読書欄

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50.「山の仕事、山の暮らし」を読んで

つり人社から出版された高桑信一さんの著書で、次女のボーイフレンドの山男君から娘に読んで見ろと紹介された本である。それが私の所に回ってきた。最近尾瀬などに行くことに夢中になっていることもあり、すぐに読んでみたくなった。高桑さんが私が住んでいる隣町の住民であるのも親近感を覚えた要因である。長野・群馬から新潟・福島・山形にかけての山岳地帯で静かに暮らす山の人にスポットライトを当てて、その生活ぶりを記載した本である。ゼンマイを取りに山の斜面を駆け上がる翁人の颯爽とした姿が目に浮かんできて惚れ惚れした。

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49.「ユダヤ人大富豪の教え」を読んで

大和書房から出版された本田健さんの本で、副題として「幸せな金持ちになる17の秘訣」とつけられた本を読むことになった。普段の私ならば、まず読みそうにない本である。最近就職をした次女が、就職勉強のために読んでいた本で、いらなくなったから私の机の上に置かれていたものだ。しかしながら、読んでみると金儲けの本ではなく、社会人としての心の持ち方などを17項目に分けて書いてあった。確かにこの通りすれば大富豪になれそうに思える。またそれはこれから伸びていく企業のポリシーとして大切なものばかりである。PDCAで管理主義的になり問題を起こしている大企業や官庁にとって失われているポリシーでもあるようだ。面白く読むことが出来た。

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48.「地名の歴史 そんな秘密があったのか」を読んで

著者は、明治学院大学教授の武光 誠さんで、よく調査がされていて、飽きずに読破した。地理や歴史が好きな私としては旅行の時のバイブルのような気がする。印象に残った場所は、久留米・寒河江・浅草・太宰府・弓削・日下・綾部・会津若松・住吉・犬吠埼などである。他にもいろいろあったが、ありすぎてすぐ忘れてしまう。年を取りすぎたのか健忘症気味である。この読書欄は、そう言う私にとっては大事なメモ帳だ。

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47.「天皇家は なぜ 続いたのか」を読んで

著者は、梅澤恵美子さんと言うが、よく調べて推理してあると感心した。卑弥呼と登与と大和朝廷の関係の推論も見事である。すっかりはまってしまった。最後まで一気に読んでしまった。今、天皇家のことが話題になっているが、「日本書紀」が創作した古代の神話を事実と照らしながら読み解いていく所などは興味をそそられる技法である。さらなる古文書の発見を期待したい。

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46.「谷中村村長 茂呂近助」を読んで

随想舎のHPから文章をコピーさせてもらった。 本のタイトルは、『谷中村村長 茂呂近助-末裔たちの足尾鉱毒事件』と言い、谷中村と茂呂近助を語る会編である。内容は、「今から百年前、足尾銅山による鉱毒被害に対し、田中正造と渡良瀬川沿岸被害農民の鉱業停止運動がねばり強く繰り広げられた。強権的な弾圧と、鉱毒問題の治水問題へのすり替えにより、運動は分断され、谷中村は強制破壊ののち遊水池化され、村民は四散する。元谷中村村長・茂呂近助ら66戸は、偽りの現地報告書を拠りどころにサロマへ移住、厳しい開拓生活の幕を切った……。茂呂近助と鉱毒被害農民たちの戦いの軌跡を末裔たちが辿る検証の記録。」である。田中正造の映画会の販売所で、この本を見つけ、一気に読んだ。田中正造とはまた違った足尾鉱毒事件であるが、名もない民が奮闘している様には涙が出てくる。

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45.「秋山仁の放課後無宿」を読んで

著者の秋山仁さんは、今年の夏の数教協の全国大会で座談会をした ときに初めてじっくり話を聞いたので、勝手に想像していたのとは 違って親近感を抱くことが出来た。話も面白くパワフルであったし、 数学の落ちこぼれが先生の差別に反発して勉強したことや人との出 会いで変わっていく様子が話の中から伺えたので、もう少し人なり をしてみたくなり、本を購入した。時間が無くてなかなか読めなか ったが、久しぶりに時間が出来たので読んでみると面白くて一気に 読み終えることが出来た。いろいろ示唆に富む話が出てくるので読 み応えがあったと思う。

