質問<3344>2006/8/27
from=maro
「漸化式」


質問〈2390〉の解答の中で
a(n+1)-2=√(a(n)+2)-2 
 ここで、分母分子に√(a(n)+2)+2を掛けると
        ={a(n)-2}/{√(a(n)+2)+2}
 √(a(n)+2)+2≧2より
    ≦{a(n)-2}/2 …①
よって、a(n)-2≦{a(n-1)-2}/2
       ≦{a(n-2)-2}/2^2
              ≦{a(n-3)-2}/2^3
               ・・・・・・
       ≦{a(1)-2}/2^(n-1)…②
とありますが、①までは理解できましたが、
②のa(n)-2≦{a(n-k)-2}/2^k(k=1,2,3…n-1)という計算式がどのように出てきた
のかがわかりませんので詳しく教えてください

★完全解答希望★

お便り2006/8/28
from=KINO


極限値があるとすればどのような値になるのかを予想してみます。
それには,極限値を x とおき,漸化式において n→∞ の極限をとり,
x=lim[n→∞]an+1=lim[n→∞]√(an+2)=√(x+c)
となることから,x≧0 でなければならないことに注意して,
両辺を2乗して得られる2次方程式
x2-x-2=0
の正の実数解 x=2 が極限値だとわかります。

ただし,上の議論はあくまでも「収束するとしたら極限値は 2」という収束することを
前提とした議論ですので,ちゃんと 2 に収束することを示さなければなりません。

それには lim[n→∞]|an-2|=0 となることを示せばよいので,
漸化式の両辺から 2 を引いてみます。
an+1-2=√(an+2)-2.
この右辺に (√(an+2)+2)/(√(an+2)+2) をかけると,
√(an+2)-2=(an-2)/(√(an+2)+2)
となります。
よって,
|an+1-2|=|an-2|/(√(an+2)+2)
となりますが,√は必ず 0 以上の値なので,右辺の分母は
√(an+2)+2≧2
という不等式をみたします。よって
|an+1-2|≦|an-2|/2
が n=1,2,... に対して成り立ちます。
この不等式を繰り返し用います。例えば,
|an-2|≦|an-1-2|/2
の右辺に
|an-1-2|≦|an-2-2|/2
を代入しても不等号の向きは変わらず,
|an-2|≦|an-2-2|/22
となります。さらにこの右辺に
|an-2-2|≦|an-3-2|/2
を代入して,
|an-2|≦|an-3-2|/23
といった具合です。こうして
|an-2|≦|a1-2|/2n-1=|c-2|/2n-1
という不等式が得られます。厳密にはこの不等式が成り立つことを n に関する
数学的帰納法で証明する必要があります。
あとは |c-2| の値が何であれ,lim[n→∞]|c-2|/2n=0 であることから,
0=lm[n→∞]0≦lm[n→∞]|an-2|≦lm[n→∞]|c-2|/2n-1=0
を得て,はさみうちの原理により lm[n→∞]|an-2|=0 が導かれます。