質問<735>2001/12/20
from=オガン
「整数」


a,b,c,d (∈Z)、d>c>b>a>0 s.t.
ac+bd=(a+c-b+d)(a+c+b-d)
→ab+cd は素数にならないことを証明せよ。
という問題です。よろしくお願いします。
例えば、(a,b,c,d)=(1,6,9,11) で成り立ちます。


お便り2002/12/8
from=Tetsuya Kobayashi


(注)gcd(i,j)はi,jの最大公約数を表す。

まず、与えられた命題において仮定が成立しているとき、
gcd((d+a),(c-b))>1
または
gcd((d-a),(c+b))>1
であることを示す。--
(d+a)と(c-b)が互いに素かつ(d-a)と(c+b)が互いに素のとき、
(ac+bd)=(a+c-b+d)(a+c+b-d) ...(*)
が成立していると仮定する。すなわち、
(ac+bd)={(d+a)+(c-b)}{(c+b)-(d-a)}
である。またこのとき、(*)を変形して
(ac+bd)=(d^2-a^2)-(c^2-b^2)=(d-a)(d+a)-(c+b)(c-b)
であるから、
{(d+a)+(c-b)}{(c+b)-(d-a)}=(d-a)(d+a)-(c+b)(c-b)
したがって、
(d+a){2(d-a)-(c+b)}=(c-b){2(c+b)-(d-a)} ...(1)
また
(d-a){2(d+a)+(c-b)}=(c+b){2(c-b)+(d+a)} ...(2)
が成立する。
ところで、(d+a)と(c-b)が互いに素なので、
(1)に関して整数iが存在して、
2(d-a)-(c+b)=i(c-b)
また
2(c+b)-(d-a)=i(d+a)
したがって、
(d-a)+(c+b)=i{(d+a)+(c-b)} ...(3)
が成立する。同じく(d-a)と(c+b)が互いに素なので、
(2)に関して整数jが存在して、
2(d+a)+(c-b)=j(c+b)
また
2(c-b)+(d+a)=j(d-a)
したがって、
3{(d+a)+(c-b)}=j{(d-a)+(c+b)} ...(4)
が成立する。(3)(4)より、
ij=3 ...(5)
が成立する。
ここで、(4)を変形すると、
(3-j)(c+d)=(3+j)(b-a)
となり、a,b,c,dの大小を考慮すればj=2以外にあり得ない。
# 何故ならば、(c+d)も(b-a)も正であるから(3-j)と(3+j)は同符号。
# したがって-2≦j≦2、さらに(c+d)>2(b-a)であるから。
これは(5)式成立と矛盾する。よって示された。
--
さて、
(ab+cd)=(ac+bd)+(d-a)(c-b)={(d+a)+(c-b)}{(c+b)-(d-a)}+(d-a)(c-b)
である。
(i)
gcd((d+a),(c-b))=k>1の場合、整数p,qが存在して、
(d+a)=kp
また
(c-b)=kq
が成立する。したがって、
(ab+cd)/k=(p+q){(c+b)-(d-a)}+(d-a)q
右辺は整数であるから、kは(ab+cd)の1より大きい約数である。
さらに、a,b,c,dの大小を考慮すれば、
k≦(d+a)<2d<cd<(ab+cd)
よってkは(ab+cd)の自身より小さい約数である。
したがって(ab+cd)は素数でない。
(ii)
gcd((d-a),(c+b))=t>1の場合、整数r,sが存在して、
(d-a)=tr
また
(c+b)=ts
が成立する。したがって、
(ab+cd)/t={(d+a)+(c-b)}(s-r)+r(c-b)
右辺は整数であるから、tは(ab+cd)の1より大きい約数である。
さらに、a,b,c,dの大小を考慮すれば、
(ア)
(d-a)≧(c+b)のとき、
t≦(d-a)<d<cd<(ab+cd)
(イ)
(c+b)>(d-a)のとき、
t≦(c+b)≦(ab+c)<(ab+cd)
よってtは(ab+cd)の自身より小さい約数である。
したがって(ab+cd)は素数でない。

以上より、題意は示されたことになる。

# 正しいかどうか吟味お願いします。