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44.「国家の品格」を読んで

著者の藤原正彦さんは、数学者でもあるので、以前から関心を持っ ていたが、今回この本に巡り会えて、ますます感心してしまった。 キーワードの「情緒と形」についてのコメントにはうなずく点が多 かった。また、「武士道精神」と「葉隠れ精神」を混同していたの で、その違いも分かったし、その「武士道精神」の著者の新渡戸稲 造の記念館へたまたま行ったので、より一層理解することが出来た。

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43.「『冬のソナタ』から見えてくるもの」を読んで

著者の高柳美知子さんたち「冬のソナタ」をNHKで何度も見た人 達が、冬のソナタのロケ地を訪問して、何故これほどまで日本の中 高年の主婦たちに愛されているのかを分析している本である。私自 身も「冬のソナタ」など韓流ものを大変気に入っているので、その 理由が分析してあったので、興味がそそられた。書かれてあったこ と一つ一つに納得しながら読んでいった。しかし、この本は、単に 韓国の冬のソナタのロケ地のみの訪問でなく、慰安婦問題や、日本 の韓国で行ってきたことの告発の記念館も訪ねて、今、日韓でやら なければならない大事なことについても述べている。

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42.「ダ・ヴィンチ・コード」を読んで

ルーヴル美術館のソニエール館長が異様な死体で発見された。死体 はグランド・ギャラリーに、ダ・ヴィンチの最も有名な素描<ウィ トルウィウス的人体図>を模した形で横たわっていた。殺害当夜、 館長と会う約束をしていたハーヴァード大学教授ラングドンは、警 察より捜査協力を求められる。現場に駆けつけた館長の孫娘で暗号 解読官であるソフィーは、一目で祖父が自分にしか分からない暗号 を残していることに気付く…。とっても面白く、一気に上中下を読 んでしまった。5月20日(土)上映開始の映画を見てみたい気が しているが、映画館が混雑しているので、もう少し後に見よう。

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41.「津軽南朝秘聞」を読んで

長尾宇迦(ながお・うか)の作品である。岩手県の元高校教師なの で、東北地方、特に北畠氏に興味があったのだろう。丁寧に調査し て作品ができていた。私の妻が弘前出身なので、青森の歴史には特 に興味があり、特に安東氏に関する本を探して読んでいる中で、こ の本に巡り会った。車で青森県中旅行したこともあり、青森の地名 が懐かしく感じられた。本の内容は、北畠顕家(1318~133 8年)の子孫である浪岡御所第十代北畠顕村(1557~1578 年)を中心に浪岡御所が大浦(津軽)為信によって落城するまでを 描いている。浪岡御所については、「WEB浪岡御所」が詳しい。

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40.「明るくボケよう」を読んで

村山孚(まこと)の書いた自分(老人)の日々の体験談をまとめた ものである。実にリアルで示唆に富んでいて面白く読むことができ た。年を取ってきた人々は一読してみる価値があると思う。

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39.「信長の棺」を読んで

加藤廣の第1作であるが、よく調べてあるので読み応えがあった。 小泉首相も読んだと言うことで話題のこの本だが、それとは別にし て大変面白く読むことができた。主人公の太田牛一が、信長の遺骸 を巡って探していくところがとても奇想天外で良くできていた。本 当かどうかは分からないが、京都の阿弥陀寺をインターネットで探 してしまった。今度京都に行くときには、訪ねてみたいものである。 また、丹波の国にも興味を持った。あの秀吉が丹波の出身とは? また、加藤廣の作品を読んでみたいものである。

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38.「帝都東京・隠された地下網の秘密」を読んで

なぜ、現在、市販されている二つの地図には違いがあるのか。それ は単なる誤差に過ぎないのか、どちらかが嘘をついているのか。な いはずの地下鉄がGHQ作成のインテリジェント・リポートに載っ ているのはなぜか?  営団公表の図面に建設されていないはずの地下鉄がなぜ紛れ込ん でいるのか?  疑惑は疑惑を呼び、たった一つの結論に導いていく。戦前にすで に東京には地下網が完備していた、と。--可能な限りの資料と徹底 した地図の読み込みを駆使し、まったく新しい手法で迫る。  おもしろくて、あっという間に読んでしまった。今日から地下鉄 を見る目が変わってきた。

