質問<2398>2005/5/30
(f・g)のn次導関数=Σ(k=1 to n)nCk・f(k)・g(n-k)になること を帰納法でで証明お願いします。 記述中のf(k)・g(n-k)はfのk次導関数・gの(n-k)次導関数という意味です。 ★希望★完全解答★
お便り2005/6/18
from=亀田馬志
う~~~ん・・・・・・今回はちょっと愚痴りましょう(笑)。 大体『未解決問題』になってる場合は ①高校数学の範囲外で超難問 ②書き方が不明瞭 ③どう見ても問題が間違ってる(笑) の3種類なんですよ(笑)。 まあ、①はしょーがないとして、②と③意外と多いんです(笑)。 コレは質問者がそもそも『おっちょこちょい』で質問しっぱなしで、 問題そのものあんま読んでないんですね(笑)。コレが困りモノ。 この問題も典型例ですね(笑)。 『(f・g)のn次導関数=Σ(k=1 to n)nCk・f(k)・g(n-k)になること を帰納法でで証明お願いします。 記述中のf(k)・g(n-k)はfのk次導関数・gの(n-k)次導関数という意味です。』 さて、ここでf*gの一次導関数を見てみましょう。普通に合成関数の微分を行えば、 ・(f*g)'=f'*g+f*g' です。 コレを問題の定義を使って『同じになるかどうか』見てみます。1次導関数は問題文 の定義によると、 (f・g)の1次導関数=Σ(k=1 to 1)1_C_1*f(1)・g(1-1) ここでΣが1から1までの和、って事は単純に項が1項だけ、って事です。よって (f・g)の1次導関数={1!/1!*(1-1)!}*f'*g =f'*g って事です。成り立ってますか? 成り立ってませんよね(笑)。問題が間違ってるんです(笑)。 これは申し訳無いんですが、こんな明らかに単純なミスをする、って事は なおさんはまるっきり問題に手を付けて無くって丸投げしてる、って判断されても しょうがないんですよ。この問題を正確にパソコン上で書き写したのかどうかは 分かりませんが、原文の問題がこの通りでしたら、まずは作成者に文句言うべき です(笑)。『この問題は背理法での証明ですか?』とでも(笑)。 このテの問題は回答する側もホント困るんです(笑)。『凄く数学を理解』してる 人間じゃないとツッコミも入れ辛いんです(笑)。 (別に僕が凄く数学を理解してるとは言いませんがね。) ある程度数学的知識があって『俯瞰してる』視点持ってる人間じゃないと、 『問題の意図』が分からないんです。 つまり、『問題が正しい/間違っている』って判定を下すのは意外と容易では無い。 実はこのサイト上にそう言ったタイプの問題がチラホラ見受けられるカンジがします。 恐らく、単純な書き写し間違いじゃないか、って仮定します。 正確な問題は次のようなモノじゃないか、と類推します。 『(f・g)のn次導関数=Σ(k=0 to n)nCk・f(k)・g(n-k)になること を帰納法でで証明お願いします。 記述中のf(k)・g(n-k)はfのk次導関数・gの(n-k)次導関数という意味です。』 k=1をk=0に直しただけです。が、コレで全然意味が変わっちゃうんです。 i=0(全く微分しない場合) (f・g)の0次導関数=Σ(k=0 to 0)0C0・f(0)・g(0-0) 先程と同じ様に第0項目から第0項目までの和、と言うのは1項しか無いです。 かつ0C0=0!/{0!*(0-0)!}なんですが、0!=1と言うのが『定義』なんで、結局、 (f・g)の0次導関数=f*g で成り立ってます。 i=1のトキ(1階微分の時) (f・g)の1次導関数=Σ(k=0 to 1)1Ck・f(k)・g(1-k) =1C0・f(0)・g(1-0)+1C1・f(1)・g(1-1) ={1!/(0!*(1-0)!}*f*g'+{1!/(1!*(1-1)!}*f'*g =f*g'+f'*g と成り立ってます。コレでやっと『数学的帰納法での証明の礎』が出来るんです。 この位は『問題が正確か否か?』をご自分で確認して分かってないといけません。 基本的にはこの問題は質問<2336>でやってた『ネタ』の数学的帰納法での 証明なんですね。ちとメンド臭くってあんまキレイじゃないかもしれませんが、 やってみましょうか。 問題文が見辛いので、ここで微分演算子としてDを導入します。 つまり、(D^i)*fってのはfのi階微分をあらわす、とします。 