質問<5>98/5/17
from=こうすけ
「微分について」


 f’(x)はどうしてy=f(x)の傾きを表すのですか?
教えて下さい。

お返事98/5/17
from=武田


 今ちょうど、高校3年生のクラスで「微分の初歩」を教えています。関数y=f(x)のグラフの傾きを考えるところから始めています。
1次関数は直角三角形より傾きm(高さ/底辺の2辺の比)がすぐに分かりますが、2次関数になるとグラフが曲がっているため、傾きmが分かりません。(そんなことを考えている時代に、ガラス加工の発達よりレンズが作られ、望遠鏡や顕微鏡ができました。)顕微鏡で2次関数のグラフを覗いて考えると、直線的に見えてきます。近似的に傾きm(高さ/底辺)が考えられました。精確には直線ではありませんので、誤差があります。そこで、顕微鏡の精度を上げていくと考えて直線と同一化させていくのです。精度を上げると底辺の長さhは極限的に小さくなって0になっていきます。これをh→0と表現します。こうして求めた傾きmを2次関数の上の「点の傾きm」と言います。一個々を「微分係数」とも「瞬間変化率」とも言います。3次関数以上でも同様です。
   f
 x--→y  と言うように、x座標を入力するとy座標が計算fによって求まる関係を関数と言いますので、同様に考えて、上の点のx座標と一個々の傾きmの関係も関数となっています。
   f’
 x--→m  となります。このf’は関数のfと区別するが、fから導かれるので「導関数」と呼びます。そこでこのm=f’(x)を求めることを「微分する」と言うのです。
グラフ以外でも、傾きにあたる分数の分母と分子に量を与えるといろいろな意味付けが出来てきます。
  1. 分子を距離、分母を時間とすると、傾きは速度になります。
  2. 分子を人口、分母を面積とすると、傾きは混雑度になります。