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37.「震度0」を読んで

「半落ち」で有名な警察小説の作者・横山秀夫の作品。 阪神大震災が起こった1月17日、N県警本部の警務課長の不破が 失踪した。不破の失踪は県警内部に激震をもたらすのか?それぞれ の部の思惑や個人の利害関係もからみ、事態は思わぬ方向へ・・・。 警察内部を舞台にしたミステリー。 キャリアであるため若くしてなった警務部長と地元のたたき上げの 刑事部長との不破失踪を巡るやりとりが面白かった。こうしてみる と、なんでも官僚のやることは「ろくでもないなあ」と思ってしま う。阪神大震災への救援の話が最後の方で欲しかった。タイトルが 震度0(ゼロ)とついている理由はよく分かった。

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36.「半島を出でよ」を読んで

村上龍の問題作。上下2巻。 北朝鮮の特殊部隊が、脱北の反乱軍と称して、北九州、福岡に襲来、 福岡ドームを占拠し、独立国を自称し、北朝鮮軍本隊の到着を待ち 受けるような持久戦に陥った場合、日本はどうなるだろうか、とい うシミュレーション小説。 本当に福岡が占領されて、後続部隊が来るのに、何もできない政府 の弱腰が、現在の状況からも想像できるので、どうなるのだろうか とヒヤヒヤしながら最後まで一気に読み通した。

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35.「塩狩峠」を読んで

三浦綾子の「塩狩峠」を読んだ。目頭がジーンと熱くなった。実は、 2003年の夏に北海道一周をした際、旭川で塩狩峠の三浦綾子記 念館を訪ねている。鉄道脇の丘に家を建て、そこで作家としての活 動をしていた旧宅を記念館にしたものだ。そこで、映画「塩狩峠」 のポスターを見て、何となく気になり、ビデオ屋さんに問い合わせ たが、古い映画なのでどこにもなかった。そしてしばらく時間が経 ったが、たまたま入った本屋で文庫本のコーナーに、この本を発見 し、夢中になって読んでしまった。感動限りない小説である。キリ スト教の信者である三浦綾子ならではの作品である。

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34.「箸墓幻想(はしはかげんそう)」を読んで

内田康夫の「箸墓幻想」を読んだ。この箸墓とは、昨年の秋に私の 両親と天理へ旅した折に、国道169号線沿いに多く見られた古墳 の一つ倭迹迹日百襲姫(ヤマトトトヒモモソヒメ)の墓のことで、 卑弥呼の墓とも言われている所である。その隣のホケノ山古墳の発 掘現場を舞台にするサスペンス小説であるが、小説の内容とは別に 現地の様子が目に浮かんできた。この本を先に読んでいたら、昨年 の旅はもう少し面白かったかもしれない。内田康夫の古代物は面白 い。そして、浅見光彦の推理の展開がいつ読んでも絡んだ糸を解す ようで面白い。

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33.「人間の条件」を読んで

森村誠一の「人間の条件」(上下)を読んだ。いきすがりのOL殺 人事件が、結婚相談所を通して宗教団体「人間の家(オームがモデ ルか?)」がその姿をチラチラ見せながら、話は展開していく。妻 子を殺された刑事が、その犯人に迫っていく。怒りで銃を撃ちそう になるが、撃ってはいけない。それが人間の条件だ-。 「人間の条件」で思い出すのが、五味川純平の同名小説である。昭 和十八年の満州、梶と美千子の夫婦が、戦争に疑いをもち、鉱山の 管理者として苦闘していく小説である。

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32.「思い出トランプ」を読んで

向田邦子の13の短編をあつめた本だが、昭和の終戦後の雰囲気 をかもし出している作品群で、懐かしくとても面白かった。「か わうそ」「だらだら坂」「はめ殺し窓」「三枚肉」「マンハッタ ン」「犬小屋」「男眉」「大根の月」「りんごの皮」「酸っぱい 家族」「耳」「花の名前」「ダウト」。どれをとっても淫靡であ りながらニヤっと頬笑む筋書きが織り込まれていて、とても面白 く読めた。