そして、Σをk=0からk=nまでの和として、COMBIN(n,k)=n!/{k!*(n-k)!}として、 i=nのトキ: ・(D^n)*(f*g)=ΣCOMBIN(n,k)*(D^k)*f*{D^(n-k)}*g が正しいと仮定すると・・・とやっていけばイイ。 アトは上の式を『そのまま』微分して、Σをk=0からk=n+1までの和として、 ・{D^(n+1)}*(f*g)=ΣCOMBIN(n+1,k)*(D^k)*f*{D^(n+1-k)}*g になる事を示せばイイんです。それではちょっと見てみましょう。 i=n+1のトキ: ・{D^(n+1)}*(f*g)=(D^n)*{D*(f*g)}・・・① ここで『アレ?』って思うかもしれませんが、微分ってのは『一次変換』の一種です。 要するに微分演算子Dの線形性(次の二つの性質) 加法性: f(x + y) = f(x) + f(y). 斉次性(作用の可換性): f(αx) = αf(x) for all α. が保証されてるんです。上の二つはちょっと分かり辛いかもしれませんが、 原則的に一次関数fも定数係数αも微分演算子Dも『線形作用素=線形演算子』 としては同じ仲間なんです。①の計算では『斉次性』を用いております。 ①はi=1のトキの ・D*(f*g)=Df*g+f*Dg を用いて書き換えれば ・{D^(n+1)}*(f*g)=(D^n)*{Df*g+f*Dg} これは先程の『微分演算子の線形性』である『加法性』を用いれば次の様になります。 ・{D^(n+1)}*(f*g)=(D^n)*(Df*g)+(D^n)*(f*Dg} ∴{D^(n+1)}*(f*g) =ΣCOMBIN(n,k)*{D^(k+1)}*f*{D^(n-k)}+ΣCOMBIN(n,k)*(D^k)*f*{D^(n-k+1)} (註:最後にも“斉次性”が用いてまとめられています。要確認。) この『クソややこしい』式を計算して(笑)、 ・{D^(n+1)}*(f*g)=ΣCOMBIN(n+1,k)*(D^k)*f*{D^(n+1-k)}*g になる事を示せばイイワケです。ちょっとΣの上にCOMBINってなあ、 苦しいですね(苦笑)。ひょっとして便利な定理があるのかもしれませんが、 僕は知らないんで(笑)、力ワザでやってみましょう。 ・ΣCOMBIN(n,k)*{D^(k+1)}*f*{D^(n-k)} =Df*(D^n)*g+n*(D^2)*f*{D^(n-1)}*g+{n*(n-1)/2!}*(D^3)*f*{D^(n-2)}*g +・・・・・・+{n*(n-1)/2!}*{D^(n-1)}*f*(D^2)*g+n*(D^n)*f*Dg+{D^(n+1)}*f*g ・ΣCOMBIN(n,k)*(D^k)*f*{D^(n-k+1)} =f*{D^(n+1)}*g+n*Df*(D^n)*g+{n*(n-1)/2!}*(D^2)*f*{D^(n-1)}*g +{n*(n-1)(n-2)/3!}*(D^3)*f*{D^(n-2)}*g +・・・・・・+n*{D^(n-1)}*f*(D^2)*g+(D^n)*f*Dg すざましい状況になってますね(苦笑)。 しかしながら良く良く注意して見てみれば、項数は両方とも一緒なんですが (全部でn項あります。当たり前ですよね。)、fとgの微分された項見てみると 1項ズレている事が分かります。 よって両方加算したら全部で『n+1』項になるのは分かるでしょうか? fとgの微分項に注意して両方加算します。 ・ΣCOMBIN(n,k)*{D^(k+1)}*f*{D^(n-k)}+ΣCOMBIN(n,k)*(D^k)*f*{D^(n-k+1)} =f*{D^(n+1)}*g+(n+1)*Df*(D^n)*g+{(n+1)*n/2!}*(D^2)*f*{D^(n-1)}*g +{(n+1)*n*(n-1)/3!}*(D^3)*f*{D^(n-2)}*g+・・・・・・ +{(n+1)*n/2!}*{D^(n-1)}*f*(D^2)*g+(n+1)*(D^n)*f*Dg+{D^(n+1)}*f*g とか大変な事なってますが(笑)、 コレは確かにΣをk=0からn+1までの和として、 ・{D^(n+1)}*(f*g)=ΣCOMBIN(n+1,k)*(D^k)*f*{D^(n+1-k)}*g を表しています。以上証明終了です。 はあ、大変でした(笑)。