質問<193>99/11/5
はじめまして、三重県の千田と申します。 じつは、以前から疑問に思っていることがありまして。 どうかよろしくお願いいたします。 ベクトルで内積を勉強しますが、なぜ、内積という概念が あるのでしょうか?単なる計算の便宜上から考え出されたも のなのでしょうか。それとも実用面でちゃんとした意義のあ るものなんでしょうか。できれば、幾何学的表現と成分表示 の両面から説明をしていただければ幸いです。
お返事99/11/7
from=武田
(幾何学的表現の面) → → → → a・b=|a||b|cosθ → |a|はベクトルの大きさ、θは2つのベクトルの間の角度 を表している。 → → この内積の公式のうち、|a|cosθは、b方向の線上に → できる影の長さにあたります。その長さと|b|の積だから 意味づけるとしたら、力の大きさと進む距離の積でしょう。 ベクトルaが力で、ベクトルbが移動を表すと、内積は力を 出して進む「労働」を表すことになります。内積が大きいほ ど「労働」の大きさが大きいことを表します。 しかし、数学ではあまり量と関連づけることが少ないので、 意味は理解しがたいものとなります。 (成分表示の面) → → aを単価、bを個数とすると、 → a=(a1,a2) → b=(b1,b2) 成分表示した内積は → → a・b=a1b1+a2b2 となるが、50円/本×5本+80円/冊×6冊=730円 の例が示すとおり、内積は買い物の合計金額を表しています。 こういう風に考えていくと、数学では何も意味がないように 思える内積が、現実の量の世界ではいろいろと意味を持って 来ることが分かります。ちょうど小学校のかけ算の時のよう です。暗算ではなく、意味を考えながらかけ算をするとわか りやすくなります。 1あたり量×いくつ分=全体量