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31.「斎王の葬列」を読んで

内田康夫の小説で、以前発売されたときに買おうとしたが辞めた 本だった。内田康夫の浅見光彦シリーズだが、歴史物なので、読 みたくなったのだった。女房がやっぱりブックオフで購入してき たので、これ幸いと一気に読んだ。 やはり謎解きが圧巻で、大変面白かった。謎の解き方も、さすが に内田康夫作品らしく、論理的で興味をそそられた。

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30.「蔦燃(つたもえ)」を読んで

女房に薦められて、高樹のぶ子の「蔦燃」を読んだ。夫の異母弟 との情事を中心に、愛する者の心の変遷を描いた小説だが、いつ もの好みとは違っていたので、流すように読んでしまった。印象 として、蔦が壁を這い、真っ赤に燃えるイメージだけが残った。

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29.「密告」を読んで

真保裕一の5冊目である。警察署を舞台に、一部の小役人と裏の 世界の有力者が手を組んだ悪巧みに、誰かが密告をする。その密 告者と疑われた主人公の警察官・萱野が自分の嫌疑を晴らすため に孤軍奮闘しながら、真実へと近づいていくハードボイルドな小 説である。真保の世界がたっぷりと描かれていて、面白かったが、 5冊目になると少々鼻についてきた。違う作品を読んでリフレッ シュする必要があるかもしれない。

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28.「盗聴」を読んで

真保裕一の4冊目である。5つの短編から構成されている。最初 の「盗聴」(本のタイトルにもなっている)は、違法電波ハンテ ィングの会社に勤める主人公が、巷にあふれる盗聴の電波を傍受 して、摘発する仕事にしている。そこで殺人事件が起こる。その 犯人がどんでん返しで明るみに出ていくところがスピーディーで 面白かった。「漏水」も奇抜な話であった。

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27.「顔」を読んで

妻に薦められて、横山秀夫の「顔(FACE)」を読んだ。似顔 絵婦警・平野瑞穂が主人公の話で、警察の中で事件を解決しなが ら、その矛盾をチラチラと出していく読み応えのある本だった。 連続テレビで放映されるそうだが、主人公役が仲間由紀恵と聞い て、ピッタリだなあと思った。見るのが楽しみになった。

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26.「聖域」を読んで

篠田節子の作品を初めて読んだ。作家と編集者の話であるが、原 稿としてあった作品「聖域」の後半を完成させるために、作者を 捜して、東北地方を探し回り、青森の浅虫温泉で、やっと発見し、 作品の後半を書くよう迫りながら、なぜ書けなかったのかの謎を 解いていくという話である。底を流れるテーマは、宗教の根底に 流れる「死後」の世界のことである。魂の世界か皆無の世界かを 話の展開の中に表しながら、最後に「自然」の世界の光や草花、 砂などの自然へ行き着くと結末である。イタコの口寄せは、「記 憶のビデオテープの再生」という現代的な表現は面白かった。

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25.「取引」を読んで

真保裕一(しんぼ・ゆういち)の3冊目を読んだ。作品は、「連 鎖」→「取引」→「震源」の順で書かれたそうだが、読む順は違 ってしまった。しかし、面白い。真保氏は、社会派推理小説の現 代の雄と言う感じだ。「取引」はフィリッピンのODA絡みの公 取の活躍をベースに、日本人誘拐事件が解決していく様子がワク ワクしながら読めた。最後のどんでん返しは想像できない展開で あった。しかし、面白い。

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24.「刻謎宮(トキメイキュウ)」を読んで

高橋克彦の本を久しぶりに読んだ。時間と空間を超えた謎の多い 話である。彼の得意のパターンであるが、好きでないとちょっと 読めないなと思った。もちろん私は好きなので、最後まで読んで しまった。簡単に登場人物を紹介すると、主人公はアポロンこと 沖田総司(???謎の多いキャスティングである)続いて、予言 者ことアンネ、ヘラクレスや坂本龍馬やゼウスなどが登場する。 まとめて言うと、明治維新の頃とギリシャ神話の合体版である。 まあちょっと謎ですね。

