質問<3585>2007/7/31
from=赤だし
「正則行列」


つぎの問題において、以下のように証明してみました。
不備がありましたら、ご指摘ください。
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n次正方行列に関して次の[1]~[5]はすべて同値であることを証明せよ。
[1]Aは正則 [2] |A|≠0 [3] rankA=n
[4]Aのn個の列ベクトルは1次独立
[5]AB=Eを満たすn次正方行列Bが存在する
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[1]→[2]
Aが正則であるから、Aには逆行列が存在し、AA-1=Eとなる。
|AA-1|=|E|より、|A||A-1|=1≠0となり、|A|≠0であることがわかる。
以上より、Aが正則ならば|A|≠0である。

[2]→[3]
P、Qを正則行列として、
     |Er 0|
PAQ=|      | としたとき、
     |0 0|
Aがn次正方行列なので、P、Q および右辺の行列もn次の正方行列である。
              |Er 0|
|A|≠0より|PAQ|≠0で  |      |≠0となり、r=nなり、rankA=nが言える。
              |0 0|

以上より|A|≠0ならば、rankA=nである。

[3]→[4]
Aがn次正方行列でrankA=nより、
Aに基本変形を行い階段行列を作っていくと、最終的にn行n列の単位行列にできる。 

よって、単位行列のn個の各列ベクトルは、単位基底であるので1次独立である。
以上より、rankA=nならば、Aのn個の列ベクトルは1次独立である。

[4]→[5]
Aの列ベクトルをa1、a2、・・・、 anとする。
また、x1、x2、・・・・・、xnをスカラーとして、
x1a1+x2a2+・・・・+xnan=0・・・①とする。
a1、a2、・・・・、anが1次独立であるので、
①式中のxi(i=1、2、・・・n)はすべて0となる。
このとき|A|=0であると、xiが自明な解以外の解を持ってしまうので
|A|≠0である必要がある。|A|≠0であれば、A-1が存在し、AA-1=Eとなる。
このとき、A-1=Bとすれば、AB=Eとなる。

以上より、Aのn個の列ベクトルが1次独立ならば、
AB=Eを満たすn次正方行列Bが存在する。

[5]→[1]
AB=Eより、|A||B|=1 つまり|B|≠0。このことよりBC=Eとなる行列Cが存在する。
C=EC=(AB)C=A(BC)=AE=A。
ここで、BA=Eであることがわかる。
AB=EのBとBA=EのBが同じであり、Aに対して、Bが1つしか存在しない。
よって、BがAの逆行列であることがわかる。
Aに逆行列が存在するということは、Aは正則である。

以上よりAB=Eを満たすn次正方行列が存在すれば、Aは正則である。

★希望★完全解答★

お便り2007/9/27
from=cqzypx