質問<2937>2006/2/10
from=ゆき
「二重積分」


∬D xy dxdy D={x,y>0|ay>x^2 ,ax>y^2}
∬D x dxdy D={x,y>0|x^2+y^2<ax}
∬y>0 1/(1+x^2+y)^2dxdy
分かる方教えてください

★希望★完全解答★

お便り2006/8/11
from=KINO


計算があっているか自信はありませんが,方針はあっていると思います。

(1) ∬D xy dxdy D={x,y>0|ay>x^2 ,ax>y^2}

<2925> と実質同じ問題ですので,解説はそちらをご覧下さい。


(2) ∬D x dxdy D={x,y>0|x^2+y^2<ax}

領域 D は,(a/2,0) を中心とする半径 |a|/2 の円 (x^2-a/2)^2+y^2=a^2/4 の上半分です。

変数変換をご存知ならば,

x=rcosθ+a/2,y=rsinθ,0≦r≦|a|/2,0≦θ≦π

と変換して,ヤコビアンが r になることから,

∬D x dxdy=∫[0≦r≦|a|/2]∫[0≦θ≦π](r^2cosθ+ra/2)dθdr

を計算すれば,その結果は a^3/4 となります。

変数変換をご存じなければ,a>0 のときには

0≦y≦a/2,a-√(a^2/4-y^2)≦x≦a+√(a^2/4-y^2)

として x について積分し,次いで y について積分するという方法が考えられますが,
計算は大変そうです。
y から先に積分しても,厄介そうです。

(3) これは無限ですので,有限な領域で近似して値を求める必要があります。
関数の形からして,y から積分するのが簡単そうです。

-L≦x≦L,0≦y≦L という長方形領域で積分の値を求めれば,L→∞ の極限値として
求める積分の値が得られます。

まず

∫[0≦y≦L]dy/(1+x^2+y)^2

を求めます。この段階では x はただの定数ですから,

∫dy/(1+x^2+y)^2=-1/(1+x^2+y)+(積分定数)

であることから,

∫[0≦y≦L]dy/(1+x^2+y)^2=1/(1+x^2)-1/(1+L+x^2)

となります。

次にこれを x について積分しますが,c>0 に対し,変数変換 t=x/√c により,

∫dx/(c+x^2)=(1/√c)∫dt/(1+t^2)=(1/√c)tan-1t=tan-1t=(1/√c)tan-1(x/√c)

となります(積分定数は省略しました)。

よって,tan-1x が奇関数であることから,

∫[-L≦x≦L]dx/(1+x^2)=2tan-1L,
∫[-L≦x≦L]dx/(1+L+x^2)=(2/√(1+L))tan-1(L/√(1+L))

となります。L→∞ とすると,

tan-1L→π/2,
tan-1(L/√(1+L))→π/2
1/√(1+L)→0

なので,結局求める積分の値はπになります。