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23.「震源」を読んで

真保裕一(しんぽ・ゆういち)の2冊目を読んだ。気象庁の地震 研究所の主人公・江坂慎一が友人の森本の失踪を調べていく中で、 話が次々と展開していく。何となく奄美群島付近(正確にはトカ ラ群島)の海底地震を探索に行くことを臭わせながら、硫黄鳥島 まで登場する。南海の無人島「硫黄鳥島」に興味をひかれた。真 保もよく調べているなあと感心しきりである。最後は海底火山の 領土争いに巻き込まれていくとは………どんでん返しの連続であ った。

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22.「連鎖」を読んで

逢坂 剛の本が続いたので、妻に何か面白い本はないか聞いたと ころ、真保裕一(しんぽ・ゆういち)の本を2冊買ってきてくれ た。「連鎖」と「震源」である。まず、「連鎖」を読んだ。輸入 食品の検疫所のスタッフが主人公の話である。丁度、食肉の 狂牛病の問題が巷に流れていたので、その検疫の裏側を知る上で も読み応えがあった。 最後の大逆転はなくてもいいのではと勝手に思った。真保の作品 も大変面白いと思った。続いて、「震源」を読んでいる。

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21.「幻の翼」を読んで

逢坂 剛の4冊目を読んだ。政界の黒い部分と精神病院との暗黒 の癒着に、北朝鮮の工作員が絡んだ事件を、主人公の3名の警察 官が体でぶつかりながら、解決していく話である。現実にありそ うな話が随所に出てくるので、興味深く読むことができた。最後 のどんでん返しは少し厚すぎる感じがしたが、しかし面白い本で あった。この調子だと5冊目が読みたくなる。

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20.「第三の理-ハノイの塔修復秘話-」を読んで

根上生也氏(横浜国立大学教授)の書いた空想数学小説(MF) である。瀬山士郎氏(群馬大学教授)の書いたMF「数学者シャ ーロック・ホームズ」に刺激されて書いたそうだが、数学の小説 ができる時代がやってきたようだ。映画では、もう始まっている ので、小説もいいのだと思う。 しかし、ハノイの塔の三本の柱にかけて、「物の理」「人の理」 そしてそれをつなぐ「第三の理」を話の柱に展開する。「形」か ら「言葉」へ移行する「構造の理解」にあたり、それが「数学的 な原理」だと言う。数学も、数学教育も「たいしたもんだ」と実 感した話だった。創作ではあるが、真実みがした。

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19.「自然に生きて」を読んで

小倉寛太郎(ひろたろう)著を読んだ。集会の書籍コーナーに 魅力的な題名で並んでいたので手に取ってみると、何とあの山 崎豊子著「沈まぬ太陽」の主人公・恩地元(おんちはじめ)の モデルとなった人の著作であった。東アフリカの自然を大切に しながら、そこから人生観が伺い知れる本であった。「沈まぬ 太陽」の第0巻にあたる内容が書かれているので、面白く読め た。

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18.「遠ざかる祖国」を読んで

逢坂 剛の3冊目を読んだ。第2次大戦中のスペインが舞台で、 日系ペルー人の北都昭平が主人公で、イギリス情報部のMI6 のヴァジニア・クレイトン嬢との恋愛を絡めた情報戦が、真珠 湾攻撃の前夜まで展開されるというストーリー。当時ヨーロッ パで第一線にいた人たちは、アメリカとの戦いは無茶であり、 イギリスのチャーチルのアメリカを巻き込もうとする策略であ ることを認識していたようである。ずいぶん当時の日本国内の 考え方とは違う客観的な様子がよくわかって面白かった。 創作とは言え、当時の情勢を作者が分析して書いたこの本は、 歴史書の感じがした。

