質問<396>2001/1/22
from=資格試験受験生
「√の計算」


武田先生、お忙しいところ失礼します。
資格試験で経済学を選択しているのですが、数学に関連するところで分
からない点がありまして、初歩的な質問で恐縮ですが、以下の点につい
て教えて頂けますと幸いです。

xについて解く問題があるのですが、この計算過程で、
x={16±√(120P-1004)}/6
 ={16±2√(30P-251)}/6
 ={8±√(30P-251)}/3
とする部分があるのですが、これについて教えていただけますでしょうか。

確かに120Pを因数分解すると2√30Pになりますし、
1004を因数分解すると2√251になるのは分かるのですが、
√の計算でこのようなことをしていいのは、なぜなのでしょうか。
√でなくカッコなら、120P-1004を、4(30P-251)と出来るのは分かる
のですが、√でやられると、どうも「こんなことしていいの?」という気
がしてしまいます。

また、√(120P-1004)=2√(30P-251)と変形できるのならば、
√(120P-1004)=2√30P-2√251とも変形できるのでしょうか?


お返事2001/1/23
from=武田


無理数、特に平方根(√)の定義は、
「2回掛けると正の数aとなるものを√aと表し、平方根という。」
より、
√a×√a=a

この定義より、次の性質が成り立つ。
    _  _  ___
(1)√a×√b=√a×b
    _  _  ___
(2)√a+√b≠√a+b
ただし、a>0,b>0とする。

証明は、両辺を2乗すると、わかる。
(1)の証明
a>0,b>0より、両辺とも正の数となる。
   2   _  _ 2   _  _    _  _
(左辺)=(√a×√b )=(√a×√b)×(√a×√b)
       _  _    _  _
    =(√a×√a)×(√b×√b)=a×b
   2   ___ 2   ___    ___
(右辺)=(√a×b )=(√a×b)×(√a×b)
    =a×b
したがって、
   2    2
(左辺)=(右辺)より、∴左辺=右辺

(2)の証明
a>0,b>0より、両辺とも正の数となる。
   2   _  _ 2
(左辺)=(√a+√b )
       _  _     _  _    _  _
    =(√a×√a)+2(√a×√b)+(√b×√b)
          _  _
    =a+2(√a×√b)+b
   2   ___ 2   ___    ___
(右辺)=(√a+b )=(√a+b)×(√a+b)
    =a+b
したがって、
   2    2
(左辺)≠(右辺)より、∴左辺≠右辺
    ______
質問の√120P-1004 の変形については、
 ______  _______  _  _____
√120P-1004 =√4(30P-251)=√4×√30P-251
        ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
           ↑性質(1)より
          _____
       =2√30P-251
計算過程のような計算は可能なわけです。

次のような分割は出来ない。
 ______  ___  __   __   __
√120P-1004 ≠√120P-√1004=2√30P-2√251
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
   ↑性質(2)より
質問のような変形は、不可能です。