  2M

 4a
=──
 3π

したがって、
点G’(0,4a/3π)……(答)