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17.「あでやかな落日」を読んで

逢坂 剛(おうさか ごう)の作品を読みたいと思って、本 屋を回っていたが、なかなかめぐり合わなかった。先日何気 なく立ち寄った本屋の陳列棚にこの本があった。 読み始めると引き込まれていく。大晦日の晩、レコード大賞 や紅白も見ないで、一気に読み上げてしまった。2002年 への年越しは、逢坂 剛で過ぎていった。 PR業界やギターの話が出てくるので、先に読んだ「カディ スの赤い星」の続編の感があり、安心して(ストーリーが似 ていると不思議に安心する)楽しく読んでいけた。 今回は、新人女流ギターリスト(香華ハルナ)の発掘に絡ん で、PR業界が攻めぎ合う話だが、最後の会社のトータル・ マーケティング・パートナー制度については、今一分かりず らかった。これがどんでん返しのキーワードなのだけれど、 それが理解できにくいのは経済音痴のせいか。 しかし、ギター談義と音楽の詳しさと言ったら、感心してし まう。作家と言うのは、このくらい研究熱心でないとなれな いのかといまさら感心した。 2冊続けて読んだので、今後が楽しみである。

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16.「カディスの赤い星」を読んで

逢坂 剛(おうさか ごう)の作品で、スペインを舞台に繰 り広げられる冒険活劇と謎が解き明かされていくところに惹 かれ、上下巻を一気に読んでしまった。 PR業界の現代的な話や、スペインのフラメンコの有名なギ ターを中心にそれを弾くギター弾きの生活ぶりなどが、話の 折々に見られ、後半にはスペインのマドリードの町並みがリ アルに出てくるスペインを舞台にした活劇が展開されている。 また、25年前の過激派やスペインの革命の嵐がその中心を 占めながら、主人公・漆田がそれに対抗していくスリリング な話で息をもつかせない展開であった。面白かった。 逢坂 剛のファンになってしまった。

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15.「謎の契丹(きったん)古伝」を読んで

古代文明評論家(肩書きが胡散臭いが)・佐治芳彦著「謎の 契丹古伝」を市立図書館から借りてきた。パラパラと読んで いると、日本人の有史以前の祖先のことが出てくるので、お もしろい。 中国の漢民族以前のモンゴロイドに、「東大神族(シウカラ)」 という一派がいて、それが日本や韓国の先祖になったという 話である。 そのことを10世紀前半に契丹人の太祖・耶律 阿保機(ヤ リツ アボキ)が建てた国・遼(りょう)の古文書に記して あり、その契丹文字で書かれた文章を解読していったと言う ことである。初めに解読したのは、浜名寛祐著「日韓正宗溯 源」である。 しかし、神代の話の部分は漢字に音をあてた万葉式表現なの で、著者の解釈上の飛躍もあり、少々飽きてしまった。 しかし、日本の有史以前の中国大陸での民族的変動がわかっ たので、今後この契丹文字や女真文字(この後に興った女真 族による国・金(きん)の文字)がより詳しく解明されるこ とを期待している。

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14.「火怨(かえん)」を読んで

他の本を読んでいる最中に、妻が図書館から高橋克彦著「火 怨」(上・下)を借りてきた。古代東北日本を支配していた 蝦夷(えみし)の頭領・阿弖流為(アテルイ)が坂上田村麻 呂と闘い、最後に都の刑場で果てるまでの人生を蝦夷の立場 に立って構成してある小説で、あまりの面白さに一気に最後 まで読み切ってしまった。 途中、娘がマイコプラズマ肺炎になり、妻が気管支炎になり 私も高熱がでながらも、読み切ったという印象的な本となっ た。今は全員回復し元気になったのでご心配なく。 8世紀後半、蝦夷と裏で応援する物部氏のやり取りは、昔読 んだ本・高橋克彦著「風の陣」(8世紀前半)や北方謙三著 「破軍の星」(南北朝前期)を思い出した。もう一度読み直 してみよう。

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13.「自由を生きる」を読んで

数学者で京都大学名誉教授の森毅(もりつよし)の自伝であ るが、この本を読むキッカケになったのは、平成12年7月 1日(土)に東野高校で開かれた森毅講演会に参加したから である。 テーマ「21世紀をどのように生きるのか」について、彼独 特の話振りを聴こうと思って、わざわざ2時間かけて聞きに 行った。話は自伝からの話を教訓に展開したが、このとき買 ったこの本とほぼ内容は同じであった。 結局「自由に生きる」ことが、10年くらいをサイクルに変 化するこの世の中において大切なことであるという結論であ る。また昔の良い時代が来るなどはあり得ない。これから過 ごす10年を自由に生きることで自分の人生は切り拓かれて いくという不思議な人生論である。経験的財産的人生論とは 全くちがう。

