質問<1603>2004/2/20
from=ピタゴラス数
「連続整数の和として表せる数」


 15は、
15=4+5+6=7+8=1+2+3+4+5
というように、2つ以上の連続整数の和として3通りの方法で表せます。
他の数でもためしてみましたが、
15のように、ある自然数を2つ以上の連続整数の和として表す方法が
3通りだけあるならば、
その自然数は1より大きい奇数の約数を3個もつように思えます。
これを証明する方法が分からないので、教えてください。


お便り2004/3/5
from=naoya


いろいろ考えていたら一般的な法則が見えてきたので、それを証明します。
連続"整数"の和とありますが、恐らく負の数や0は除外することと思い、
連続"自然数"の和と読み替えました。

「ある自然数Nが1以外の奇数の約数をM個持つことは、Nが2項以上の連続自然数
の和M通りで表現できることと同値である」…(*)

[証明]

まずはじめに、「ある自然数Nが1以外の奇数の約数を持つときのみ、Nは2項以上
の連続自然数の和で表現できる」…(**)ことを示す。

N=1は明らかに連続自然数の和に書き直せないので、除外する。

[I]N(≠1)が1以外の奇数の約数を持たない時
    N = 2^p (pは自然数)とおき、Nがa~b(a<b)の連続自然数の和で表現できる
    と仮定すると、
        b
    N = Σi = (a+b)(b-a+1)/2 = 2^p ⇔ (a+b)(b-a+1) = 2^(p+1)
       i=a
    ここで、a,bともに偶数の時、(偶数)×(奇数)=2^(p+1)となり矛盾
            a,bともに奇数の時、(偶数)×(奇数)=2^(p+1)となり矛盾
          a,bの偶奇が異なる時、(奇数)×(偶数)=2^(p+1)となり矛盾
    このことより、Nが1以外の奇数の約数を持たない時、連続自然数の和で
    表現できない。

[II]Nが1以外の奇数の約数(2k+1)(kは自然数)をもつとき
    N = (2k+1)n (nは自然数)とおけて、
    N = n+n+ … +n+ … +n+n = (n-k)+(n-k+1)+ … +n+ … (n+k-1)+(n+k)
        n+k
      = Σi と変形できるので、Nは必ず連続"整数"の和で表現できる。
       i=n-k
    (i)n-k>0 つまり n>k のとき
            n+k
        N = Σi   という(2k+1)項の連続"自然数"の和で表現できる。
           i=n-k
    (ii)n-k≦0 つまり n≦k のとき
            n+k
        N = Σi  = {(n-k)+(n-k+1)+ … +(-n+k-1)+(-n+k)}+(-n+k+1)+ … +(n+k)
           i=n-k
            n+k
          = Σi   という2n項の連続"自然数"の和で表現できる。
          i=-n+k+1
    (i)・(ii)より、Nが1以外の奇数の約数(2k+1)をもつとき、必ず2項以上の
    連続自然数の和で表現できる。

[I][II]より、(**)は示せた。

N = (2k+1)n のとき、(i)(ii)よりNは次のように変形できた。

(A)n>kのとき
    n+k
N = Σi  …初項(n-k),末項(n+k),項数(2k+1)の連続自然数の和
   i=n-k               ↑
                   訂正
(B)n≦kのとき
    n+k
N = Σi  …初項(-n+k+1),末項(n+k),項数2nの連続自然数の和
  i=-n+k+1

(iii)Nの(k,n)の組がただ1つに決まると、その(k,n)に応じた2項以上の
連続自然数の和S(k,n)がただ1つに定まる。

(iv)逆に、2項以上の連続自然数の和Sがただ1つ与えられた時を考える。

Sの項数が奇数のとき(A)を逆にたどって(k,n)がただ1つに定まる。
Sの項数が偶数のとき(B)を逆にたどって(k,n)がただ1つに定まる。
このことより、2項以上の連続自然数のSが与えられた時、(k,n)はただ1つに定まる。
(iii)(iv)より、Nにおける(k,n)とSにおける(k,n)の対応は1対1である。

ここで、(k,n)の組み合わせの個数は、Nが持つ1以外の奇数の約数の個数であり、
Nが表現することのできる2項以上の連続自然数の和の通り数でもあるから、
Nが持つ1以外の奇数の約数の個数と、Nが表現することのできる2項以上の連続自然数
の和の通り数は1対1に対応する。
以上のことより、(*)は証明された。

[証明終わり]

これは、恐らく既に証明されて既知の事実なのだと思います。


お便り2004/3/11
from=Tetsuya Kobayashi