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12.「霊の柩」を読んで

高橋克彦著の柩(ひつぎ)シリーズ第3弾の「霊の柩(たま のひつぎ)」を読んだ。618頁に及ぶ大作なので、どうし ようかとひるんだが、読み終えて感慨に耽っている。大正時 代の末期にタイムワープした主人公・九鬼虹人(くきこうじ ん)たちの十和田湖から東京への旅とそこで出会う当時の著 名人たち(宮沢賢治など)とのやり取りが新鮮に感じ取れた のである。こういう小説も面白い物である。 後半のイギリスでのタイムマシーンをめぐっての幽霊話は、 私としては今一であった。第1弾の「竜の柩」のラストシー ンの衝撃性に比べると、面白味に欠けたが、これでシリーズ 終了となれば、ホッとする最後でも良いのかもしれない。

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11.「西暦535年の大噴火」を読んで

デイヴィッド・キーズ著(畔上 司訳)で、内容は全世界的 な規模で書かれているので、興味が尽きません。 特に中央アジアの民族の移動については、歴史上に記載され ていないところが多くあるので、とても興味をひきました。 現在のヨーロッパの人々にアジア系の顔が多いのはこの辺か らくるそうです。 地中海の東ローマ帝国が滅亡していく要因やペストの大流行 まで言及し、さらに中央アメリカのナスカの謎にも話が及ん でいる。 最後にそれらの要因として、インドネシアのジャワ島の火山 の大噴火を挙げている。地質学的検証がこれから行われてい き、この本の事実性が証明されて行くでしょう。

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10.「菊次郎とさき」を読んで

新潮社から発行されたビートたけし著の両親を思いやる本で あるが、軽快で読みやすく面白い本であった。NHKテレビ で放映された「たけしくん!ハ~イ」の中で異色を放つ両親 菊次郎とさきの思いで話である。たけしの才能の源流をみた ようで面白かった。

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9.「安藤昌益の闘い」を読んで

 ひょんな事から本を購入した。農山漁村文化協会(略して 農文協)発行・人間選書15「安藤昌益の闘い」(寺尾五郎 著)である。  江戸時代の中期・元禄文化華やかなりし頃に咲いた異質な 思想家・安藤昌益は、今までほとんど知られずにいたが、一 部の研究家によって、彼の著書「自然真営道」の研究が明る みに出て、さらに外国人のノーマンによって、世界に紹介さ れた人物である。マルクス・エンゲルスらが思想を考える遙 か以前に、唯物論や弁証法を編み出していたからビックリし てしまう。農業の中からだけでは考えられないので、彼の秘 密のベールに覆われた生涯を、寺尾は解き明かす中で、その 素地を発見したようである。  江戸時代の宝暦7,8年頃に今で言う秋田県大館市の片田 舎の二井田村で全国秘密集会がもたれている。私の勝手な推 理では、その後に起こる江戸時代の屋台骨を揺るがす全国の 百姓一揆の思想的源流に、この集会が一定の役割を果たして いるような気がする。こういう謎解きの本は面白い。

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8.「沈まぬ太陽」を読んで

山崎豊子の「沈まぬ太陽」三部作5巻をこの1ヶ月の間に読 破しました。 航空会社の労働問題から話が始まり、不当な差別に堪えてア フリカ等での生活は涙が出てくるほどの苦労が描かれていま す。 次の御巣鷹山の航空事故とその対応には悲惨さと憤懣やるか たない怒りが満ちています。 最後の国見会長による航空会社建て直しへの政治やマスコミ の圧力には頭に来る次第でした。 この1ヶ月は「沈まぬ太陽」とともに日が開け日が沈んだよ うな気がしました。 久しぶりの名作に会えて嬉しい限りです。

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7.「01-01-00」を読んで

「01-01-00」は、タイトルから不思議な感じがする本だが、 中身は私の好きなタッチのものであった。ちょっと前に読ん だ「LINK」と似ている。2000年1月1日に何かが起 こるのを探るためにコンピュータを駆使して、スーザンが活 躍する冒険活劇風の小説である。「マヤ遺跡」が物語の核心 にある超古代SFファンタジーであった。面白かった。 作者はコンピュータ・エンジニアのR・J・ピネイロである。

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6.「最悪」を読んで

「冬の伽藍」を読み終えると、妻は次に、奥田英朗の「最悪」 を紹介した。タイトルが最悪なので、読む気がしなかったが、 妻の話だと、朝日新聞の読書欄で、激賞していたということ である。 読んでみると、結構面白い。3人の登場人物が別々の話として、 展開していく。その割合も丁度良い。1人は小さな工場の社長。 2人目は銀行の受付嬢。3人目は街のチンピラ。それなりに話 は展開していく。3人とも気分は最悪。その様子がよく分かる。 それが、銀行強盗をするところで、3人が一緒になり、話が急 転していく。舞台を見るような展開である。面白かった。タイ トルの「最悪」も読み終えた頃には最悪ではなくなった。

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5.「冬の伽藍」を読んで

私の妻は、市立図書館の最大の利用者である。新刊が出ると、 リクエストを最初に出し、最初に読むのは、妻である。 しかし、最近は図書館ブームで、借りる順番がだんだん遅く なって来ているという。 この小池真理子の「冬の伽藍」も借りてきた本の一つである。 私は、外国のSFXものしかあまり読まないので、いつもは 無視しているのだが、今は夏休み。それに毎日30°を越す 猛暑。そこで、昼寝か読書しか時間の過ごしようもない(進 学補習は午前中で終わってしまうので、午後は暇になる)の で、冷房の入った居間で、扇風機の回るベッドの上で、読書 と相成った。 話は、軽井沢での医者と、薬剤師とのラブ・ロマンスのはず であった。話は、院長の英二郎の登場で、急転していく。前 半のストーリーの面白さに比べると、後半は少し飽きてしま った。手紙形式の部分が異質に感じたのかもしれない。

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4.「田舎暮しをしてみれば」を読んで

私も年に応じて、田舎暮らしに興味を持ち始め、テレビの 12チャンネル(テレビ東京)の田舎番組にホッとした感 覚で見るような今日この頃です。 本屋に行くと、林えり子の「田舎暮しをしてみれば」とい う文庫本が目に入った。 長野県の佐久市の内山と言うところを舞台にした別荘ぐら し(いや、田舎暮らし)をする中で、起こったいろいろな 出来事に対処してきたことを綴ってありました。田舎暮ら しの楽しさだけでなく、田舎のつきあい方なども紹介して あり、読み応えのある本でした。

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3.「LINK」を読んで

ウォルト・ベッカー作の「LINK(リンク)」を読んだ。 茨城県の境町にあるキンカ堂(なかなか大きなデパートであ る。地元の商店との連携も大変うまくいっており、理想的な 大型店舗であると思う。)へ行ったとき、そこの本屋で見つ けた本だ。カバーの「地球に光が射し込んでいる」のを見て、 SF科学小説好きの私としては購入してしまった。 直ぐに読破したが、古代人類探しの学者が主人公で、アフリ カで化石を発見する。2m近い4本手の人骨である。そこか ら、一気に南米に飛び、遺跡から古代宇宙人の部屋を発見す る。争いから小型原子炉が爆発寸前まで行くスリリングな話 である。これも映画化が楽しみである。

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2.「惑星の暗号」を読んで

グラハム・ハンコック作の「惑星の暗号」を読んだ。彼の作 品はスケールが大きいので、つい引き込まれてしまう。今ま で、「神々の指紋」「創世の守護神」と続けて読んでいる。 日本では高橋克彦、外国ではグラハム・ハンコックが今のと ころ愛読書である。 今回の「惑星の暗号」は映画「アルマゲドン」と時を同じく して読んだので、不気味さが倍増している。今後の作品が楽 しみである。

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1.「イエスの遺伝子」を読んで

マイクル・コーディ作の「イエスの遺伝子」は本屋に並んだ のを見たときから、興味を引くタイトルと装丁で、私に早く 読めと呼びかけているようでした。 実際、ひきつけられて読破してしまいました。近未来の遺伝 子工学と2000年来のキリストの歴史とを絡ませて、読者 に飽きさせない表現で続いていきます。 ディズニーで近い将来映画かが決まっているそうで、映画好 きの私としては、今からワクワクする次第です。

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